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【試飲茶会】2024年2月販売のシングルオリジン煎茶2種を飲み比べてみました!
2024年02月07日
by 小野寺友麻
東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。
煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2024年2月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。
今回は、2024年2月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。
「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。
038 山の息吹(静岡県産)
販売時期 | 2月〜3月 |
特徴 | どっしりと、悠然と構えた山容が目に浮かぶ。甘さと深みがある美しい山吹色の水色。 |
055 つゆひかり 武雄(佐賀県産)
販売時期 | 2月〜3月 |
特徴 | 青く華やかな香りの奥に海苔のような香りが立つ。品種特有の旨味が舌の上にジワッと広がってゆく。 |
四本:
「おはようございます。早いもので2月です。毎日寒い日が続きますね」
小野寺:
「おはようございます。年明けから本当にあっという間ですね。今月も2種類のお茶を紹介します」
四本:
「今月は静岡県と佐賀県のお茶です。どちらも旨み系の味わいではありますが、どんな違いがあるでしょうか」
小野寺:
「静岡県産は浅蒸し茶で旨み系、佐賀県産は産地の飲み比べができる品種ですね。早速飲んでいきましょう」
とろみを感じるほどの濃厚な旨み。「038 山の息吹」
四本:
「今月ひとつめのお茶は『038 山の息吹』です。このお茶はファンの方も多い品種ですね。23年の新茶でも登場しましたが、その時はまた農家さんが異なる『山の息吹』でした」
小野寺:
「見てください、この茶葉の色。目が覚めるほどの鮮やかな緑です。艶といい、美しいですね」
四本:
「茶葉自体はとても繊細な印象です。そして乾燥の茶葉の時点でもう旨みの香りが濃厚です。淹れたらどうなるでしょうか、楽しみです…!」
小野寺:
「今回も基本のレシピで淹れていきましょう。70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」
四本:
「お湯を注ぐと先程にも増して旨み、出汁感をとても感じます。どんな味わいか楽しみですね。この旨みの香りだけでお腹が空いてきた気がします」
小野寺:
「食前酒や食事の前のスープのような立ち位置のお茶かもしれませんね。そしてお湯の中でも緑が鮮やかです、ゆっくりと開いていきますが、フカフカの芝生のようです」
四本:
「注いでいる瞬間から既にとろみを感じます。水色も澄んでいてきれい…。香りはやはり旨みと、苦みも少し感じます」
小野寺:
「そうですね。茶葉の香りは青々しさがあります。この香りは既に“春”を感じます。ほろ苦さを含んだ春野菜を想わせます」
四本:
「いただきます。……とろみを感じますね。口の中が旨みで包み込まれています。でも旨みの中にも苦みを感じます。茶葉の香りそのままの味わいですね」
小野寺:
「そうですね。香りで感じるほど旨みの味わいは強くなく、程よく苦みもあるのでしつこくないです。それが春野菜を想わせますね。茶葉も見るからに柔らかそう…」
四本:
「今のラインナップを見ても、ここまでとろみがあるお茶は久しぶりかなと思います。本当に野菜などをコトコト煮込んだかのようです。旨みにインパクトがありますね」
小野寺:
「茶葉をそのまま頬張っているかのような感覚もあります。それにしても改めて、静岡のお茶は地域・品種によって全然違うのが面白いですね。香りの方向性、旨みの有無、水色も先月の『040 静7132』と全然違います」
四本:
「二煎目は80℃で10秒ほど。香りがだいぶ変わってスッキリした印象になりました。それにしても一煎目は食欲が湧く一杯でした。胃が動き出して、ご飯が美味しく食べられそうです」
小野寺:
「ご飯を食べ終わって飲みたくなるお茶もありますが、これは完全に食前ですね。水色もほんのり濃くなりました。二煎目もまろやかさは残っていますが、味わいとしてもスッキリ。爽快感さえ感じます」
四本:
「そして口当たりは優しいのですが、味わいはしっかりしています。煎を重ねて変化もありますね。一煎目は食前に飲みたかったですが、二煎目は食事中や食後の一杯でもいいかもしれません。このお茶はお醤油と相性がいいと思います」
小野寺:
「お菓子だったら歌舞伎揚などあまじょっぱいものがいいですね。おかきを齧りながらこたつでお茶を飲む風景が思い浮かびましたよ」
四本:
「出汁感とも合うと思うので、魚料理もいいのでは…。煮付けてもいいし、塩焼き、お刺身もいいですね。マグロくらい脂がのっていてもいいですし、白身魚でもいいと思います」
小野寺:
「茶葉もフワッと開きましたね。本当に緑も鮮やかです」
四本:
「温度が落ち着いてくると苦みが出てきました。一煎目はそのまま味わっていたかったですが、二煎目はお菓子やおつまみが欲しくなりますね。静岡おでんとも合わせてみたいです」
小野寺:
「黒はんぺんやダシ粉をかけて食べるおでんですよね。お出汁と一緒にいただくお茶美味しそう…。なんだか少し日本酒のようにいただきたいお茶なのかもしれません。佃煮や塩辛とも合わせたいです」
四本:
「さっきも歌舞伎揚に合いそうと話していたので、玄米茶も期待ですね。85℃、15秒ほどで淹れていきます」
小野寺:
「いい香り…。お茶の程よい苦みと香ばしさが堪らないです」
四本:
「水色もきれいですね。旨みは一煎目ほどではないですが、変わらずまろやかさは感じます」
「038 山の息吹」の味わいノート
・一煎目、口の中が濃厚な旨みで包み込まれる。旨みの中にも苦みを感じる。春野菜のよう
・二煎目、まろやかさは残っているが、味わいとしてもスッキリ。一煎目との対比が面白い
・玄米茶、お茶の程よい苦みと香ばしさが堪らない。変わらずまろやかさも感じる
・お菓子だったら歌舞伎揚、煮付けや塩焼き、お刺身などの魚料理、佃煮や塩辛などのおつまみ、静岡おでんとも合わせたい
洋菓子とも合わせてみたくなる一杯。「055 つゆひかり 武雄」
四本:
「今月2品種目は佐賀のお茶『055 つゆひかり 武雄』です。『つゆひかり』は鹿児島の『032 つゆひかり 頴娃』と鳥取の『037 つゆひかり 大山』と産地比べができるお茶でしたね」
小野寺:
「このお茶はぐり茶(玉緑茶)と言って少し茶葉がクリンとカールしているようなお茶です。今回のお茶は中蒸しなので、その形状も見えますね」
四本:
「このお茶も旨み系のお茶ですが、『038 山の息吹』とも違うでしょうか。飲み比べていきましょう。茶葉の香りは甘いです」
小野寺:
「少しフルーティさを感じる甘い香りですね。今回も基本のレシピで淹れます。70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」
四本:
「茶葉がフカフカですね。お湯を注いでからも甘めの香りがしています」
小野寺:
「このお茶は中蒸しでさっきの『038 山の息吹』と比べても茶葉は細かめですが、水色はまだまだ澄んでいます」
四本:
「注ぐと一気に旨みの香りが広がります。『055 つゆひかり 武雄』の方が青々しさのある旨みです」
小野寺:
「『038 山の息吹』がとろみを感じる濃厚な旨みだとしたら、『055 つゆひかり 武雄』はそっと隣に居てほしい、寄り添って居てほしい旨みですね。青々しさがあって、サラッとした旨みですね」
四本:
「味わいとしても甘みを感じます。落ち着く味わいです。このお茶はぜひ休日に飲みたい一杯ですね」
小野寺:
「ソファーに座ってゆっくりだら〜っとしたい気持ちになりますね。『055 つゆひかり 武雄』は飲むと満足感があるのですが、やっぱり『038 山の息吹』はお腹が空きましたね(笑)」
四本:
「お煎餅もいいけれど、このお茶はクッキーなど洋菓子ともいいですね」
小野寺:
「以前はチョコレートとも合わせましたよね。同じ品種の『032 つゆひかり 頴娃』はどちらかというと苦みのお茶なので、また合わせたいものが変わりますね」
四本:
「二煎目は80℃で10秒ほど。水色も鮮やかになりました」
小野寺:
「全然苦みは強くないですね。でも『032 つゆひかり 頴娃』に被る部分も見えてきました。青々しさも際立ってきます」
四本:
「このお茶も冷めてくると苦みが出てきそうな印象ですが、引き続き甘みを感じます。二煎目でよりチョコレートと合わせたいです。板チョコよりは生チョコやトリュフチョコのように口どけがいいもので合わせたいですね」
小野寺:
「口の中でトロ〜っと味わいたいですね…!」
四本:
「そういえば、最初は緑茶とチョコがこんなに合うとは思いませんでした。改めて面白いな、と。どんなものでも合う組み合わせがありますね」
小野寺:
「チョコレートもシングルオリジンだったり、加工によって舌触りが異なったりしますし、色んなお茶と合わせてみたくなりますね。2月は街中でチョコのお菓子と出会える機会も多いですからね、色々試してみましょう」
四本:
「茶葉もきれいに開いていますね。ご飯系だったら卵料理…オムレツと一緒に食べたいいです」
小野寺:
「いいですね。ご飯系もやっぱり洋ものでしたね。でも今日のところは甘いものがいい気分。そしてなぜだか大福や羊羹よりは洋菓子を求めてしまいますし、密度しっかりというよりもふわふわトロトロとしているものがいいかもしれません」
四本:
「三煎目は玄米茶です。甘かった茶葉の香りはだいぶ落ち着きましたが、味わいは甘めです。『055 つゆひかり 武雄』は玄米を立ててくれる玄米茶になりますね」
小野寺:
「玄米茶もスッキリな印象でした。余韻も短めでしたし、一煎目からも旨みはありましたがあっさりとしていましたね」
四本:
「またそこも今月の2品種は対照的でした。このお茶は二煎目以降も苦渋みが強くないので、少し熱めのお湯で淹れても良さそうですね」
小野寺:
「熱めで淹れてバニラアイスと合わせるもの良さそうです…。『055 つゆひかり 武雄』でまったりと優雅な休日を過ごしたいですね」
「055 つゆひかり 武雄」の味わいノート
・一煎目、甘みを感じる落ち着く味わい。旨みは青々しさを感じるサラッとした味わい
・二煎目、苦みは強くなくむしろ甘みを感じる。青々しさも際立ってくる
・玄米茶、引き続き甘みを感じる。三煎目まで比較的スッキリとした印象
・クッキーやチョコレートなどの洋菓子(チョコレートは特に生チョコやトリュフチョコなどの口どけがいいも)ご飯系だったらオムレツなどの卵料理とも合わせたい
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