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【試飲茶会】2023年10月販売のシングルオリジン煎茶2種を飲み比べてみました!
2023年10月03日
by 小野寺友麻
東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。
煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2023年10月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。
今回は、2023年10月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。
「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。
063 さやまかおり(静岡県産)
販売時期 | 10月〜11月 |
特徴 | 凝縮された濃厚な花香、それを支える太い味わい。品種の萎凋特性を素晴らしく引き出した逸品。 |
006 ゆたかみどり 知覧(鹿児島県産)
販売時期 | 10月〜11月 |
特徴 | ゆたかみどりの特徴を活かした強い焙煎で芳しい火香をつけた技ありの逸品。 |
小野寺:
「おはようございます。早いもので10月です。温かいお茶も美味しい季節になってきましたね」
四本:
「おはようございます。そうですね! 今月も静岡と鹿児島、2種類のお茶をご紹介します。どちらも香りに特徴があるお茶ですよ」
小野寺:
「静岡からは初めて取り扱いのお茶を紹介します。もう一つの鹿児島からのお茶はファンの方も多い、香ばしいタイプのお茶です」
四本:
「まずは初めましてのお茶から淹れていきましょう。どんな味わいなのか楽しみです…!」
紅茶のように香ります。「063 さやまかおり」
小野寺:
「今月一つ目のお茶は、『063 さやまかおり』です。9月のTOKYO TEA JOURNALで『和紅茶 さやまかおり』をお届けしましたが、今回は煎茶の『063 さやまかおり』です。煎茶と和紅茶の飲み比べが叶います…!」
四本:
「農家さんも初めてお世話になる井村園さんです。まずは茶葉から見ていきましょう。見た目は少しクリンとしていますね! 香りが…青くないです。少し烏龍茶に近いような風味ですよ」
小野寺:
「烏龍茶に近いというのが分かります。香ばしさとも取れるような…今まで出会ってきたお茶とは違う印象です。このお茶は特徴として萎凋香があるので、それが出ているのかと思います」
四本:
「実際にお湯を注いでいくと香りが立つはずなので、淹れていきましょう。味わいも楽しみですね! まずは基本の淹れ方にて。茶葉4g、70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」
小野寺:
「和紅茶のときにも話しましたが、『さやまかおり』という品種は肉厚で寒さに強く、全国で広く育てられている品種です。煎茶に加工されるときは深蒸しが多いそうですが、今回は中蒸しのお茶です」
四本:
「お湯を注いでみました。今まであまり出会ったことがない香りがします…。乾燥の茶葉もそうでしたが青くなく、旨みの香りでもありません。やはり紅茶に近いような香りです。不思議…」
小野寺:
「これまでも程度の違いはありましたが、萎凋香が特徴のお茶もありましたね。『017 藤枝かおり』や『010 ふくみどり』などですが、香りに青々しさは感じていました。その青さを取り除くとこんな香りになるのでしょうか。花のような香りです」
四本:
「茶葉も開いてきました。見た目は緑茶なのに香りが紅茶のよう…まだ飲む前なのに既に面白いです。茶葉はしっかりとしています」
小野寺:
「中蒸しのお茶ですが、一煎目から水色が濃いめです。そして注ぐときに少し濃度を感じました。トロトロとしている気がします。そして香りも緑茶よりは烏龍茶や紅茶に近いです。正に萎凋という工程が烏龍茶や紅茶になる前段階ということなのでしょう」
四本:
「それではいただきます。……まず口当たりはまろやか。とろみを感じるのですが、これは旨みとも違うような。香りの華やかさと、渋みの感じ方が紅茶に近いように感じます。花の蜜のような甘さもあります」
小野寺:
「味わいは力強く、ボディ感があります。でも紅茶を飲むときと比べると圧倒的にスッキリ。花香は感じるけど、緑茶を飲んで感じる青々しさはない。口に含んでから飲み終わるくらいまでは紅茶を感じて、その後飲み終わってからしばらくしてからの余韻は緑茶を飲んだ後の感覚です。不思議…」
四本:
「余韻には爽やかさを感じます。物凄くピンポイントにいうと、飲み込んだ瞬間が一番紅茶を感じるかもしれません(笑)。また冷めてくると苦渋みも強くなってきます」
小野寺:
「飲み終わった後、深呼吸するとまた美味しいです。この萎凋のお茶の余韻が好みです。この後どんな変化があるでしょうか、二煎目も淹れていきましょう。二煎目は80℃のお湯を注いで10秒ほどです」
四本:
「一煎目にはやはりとろみがあったようです。二煎目はサラサラとしています。そして二煎目の方が緑茶のイメージに近づいて、一煎目の烏龍茶や紅茶を感じていた感覚は落ち着きました。苦渋みがあって、甘いものも欲しくなります」
小野寺:
「一煎目に続いて、余韻まで美味しいお茶です。二煎目も爽やかさと華やかさがいいです。余韻には甘さがあって、オシャレな味わいです。水出しや急速冷茶などもトライしていきたいですね」
四本:
「茶葉は肉厚、しっかりとしています。そして特に一煎目でしたが、このお茶は紅茶っぽさがあるので洋菓子と合わせてみたくなります。
お茶の香りを楽しみたいので紅茶にも合うようなチーズクッキーとか、シュークリームのようなクリーム系もいいと思います。ご飯系だと、キッシュとかクロックムッシュもいいですね」
小野寺:
「チーズとかベーコンとも相性良さそうですね。パスタもペペロンチーノからカルボナーラまで良さそう…。それにしても萎凋の世界は広かったですね!
今回のお茶で、萎凋香はまだまだこんなもんじゃないということが改めてわかりました。そんな個性派の『063 さやまかおり』ですが、玄米茶はどうなるでしょうか」
四本:
「玄米茶は85℃で15秒ほど。一煎目と二煎目の変化も面白いお茶でしたからね。玄米とどう合わさっていくでしょうか。このお茶は雨の日に飲みたいお茶かもしれません。シャキッと気持ちを元気にしてくれます」
小野寺:
「三煎目、玄米を立ててくれますね。一煎目と二煎目は個性派でしたのでお茶が目立ってくるのかと思いましたが、玄米の香りを支えてくれています。喧嘩するどころか、手を取り合っていますね」
四本:
「お米の穀物感と、後から花っぽさも感じて…また新しい一面を見れました。本当に雰囲気がガラリと変わります。煎を重ねて存分に楽しめますね。まだまだ仲良くなっていきたいお茶なので色んな飲み方で、シーンで味わっていきたいですね」
「063 さやまかおり」の味わいノート
・一煎目、味わいは力強くボディ感がある。口当たりはまろやか。香りの華やかさと渋みの感じ方が紅茶に近いように感じる
・二煎目、一煎目の烏龍茶や紅茶を感じていた感覚は落ち着く。苦渋みがあり甘いものも欲しくなる
・玄米茶、玄米を立ててくれる。お米の穀物感と後から花っぽさ、また新しい一面を見せてくれる
・チーズクッキー、シュークリームなど紅茶に合わせたいお菓子や、ご飯系だとキッシュ、クロックムッシュ、ペペロンチーノやカルボナーラなどパスタとも合わせたい。
香ばしさに癒されます。「006 ゆたかみどり 知覧」
小野寺:
「今月二つ目のお茶は鹿児島の『006 ゆたかみどり 知覧』です。久しぶりの登場ですね!」
四本:
「火香、香ばしいタイプがお好きな方にオススメです。茶葉も見ていきましょう。香ばしいお茶ではありますが緑が鮮やかです。そして中蒸しですが細かめの茶葉です。これは水色にも期待してしましますね」
小野寺:
「いい香りです。香ばしさが鼻腔いっぱいに広がります。お茶の甘さ、旨みの香りも感じるのですが香ばしい。火入れが129℃10分という高温です。先ほどの『063 さやまかおり』の火入れは生だったので、今月は香ばしさの対比も楽しめますね」
四本:
「それでは一煎目から淹れていきましょう。茶葉4g、70℃のお湯を120㎖注いで1分20秒待ちます」
小野寺:
「茶葉が細かいですね。あ〜この香り『ゆたかみどり』を感じます。お湯を注いだ瞬間から香りが広がります」
四本:
「旨みの香りがしますが、その出汁感は昆布や椎茸ではなくでチキンスープを感じます。若干のしょっぱさを感じるような印象です」
小野寺:
「いただきます。……美味しい。甘みと旨みが来て、段々苦みまではいきませんが香ばしさの余韻が残ります。この香りと味わいにとっぷりと浸かっていたいです」
四本&小野寺:
「いや〜秋ですね!(笑)」
四本:
「味わいの濃厚さと香ばしさが、秋を感じさせますね! 『ゆたかみどり』という品種はあさつゆ自然実生から育成されています。また、『ゆたかみどり』の子どもの世代には『おくゆたか』があるので、飲み比べもできそうですね」
小野寺:
「このお茶、急冷茶も美味しそうです。では二煎目も淹れていきましょう。80℃のお湯を注いで10秒ほど」
四本:
「茶葉も細かめだったので水色も出ますね。ここから秋冬に向けて水色があって味わいが濃厚なお茶も飲みたくなります。二煎目、より香りが凝縮された香りがします」
小野寺:
「色もきれい…いいですね。どっしりとした味わいになりました。二煎目で苦みがくるのかと構えましたがそこまで強くありません。基本は甘みと旨み、そして一煎目よりも重たい印象になりました。何と合わせようかと考えるのが楽しそう…」
四本:
「ナッツと合いそうです!」
小野寺:
「ちょっと『燻製ピスタチオ』と合わせてみませんか?」
四本:
「わ〜合いますね。塩味のあるピスタチオと『006 ゆたかみどり 知覧』が合うと甘さを感じます。なんだか大人のペアリング…」
小野寺:
「秋が深まりましたね。カシューナッツも合わせたら美味しそう…。きのこのクリームパスタなどご飯系もいいと思います。きのこのリゾット、チキンのクリーム煮も食べたくなってきました。普段使いにもいいですね」
四本:
「それでは最後は玄米茶です。三煎目もしっかり水色が出ますね」
小野寺:
「三煎目になると旨みの印象は軽くなってきますね。二煎目までのどっしりとした味わいも落ち着いてきました。香りは香ばしさ満点ですが、味わいはサラッとしてきます。玄米もピスタチオも香ばしさとの相性抜群でしたね」
四本:
「今月はどちらも煎を重ねての変化が面白くて、総じて大人な味な印象です。香りの方向性は全然違うので、どちらが好みか体感してみてくださいね。香りや味わいからも秋を味わっていきましょう」
「006 ゆたかみどり 知覧」の味わいノート
・一煎目、最初に甘みと旨みが来て、段々苦みまではいかないが香ばしさの余韻が残る
・二煎目、どっしりとした味わいに。基本は甘みと旨み、苦みは強くない。一煎目よりも重たい印象に
・玄米茶、香ばしさ満点。三煎目になると味わいもサラッとしてくる
・『燻製ピスタチオ』などのナッツ、きのこのクリームパスタ、きのこのリゾット、チキンのクリーム煮などご飯系とも合わせたい。
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