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【試飲茶会】2023年5月販売のシングルオリジン煎茶2種を飲み比べてみました！

2023年05月01日

by 小野寺友麻

東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。

煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は50種類以上。（2023年5月時点）その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。

今回は、2023年5月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介！
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。

「たくさん種類があるけどどんな味なの？」「どう違うの？」「私が好きなお茶はどういうもの？」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。

035 さきみどり 彼杵（長崎県産）

販売時期 5月〜6月
特徴 大村湾を望む絶景に育まれる、青々として艶のある茶葉。素直でまっすぐ、シャープな渋みが爽やかな好青年風。

056 やぶきた 臼杵（大分県産）

販売時期 5月〜6月
特徴 深く鋭い渋みがあり、どっぷりと重い口当たり。その深みに光が射すように心地よい香りに包まれる。

小野寺：
「おはようございます。大型連休は、みなさん帰省されたり、旅行に行きますか？銀座の街も沢山の人で賑わうのでしょうね…！
お散歩やドライブのお供に冷たいお茶、はたまたキャンプ場や宿泊先で急須でお茶を淹れたり、温度や場所も問わずお茶が楽しめそうですね！」

四本：
「そんな5月は長崎と大分と九州が産地のお茶が2種類並びます。特徴が似ている部分も多いので、比べ甲斐がありますよ」

小野寺：
「長崎のお茶は収穫の年度が変わって味わいが変わったお茶の一つです。前に飲んだことがある方は、シングルオリジンならではの年度の味わいの違いも楽しんでください」

四本：
「5月初旬前後はちょうど新茶時期でもありますので、お茶屋さんがそれぞれ活気付く時期ですね。今年度も色んなお茶と出会っていただければと思います。それでは5月のお茶を淹れていきましょう」

旨みと苦みの調和が心地よい。「035 さきみどり 彼杵」

小野寺：
「今回は2種類とも深蒸し茶で、苦めのお茶と少し似ている部分もあります。違いが比べ易いようにどちらも基本のレシピで淹れていきます」

四本：
「この『035 さきみどり 彼杵』は玉緑茶（ぐり茶）と言って、茶葉がクリンとしています。実は今月は2種類とも玉緑茶です。そして最近だと佐賀県産『055 つゆひかり 武雄』も玉緑茶でした」

小野寺：
「そして今月のお茶はどちらも深蒸し茶。茶葉が細かく、若干クリンとした見た目は最初は見分けるのが難しいかもしれません」

四本：
「それでは基本の淹れ方で一煎目を淹れていきます。茶葉4g、70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」

小野寺：
「深蒸し茶はムクムクと茶葉が開いていきますね」

四本：
「茶葉は旨みの香りがします。そして一煎目は比較的クリアな水色です。味わいも苦みは強くなく、優しいですね。まろやかさも感じます」

小野寺：
「このお茶は元々キリッと苦みがある味わいだったので、そのイメージがあると旨みに驚きます。最初は口の中に旨みが広がっていきます」

四本：
「以前の『035 さきみどり 彼杵』の方が、もっと磯の香りを感じました。年度が変わったタイミングで旨みの種類も変わったような……？今回の方がより出汁感を感じるようになりました」

小野寺：
「年度の飲み比べは中々難しいですが、『039 さきみどり 出雲』との産地の飲み比べなら出来ます！『039 さきみどり 出雲』は浅蒸し茶なので、見た目の違いも体感できますね」

四本：
「今回の『035 さきみどり 彼杵』の方が香り・味わい共に青々しさを感じますが、苦みと旨みの系統は近しい部分があります」

小野寺：
「二煎目は80℃のお湯を注いで10秒ほど。お湯を注いだ瞬間から緑が濃いです！そして口の中は、一煎目の旨みの余韻がずっと続いています」

四本：
「このお茶は“好青年風”と表現されているお茶で、以前は爽やかさを感じていました。年度が変わると少し角が取れて丸くなったような、そんな印象を受けます」

小野寺：
「やんちゃさもあった青年が、少し大人になったような…。お茶の味わいも成長していくかのようですね」

四本：
「一煎目は比較的澄んだ水色だったので、二煎目との色味のギャップには驚きです！」

小野寺：
「味わいもより青く、爽やかになりました。苦みも出てきますが、鋭くなくむしろ柔らかいと感じる程です」

四本：
「舌の上にジワーっと広がっていく苦みです。二煎目でも少し旨みを感じるので、苦みはありますがマイルドな口当たりです」

小野寺：
「茶葉も濃緑が美しい…！これからの時期は水出しや急速冷茶も良いと思いますよ。水色も鮮やかなので、目からも癒されます。そして二煎目も余韻は長めです」

四本：
「三煎目は玄米茶です。茶葉の上に玄米を加えて、85℃のお湯を注ぎ15秒程です」

小野寺：
「深蒸しの玄米茶、好きですね〜。それにしても三煎目も変わらず水色は濃いですね」

四本：
「二煎目まで感じていた苦みが玄米を加えることで和らぎます。むしろ玄米の甘みを感じます」

小野寺：
「四本さんは、このお茶にはどんなものと合わせたいですか？食事中にも良いと思います」

四本：
「そうですね。私は鱈など白身魚が食べたくなります。西京焼きとご飯、お味噌汁、お漬物もあったら最高です！今回の『035 さきみどり 彼杵』は旨みもあるので、日本食と合わせるのが良さそうです」

小野寺：
「もちろん餡子などの甘いものも良いですね。水羊羹など涼しげでさっぱりめの餡子の方が相性が良さそうです」

「035 さきみどり 彼杵」の味わいノート

・一煎目、最初は口の中に出汁感を感じる旨みが広がる。苦みは強くなく、優しくまろやか
・二煎目、より青く爽やかに。苦みも出るが、鋭くなくむしろ柔らかいと感じる程。一煎目から終始余韻は長い
・玄米茶は二煎目まで感じていた苦みが和らぎ、玄米の甘さを感じる
・西京焼きなど白身魚と合いそう。ご飯、お味噌汁、お漬物もあったら尚良し。水羊羹などさっぱり涼しげなあんことも合わせたい

どっしりとした重厚感のある苦み。「056 やぶきた 臼杵」

小野寺：
「今月2つ目のお茶は大分県産『056 やぶきた 臼杵』です。こちらも茶葉がクリンとしている玉緑茶です」

四本：
「このお茶が好きなので、久しぶりに飲むのが楽しみです！」

小野寺：
「このお茶は日本で一番作られている『やぶきた』という品種です。福岡県産『004 やぶきた やめ』との飲み比べもできますね。同じ九州産で品種も同じですが、甘みと苦みの特徴は全然違います」

四本：
「先ほどと同じで基本のレシピで淹れていきます。茶葉4g、一煎目は70℃のお湯を注いで1分20秒待ちます」

小野寺：
「茶葉がムクムクと開いていきます。やはり茶葉の見た目は似ていますが、『056 やぶきた 臼杵』の方が若干緑が濃いと思います」

四本：
「茶葉の香りは甘いです…段々甘いだけではなく苦みの香りもしてきます」

小野寺：
「一煎目、いただきましょう。……味わいも最初は甘みを感じますね。舌の上にジワッと旨みも広がります」

四本：
「このお茶を飲むと、唾液が出てきませんか…食欲を刺激してくるような感覚です」

小野寺：
「最初は甘みを感じましたが、どんどん口に含んでいくと苦みが増してきます。あと、少し温度が下がることによっても苦みが強くなりますね。後味は旨みと苦みの余韻が残ります」

四本：
「苦みに特徴がある『035 さきみどり 彼杵』と比べても、苦みの強さや重たさもまた違いますね。『056 やぶきた 臼杵』の方がどっしりと重みがある印象です」

小野寺：
「二煎目、お湯を注いだ瞬間に鮮やかな水色が出てきます」

四本：
「香りにも苦みを感じます。二煎目もいただきましょう」

小野寺：
「お〜一煎目より断然苦みが強くなりました。口の中で苦みの波が押し寄せてくるような…とはいえ程良く旨みも感じます」

四本：
「二煎目を飲むと、一煎目が優しかったというのがわかります。二煎目は特に苦みがお好きな方にオススメです！」

小野寺：
「一口目こそ苦みの衝撃がありましたが、飲み進めていくとバランス良く、そして後味はスッキリと味わえます。このお茶と出会った当時は、私にとっては苦く感じていたので味覚が少し大人になったのかもしれません（笑）」

四本：
「このどっしりと重ための苦みには、王道のあんこが合うと思いますよ。実は今日、いただきものの最中があるので一緒にいただきましょう」

小野寺：
「最中！嬉しいです！あんこはもちろん、最中の皮の香ばしさとも合います。お茶が進む…間違いがないです。合うお菓子も探求していきたいですね。

私は以前、カスタードクリームと合わせたくてプリンと合わせたことがありますよ」

四本：
「クリームと合いそう…マカロンなど少しこってりとしたものとも相性が良いと思います。今月は比較的苦みの味わいの2種類なので、苦みがお好きな方、甘いものがお好きな方は是非試していただきたいです」

四本：
「最中の香ばしさと合うので、玄米茶も期待してしまいますね…」

小野寺：
「うん、やはり良いですね！玄米の香ばしさがまた違う美味しさを演出してくれます」

四本：
「玄米茶にすると苦めのお茶も苦みの角が取れることが多いのですが、このお茶は程よく苦みが残ります」

小野寺：
「玄米茶はそのまま飲むのが好きですが、ここでお菓子と合わせても良いですね。5月といえば端午の節句でいただく柏餅。今月のお茶はどちらも合いそうです」

「056 やぶきた 臼杵」の味わいノート

・一煎目、最初は甘みを、そして舌の上にジワッと旨みも広がる。口に含んでいく毎に苦みが増していく。後味は旨みと苦みの余韻が残る
・二煎目、一煎目より断然苦みが強くなる。飲み進めていくとバランス良く、後味はスッキリ
・玄米茶にしても程よく苦みが残る。三煎目でお菓子と合わせるも良し
・最中や柏餅などのあんこ菓子、プリンやマカロンなど洋菓子とも合わせたい

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