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インドの血統×萎凋香=甘く華やかなジャスミンのような香り。『017 藤枝かおり』【2024年9月試飲茶会】

2024年09月02日

by 小野寺友麻

東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。

煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2024年9月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。

今回は、2024年9月から販売を開始するシングルオリジン煎茶をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。

「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。

017 藤枝かおり(静岡県産)

販売時期 9月〜10月
特徴 香り高いアロマなお茶の時代を牽引する存在。インドの血統によるジャスミンのような香気な香り。

小野寺:
「おはようございます。あっという間に9月になりましたね。今月は3種類のお茶が登場します」

四本:
「今月のお茶は静岡、鹿児島、奈良と全て産地が異なります。味わいの特徴もバラバラなので、飲み比べも楽しめますよ!」

甘めのジャスミン香と濃厚な苦渋み。「017 藤枝かおり」

小野寺:
「このお茶はもうお馴染みの方も多いでしょう。『017 藤枝かおり』です。このお茶は銀座店のオープンから取り扱いがあります。私たちもみなさんの中でもファンが多いお茶のひとつですね」

四本:
「つい先日も並んでいたお茶ですが、このお茶も今月分から今年収穫のものになっています。改めて、『藤かおり』は1996年に登録された品種です。日本で一番作られている『やぶきた』とインドの血統を持つ『印雑131』の交配でできた品種です」

一煎目の味わいや特徴

小野寺:
「茶葉の香りはほんのり甘いです。爽やかにジャスミンを感じますが、乾燥の状態の香りは強くありません。きれいな浅蒸し茶です」

四本:
「茶葉が開くのと一緒に香りも開くでしょうか…楽しみです。今回は香りが立つように基本のレシピよりも高めの温度で淹れていきます。茶葉4g、80℃のお湯を120㎖注いで1分待ちます」

小野寺:
「茶葉がきれいに開いていきますね。今月は『043 やまとみどり』も浅蒸し茶ですが、『043 やまとみどり』の方が茶葉の緑は濃いです」

四本:
「お湯を注いだら香りも開いてきました。甘いジャスミンのような香りがします。ジャスミンミルクティーのようなまろやかさも感じます」

小野寺:
「今までの藤枝かおりの香りはもっとシャープな印象だったので、過去の収穫分と違いを感じます。急須から注ぐとまた更に香りが広がりますね。良い香り…」

四本:
「今年は例年より香りが強い印象です。甘くてまろやかさを感じます。いただきましょう」

小野寺:
「最初甘いと思ったのですが、80℃でいつもより高めで淹れていることもありしっかり苦みも感じます。香りは本当に華やかです」

四本:
「印雑(インド由来のアッサム種と日本の茶樹を交配して誕生した品種のこと。花のような香りが特徴的)由来の香りがあって華やか…今回はよりさんぴん茶(沖縄でよく飲まれるお茶。ジャスミン茶のこと)を感じます。
このお茶は飲む程に苦みというか渋みを感じますが、その分口の中に華やかさも溜まっていきます。ジャスミンが入っていない、茶葉の自然な香りというのが改めてすごいです」

小野寺:
「温度が落ち着くとまた香りが感じやすいです。このお茶も『040 静7132』も軽度に萎凋させていますが、同じように冷めていくと香りも感じやすくなりますね」

四本:
「『017 藤枝かおり』は今月のTOKYO TEA JOURNALで巨峰と合わせていますが、ぶどうやマスカットのような香りもあると感じました」

小野寺:
「紅茶でもマスカットのような香りと表現するものもあるので、印雑感と繋がるのかもしれませんね。お茶の苦渋みとフルーツの甘さ、一緒にいただくのも良さそうです。そしてこのお茶も飲み終えて深呼吸すると美味しいですよ」

二煎目の味わいや特徴

四本:
「二煎目も淹れていきましょう。二煎目もお湯を注いだときから良い香り…淹れている瞬間も幸せな気分になれるお茶です」

小野寺:
「二煎目はスッキリとして、引き続き苦みもしっかり感じます。いつもより味わいが濃くなったような印象です。一煎目は鼻に抜ける香りがありましたが、二煎目は香りが口の中に滞留しているような感覚です。香りの感じ方が違うのが不思議です」

四本:
「一煎目は香りが甘くて華やかでしたが、二煎目は時間が経つと特に青さが際立ってきます。香りも味わいも爽やかな苦みになりました。香りも味わいも淹れたてから段々変化をしていくので、色んなタイミングで堪能したいです」

小野寺:
「茶葉もきれいに開きました。一煎目でも結構開いていましたが、まだまだ開きましたね」
四本:
「香りも花のような甘い香りの一煎目から、華やかさと共に青さや渋みが加わった二煎目と変化を感じます」

どんなペアリングが合う?

小野寺:
「特に一煎目、今年は香りがより甘く感じるので是非甘いものと合わせたいと思います。このお茶はあんこなどの和菓子からケーキなどの洋菓子まで何にでも合わせられると思うので、楽しみが広がります」

四本:
「今は特にカスタードクリームと一緒にいただきたいです。カスタードと生クリームのシュークリーム、プリンも良いですね。しょっぱい系でキッシュなんかも合わせたいです。なんだか全体的に黄色いメニューになりました」

小野寺:
「卵と合わせたいのかもしれません。具沢山のオムレツも良いと思いますよ。あとは、かぼちゃと合わせたいですね。パイ生地に包まれていても良いですし、マヨネーズとサラダにしても良いと思います」

四本:
「改めて味わいも香りもしっかりあるお茶なので、重い味わいのお菓子でも合わせられます。余韻も濃厚です。温かいのはもちろん、水出しや急速冷茶で冷たくしても満足度が高いと思いますよ。苦みが得意でなければ水出しから試してみると良いですね!」

小野寺:
「最後は玄米茶です。三煎目も水色が美しいです。ほんのり玄米の甘みを感じますが、全体的には苦みの味わいです」

四本:
「三煎目まで苦渋みを楽しめますね。苦渋みが好きな方はもちろん、甘いものと合わせたいときにもおすすめです。華やかさも感じるので、お洒落な玄米茶になりました。味わいもしっかりなので、ミルクティーにも挑戦してみたい…」

小野寺:
「目覚めの一杯でシャキッとしたいとき、休憩など気持ちを切り替えたいとき、休日のおやつ時間にも…色んな場面でいただきたいお茶ですね」

「017 藤枝かおり」の味わいノート

・一煎目、最初甘いと思いきや、しっかり苦みを感じる。香りは甘めで華やか
・二煎目、よりスッキリ、引き続き苦みもしっかり感じる。青々しさが際立つ
・玄米茶、ほんのり玄米の甘みを感じるが、全体的には苦みの味わい。お洒落な玄米茶
・シュークリームやプリンなどの洋菓子、キッシュやオムレツなどの卵料理、かぼちゃパイやかぼちゃのサラダとも合わせたい

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