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【試飲茶会】2023年9月販売のシングルオリジン煎茶2種を飲み比べてみました!

2023年09月01日

by 小野寺友麻

東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。

煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2023年9月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。

今回は、2023年9月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。

「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。

022 かなやみどり(京都府産)

販売時期 9月〜10月
特徴 京都南部の山の頂から雲海を見下ろす秘境童仙房。高めの湯温で淹れ、立ち昇る格別の香気を味わうべし。

045 おくみどり 霧島(鹿児島県産)

販売時期 9月〜10月
特徴 ジューシーで華やかな香りが広がるおくみどり。上品な香りの骨格にふくよかな旨みのボディがのる。

小野寺:
「おはようございます!9月は京都と鹿児島、2種類のお茶が登場します」

四本:
「今月の2種類の飲み比べはもちろん、それぞれのお茶で農家さん・品種・製法など様々な観点で飲み比べが楽しめそうですよ」

小野寺:
「確実に秋に近づいていますが、まだまだ暑い日も続きそう…。お茶も温かくしたり冷たくしたり、お菓子も温かいもの冷たいもの、色んな組み合わせで楽しめる時期ですね」

四本:
「食欲の秋なので色んなものが美味しく感じられる季節です。どんなものと合わせようかな…と考えるだけでもワクワクしますよね。早速淹れていきましょう」

高温で品種の香りと心地よい苦みを。「022 かなやみどり」

小野寺:
「今月ひとつ目のお茶は京都の柚木さんが育てた『022 かなやみどり』です。早速茶葉を見ていますが、ピンっとしていてかっこいいです!」

四本:
「ピカピカに光っています。撚りがきれいです…。茶葉がどう広がっていくのか、淹れるのが楽しみなお茶ですね」

小野寺:
「『002 香駿』や先月の『017 藤枝かおり』も針のような茶葉だと思うのですが、もっと繊細な印象です。それに対して『022 かなやみどり』は力強く、そして艶やかです」

四本:
「このお茶は香りにも特徴があるお茶なので少し高めの温度で淹れていきましょうか。茶葉は4g、一煎目は80℃のお湯を120㎖注いで1分待ちます」

小野寺:
「見事に茶葉が開いていきます。なんだか早送りで植物の成長を見ているかのようです」

四本:
「茶葉が呼吸しているみたいですね。そしてどんどん葉っぱに戻っていきます」

小野寺:
「まさに生産者の柚木さんが大切にされている“復元力”ですね! ついさっき畑で摘んだようです…」

四本:
「きれいに澄んだ水色。美しいです…」

小野寺:
「茶葉からは上品といいますか、京都らしい香りがします。そして乾燥した茶葉は濃緑だったのですが、開くと明るい緑になりましたよ」

四本:
「いただきます。少し高温で淹れたので苦みが最初にきますが、口当たりはまろやかです。最後はむしろ甘さを感じるほど。このお茶はミルキーな香りという特徴がありますが、今年はより感じられる気がします」

小野寺:
「フワッと優しさが広がっていきます。口当たりもそうですし、鼻に抜ける香りがきれいですね。ずっと嗅いでいたくなるような、ホッとする香りです。爽やかでまろやか。相反するようですがそう表現したくなるお茶です」

四本:
「温度が落ち着いてくると後味も苦くなってきました。ここではあんこが詰まった最中を合わせたいです。二煎目も淹れていきましょう。85℃で10秒ほどです」

小野寺:
「このお茶のミルキーな香りとはバニラアイスも合いますよ。4月のTOKYO TEA JOURNALでバニラアイスとのペアリングを紹介しましたね。あとは最中で挟んで最中アイスもいいと思います」

四本:
「お茶の苦みとアイスの甘み、温かいお茶と冷たいアイス…背徳感を味わえるお茶時間になりそうです」

小野寺:
「二煎目が入りました。茶葉の香りには苦みを感じるようになりましたが、味わいはどうでしょうか」

四本:
「二煎目は苦みが優しく口の中に広がっていきます。ですが全体としてはスッキリ、シャキッとした印象になりました。朝にいただきたい一杯です」

小野寺:
「二煎目は口当たりもサラサラとしますね。一煎目はまろやかさと滑らかさが、二煎目は苦みがジワ〜っと口の中に広がります。二煎目の程よい苦みが心地良いです」

四本:
「それにしてもいい香り…。ずっと香りを感じられるように傍に置いておきたいくらいです」

小野寺:
「見てください! 茶葉がこれでもかというくらい開きました。茎も葉脈もしっかりわかります」

四本:
「改めてこの『かなやみどり』という品種についておさらいしましょう。かなやみどりは、『やぶきた』と『静岡在来6号』との交配で生まれた品種です。なんと、このお茶も『やぶきた』の子どもの世代でした。そして『かなやみどり』と『くらさわ』の交配で生まれたのが『香駿』です。親子三世代での飲み比べもできそうです!」

小野寺:
「静岡県の金谷(かなや)という土地でできた『かなやみどり』と駿河の地でできた香りの良い品種『香駿』。どちらも静岡にルーツがあり、香りの華やかさや味わい、そしてキリッとしている部分も含めて引き継いでいるのかと思わせてくれますね」

四本:
「今回の『022 かなやみどり』は京都府産なので、京都のお茶との飲み比べもできますね! 『062 ごこう』と比べれば、味わいや香りの違いはもちろん、茶葉の色も全く違うことがわかるはずです」

小野寺:
「あとは『022 かなやみどり』と『059 釜炒りかなやみどり』の製造違いでも比べられますね。今回の『022 かなやみどり』、様々な観点で飲み比べができそうです…!」

四本:
「二煎目の柔らかな余韻が口の中に残っているところではありますが、最後は玄米茶です。香ばしさが加わるとまたいいですね」

小野寺:
「苦みはありますが、変わらず優しい味わいです。玄米の甘みで二煎目より更に柔らかい印象になります。香ばしさと合うので最中とは間違いがなさそうです」

四本:
「『002 香駿』とも通じるところがあるので、ホワイトチョコレートなど洋菓子とも相性が良さそうです。あとは秋になるので、栗とも合わせたいです。栗ご飯と合わせたら秋を感じられそうです」

小野寺:
「みたらし団子のあまじょっぱさとも良いですし、秋刀魚など焼き魚とも合わせたいですね。魚の塩焼きや西京焼きも。お味噌汁が付いている定食が理想的です…!」

「022 かなやみどり」の味わいノート

・一煎目、少し高温で淹れたため苦みが最初にくるが口当たりはまろやか。最後はむしろ甘さを感じるほど
・二煎目、苦みが優しく口の中に広がっていく。全体としてはスッキリ、シャキッとした印象に
・玄米茶、苦みはあるが変わらず優しい味わい。玄米の甘みで二煎目より更に柔らかい印象
・最中、バニラアイス、ホワイトチョコレートなどの甘いものから、みたらし団子、栗ご飯、焼き魚などと合わせたい。

口の中に口の中に優しく広がる旨みと香り。「045 おくみどり 霧島」

小野寺:
「二つ目のお茶は、鹿児島の『045 おくみどり 霧島』です。このお茶の生産者、西さんのお茶は他にも『012 あさつゆ』と『046 おくゆたか 霧島』があるので生産者さん比べもできますね」

四本:
「旨みが好きな方には西さんファンの方が多いと思いますよ。今回の茶葉は中蒸しですが、細かめですね。そして甘〜い香りがします…!」

小野寺:
「マンゴーのような…南国フルーツを感じます。熟した果実の香りです。このお茶と比べると『005 おくみどり』が焙煎の香りだったのがわかりやすいです。見た目も『005 おくみどり』の方が茶色みがかっていて、『045 おくみどり 霧島』の方が青々しいです」

四本:
「西さんのお茶は全体的に緑が鮮やかな印象です。この色味と甘い香りが淹れていくとどう変化していくか楽しみですね。それでは基本のレシピで淹れていきましょう。茶葉4g、一煎目70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」

小野寺:
「乾燥の茶葉は南国フルーツのようでしたが、お湯を注ぐと青々しさと旨みの香りになりました」

四本:
「先ほどの『022 かなやみどり』と比べても細かめの茶葉なので開き方が全然違います。ムクムクと広がっていきます。緑も鮮やかですね」

小野寺:
「よくお客様に聞かれるのですが、このお茶に浮かぶホコリのように見えるものは、毛茸(もうじ)といって新鮮な新芽を使っている証です。『045 おくみどり 霧島』にも、その毛茸がきれいに見えます。では、いただきます」

四本:
「口元に運ぶときから旨みの香りを感じましたが、味わいも旨みを目一杯に感じます! こんなにも旨みが強いお茶だったでしょうか。旨みもありましたが、もっと甘みを感じるお茶の印象でした」

小野寺:
「旨みが押し寄せてきますね。乾燥の茶葉の香りもそうでしたが、この旨みにも驚きです。後から苦みも感じられるので、後味はあまり残りません。最後を引き締める苦みが良いアクセントです」

四本:
「『012 あさつゆ』も同じ旨みのお茶ですが、また違う系統です。『012 あさつゆ』がトウモロコシのような穀物を感じる印象に対して、『045 おくみどり 霧島』はかつお節を感じるような出汁っぽい旨みです」

小野寺:
「それにしても乾燥の茶葉の香りは不思議でしたね。でもそう言えば『034 ゆたかみどり』など鹿児島のお茶からも少しトロピカルさを感じたことがありました」

四本:
「静岡や京都のお茶だとあまり感じたことがないので、土地だったり気候がそうさせるのかもしれませんね。それでは二煎目も淹れていきましょう。二煎目は80℃のお湯を注いで10秒待ちます」

小野寺:
「水色も鮮やかになりました。二煎目も旨みの香りですが、一煎目にはなかった爽やかさを感じます」

四本:
「味わいも青さを感じます。一煎目ではあまり強くなかった苦みがジワジワと口の中に広がっていきます。このお茶は温度の変化も面白いですね」

小野寺:
「『045 おくみどり 霧島』はもっと“優等生”な印象だったので、この個性に魅せられています…。そして二煎目の苦みはお菓子とも合いそうですね!」

四本:
「王道にあんこもいいですし、洋菓子だとガレットやカヌレなど味わいしっかりめなものとも相性がいいと思います。バターをしっかり感じるクッキーや洋酒を効かせたお菓子もいいと思いますよ」

小野寺:
「お茶とカヌレ…お洒落なお茶時間になりそうですね。全然違う系統になりますが、お煎餅とも合わせたいです。米菓と相性がいい『046 おくゆたか 霧島』には塩・サラダ味を合わせたいのに対して、今回の『045 おくみどり 霧島』は醤油味だったり海苔が巻いてあってもいいですね」

四本:
「シンプルに塩おにぎりもいいと思います。昨年のTOKYO TEA JOURNALでも新米号で紹介していましたね。お煎餅もそうですが、お米の甘さと合うお茶だと思います」

四本:
「開いた茶葉も緑が鮮やかです。基本のレシピでこれだけ個性を味わえるのなら、低めの60℃から淹れてみたり、はたまた80℃から淹れてみたりと色々試してみたくなります」

小野寺:
「あとは一煎目と二煎目を混ぜたらバランス良く味わえるのではないでしょうか。玄米茶も楽しみになってきました。西さんのお茶で作る玄米茶が好みです…!」

小野寺:
「玄米茶もいいですね。落ち着きます。玄米茶にすると苦みが落ち着くお茶もありますが、このお茶は苦みも程よく感じます」

四本:
「玄米の甘みとお茶の苦みが同時に味わえますね。改めて温度でも変化が味わえる一杯でしたね。段々秋に近づいていますので色んな食材と、お菓子と合わせていただきたいですね」

「045 おくみどり 霧島」の味わいノート

・一煎目、旨みを目一杯に感じる。かつお節を感じるような出汁っぽい旨み。最後を引き締める苦みが良いアクセント
・二煎目、香りにも味わいにも青さを感じる。一煎目ではあまり感じなかった苦みがジワジワと口の中に広がっていく
・玄米茶、玄米の甘みとお茶の苦みが同時に味わえる落ち着く味わい
・王道にあんこ、醤油味のお煎餅、洋菓子だとガレットやカヌレ、バターをしっかり感じるクッキーや洋酒を効かせたお菓子、シンプルに塩おにぎりと合わせたい。

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