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【前半】試飲茶会 2023年8月販売のシングルオリジン煎茶3種を飲み比べてみました!
2023年08月01日
by 小野寺友麻
東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。
煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2023年8月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。
今回は、2023年8月から販売を開始するシングルオリジン煎茶3種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。
「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。
062 ごこう(京都府産)
販売時期 | 8月〜10月 |
特徴 | 茶葉がふわりと軽やかで鮮やかな緑の水色が美しい。ごぼうのような香ばしい香りと甘みで飲みやすい。 |
052 さえあかり(鹿児島県産)
販売時期 | 8月〜9月 |
特徴 | さっぱりとして食事に合いやすい釜炒り茶。ストレートな甘味と爽やかな緑茶らしい風味。 |
017 藤枝かおり(静岡県産)
販売時期 | 8月〜10月 |
特徴 | 香り高いアロマなお茶の時代を牽引する存在。インドの血統によるジャスミンのような高貴な香り。 |
小野寺:
「おはようございます。もう8月ですね! 今月は3種類のお茶を紹介します。その内ひとつは初登場です」
四本:
「今月は京都の玉露、鹿児島の釜炒り茶、静岡の浅蒸し茶の3種類です。産地や製法が異なる3種類、飲み比べが楽しめそうですね」
小野寺:
「それぞれの飲み比べはもちろんですし、先月登場している釜炒り茶『059 釜炒りかなやみどり』と今月の釜炒り茶とを比べてみることもできますね」
四本:
「全く違う特徴のお茶を比べて、近しい特徴のお茶を比べて、色んな味わい方がありますね。まずは初登場のお茶から淹れていきましょう!」
優しく広がる旨みとごぼうを想わせる大地の香り。「062 ごこう」
小野寺:
「今月ひとつめのお茶は初めての登場、京都の玉露『062 ごこう』です。以前『041 ごこう』を取り扱ったことがありますが、農家さんが違うお茶です」
四本:
「今回のお茶は京都府宇治田原の大川さんが作ってくださっている茶葉です」
小野寺:
「茶葉は浅蒸し茶ですが、他と比べても大きめですね。力強い印象を受けます」
四本:
「色も緑が本当に濃いですね。乾燥の茶葉の香りから、既に“ごぼう”を感じます…!」
小野寺:
「本当ですね。土っぽさといいますか、根菜のような香りがします。実際に淹れたらどんな香りになるのでしょうか。楽しみです」
四本:
「『ごこう』は宇治在来種選抜のお茶で、『五香』や『後光』という字を使われることもあるそうですよ」
小野寺:
「名前からも力強さを感じますね。特徴ある香りを持つ優秀な品種なので、玉露や抹茶の原料としても用いられるそうです。この香りが淹れることによってどう変化するでしょうか…」
四本:
「今回は初めてなので基本のレシピで淹れていきましょう。茶葉4g、70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」
小野寺:
「お湯を注ぐと茶葉の色が更に分かりやすいです。濃緑というよりむしろ黒に近いです…きれい!」
四本:
「あ……淹れているときの香りですが、ごぼうを茹でているときのような香りがします」
小野寺:
「お茶ではありますが、お料理のような香りがしますね。お出汁のような、日本料理を想わせます」
四本:
「茶葉はこんなにも緑なのに、水色はきれいに透き通っていますね。このギャップが良いです」
小野寺:
「いただきます。……味わいにもごぼうを感じます。全体的に優しく旨みが広がって、苦渋みはあまり感じません」
四本:
「旨みが舌の上をコーティングしています。口に含んだ瞬間、味わいと香りがフワッと一気に広がっていきますが、余韻は短めです」
小野寺:
「香りのインパクトに反して、味わいの優しさや柔らかさにもギャップを感じます。少し温度が落ち着いてくると青さも感じるようになりました。飲むタイミングで印象が変わるのは面白いですね」
四本:
「ごぼうのような風味は、淹れたての方が感じられます。旨みが柔らかい『044 うじみどり』もそうでしたが、口当たりが優しいので初めての玉露にもオススメです。この大地感を感じる香りは久しぶりかもしれないです。個人的には『014 熊球磨在来』でも感じる香りです」
小野寺:
「同じ香りではないのですが、系統は似ていますね。在来種は大地を感じさせてくれるのかもしれません」
四本:
「二煎目はどんな味わいになるでしょうか。二煎目は80℃で10秒ほどです。淹れているときはお野菜で感じる甘みの香りを感じます」
小野寺:
「二煎目になると根菜感は少なくなって、一煎目よりもスッキリとした香りになります」
四本:
「京都のお茶で感じる香りです。旨みといいますか、野菜を炊いているような香りです。香りが既に美味しそう…」
小野寺:
「味わいも優しいですね。フワッと広がる青さと甘み、変わらず苦渋みは少ないです。イメージとしては緑が生い茂っている草原や森林というよりは、湿気があまりないような竹林のようなサッパリとした印象です」
四本:
「このお茶は飲めば飲むほど新たな発見があります。温度が落ち着いてくると味わいが感じやすくなります。玉露ですが旨みの主張も強すぎず、口当たりが柔らかいです。二煎目ですが、引き続きまろやかさも感じます」
小野寺:
「ジワ〜っと染み渡ります。見てください!茶葉が開きましたね。柔らかそう…ふかふかとしています。」
四本:
「本当に緑が濃いですね。このお茶はどんなものと合わせたいですか?」
小野寺:
「このお茶は塩むすびなど、究極にシンプルなものがいいと思います。お米の味と味わうべく、今回は海苔も付けなくていいかも」
四本:
「まだ早いですが、夏を越えれば新米の季節になりますからね! 私はお豆腐と合わせたいです。京都のお茶と合わせたくなります」
小野寺:
「浅漬けやおひたしもいいかな。甘いものだと和三盆の干菓子とか、果物の甘さを味わえるようなゼリーも良さそうです」
四本:
「金平糖をつまみながらもいいですね。どちらかというとお菓子と一緒にというよりは、お茶と向き合いたくなるような、そんな一杯ですね」
小野寺:
「贅沢に玉露で玄米茶もいただきましょう。お米とも合うはずなので玄米茶も間違いないです」
四本:
「玄米の香ばしさと見事な調和をしています。玄米の香りがダイレクトに来ますが、お茶の味わいが支えてくれています」
小野寺:
「いいですね。一煎目からもそうだったのですが、このお茶は美味しいな…何がそんなに美味しいのだろう…と考えていたら飲み終えてしまう一杯です。もう少し浸りたい気もしますが、次のお茶も淹れていきましょう」
「062 ごこう」の味わいノート
・一煎目、香りと味わいにごぼうを感じる。優しく旨みが広がり、苦渋みはあまりない
・二煎目、フワッと広がる青さと甘み、変わらず苦渋みは少なく優しい。イメージとしては湿気があまりないような竹林のようなサッパリとした印象。玉露だが旨みの主張も強すぎず、口当たりが柔らかい
・玄米茶、玄米の香ばしさと見事な調和。玄米の香りがダイレクトに来るが、お茶の味わいが支えてくれる
・塩むすび、お豆腐など究極にシンプルなものと合わせたい。おひたしや浅漬け、甘いものだと和三盆の干菓子、果物のゼリー、金平糖など
カラッとした香りとまろやかな甘み。「052 さえあかり」
小野寺:
「今月2品種目は釜炒りの『052 さえあかり』です。先月登場の釜炒り茶『059 釜炒りかなやみどり』もありますので、飲み比べもできますね」
四本:
「産地や農家さん、そして品種も違いますからね。やはり釜炒りはこのクリンとしたフォルムが可愛らしいです」
小野寺:
「乾燥の茶葉もいい香りですね〜。甘さとカラッとした香ばしさを感じます」
四本:
「甘い穀物、トウモロコシを感じるような香りです。釜炒り茶なので少し高温で淹れていきましょう。一煎目、茶葉は4g、は80℃のお湯を120㎖注いで1分待ちます」
小野寺:
「釜炒り茶は蒸し製のお茶とは茶葉の開き方が違って面白いですね。そしてなんだか安心する香りがします」
四本:
「懐かしくてホッとするような香り…。茶葉が開いて急須の中で生い茂っていますね」
小野寺:
「青い香りとも違う、そして『059 釜炒りかなやみどり』とも違う香りがします。あまりこの観点で考えたことがなかったのですが、使用する釜の違いでも味わいや香りがちがってきたりするのでしょうか」
四本:
「どうですかね、気になりますね…! お茶の色、水色は澄んでいてきれいですね。いただきます」
小野寺:
「釜炒り茶特有のカラッとした香りがしますが、味わいは甘みがあってまろやかです。それと比べて『059 釜炒りかなやみどり』の一煎目は味わいも含めてよりスッキリでした」
四本:
「あ〜美味しいですね。飲み終えて少し経つと若干の苦みも感じます。余韻は長めです。まろやかさと香りが口の中を漂っているようで、ふわっと柔らかな感覚です」
続きは後半の記事へ
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