おいしいお茶を淹れると、お茶菓子が欲しくなる。おいしそうなお菓子を見つけると、どんなお茶を淹れようか想像してしまう。煎茶堂東京のお茶と過ごす日々の中で、おすすめしたい“とっておき”のペアリング菓子をご紹介します。
今回、食いしんぼうデザイナーの神(ジン)が紹介するのは、シンプルな味わいだからこそ、その技量が光る洋菓子3種です。
こけし屋の洋菓子
西荻窪の駅前に店を構える「こけし屋」は、1949年創業。本館と別館に分かれており、本館には1階の洋菓子売り場だけでなく、喫茶店やレストラン、宴会場などがあります。
別館のレストランでは、月に1度「朝市」を開催。地元民が朝早くから集まり、様々なパンやカレー、ハヤシライス、コーヒーなどを味わっています。私も昨年の春に一度行きましたが、活気に溢れた朝市に、とっても元気をもらえた記憶が。
1月はお弁当の販売のみだったようですが、気になる方は店頭か公式サイトをチェックしてみてくださいね!
魅力的なケーキに目移り
洋菓子売り場のショーウィンドウに並ぶのはシンプルな洋菓子たち。お茶もお菓子もノープランでお店に向かったのですが、どうも選びきれずに「あれも食べたいこれも食べたい」とショーウィンドウの前をウロウロウロウロ……
周りを見ると、私と同様に遠くからケーキを睨んで悩む人もちらほら。分かります、その気持ち!私の後ろに並ぼうとする人に、「お先どうぞ…!」を何回も言ってしまいました。
こけし屋でよく噂を聞くのはスポンジに洋酒をたっぷり染み込ませた「サバラン」。ずっと興味津々ではいたのですが、実はサバラン自体を食べたことがなく、タイミングが合わずにいたお菓子。気になる。
上品な四角のフォルムのイチゴのショートケーキも、チョコクリームとチョコカスタードでワントーンの潔さを持つエクレアも気になる。結局、3つ全てを持ち帰りました。考えるのにもう疲れ果て、早く甘いものを脳みそに送りたくなったというわけです(笑)
素朴な味に、身体が喜ぶティータイム
なるべく地面と並行に保ちながら持ち帰り、箱からそっと出して大きなプレートにレイアウト。家にあるカップの中でいちばん上品なものを選び、お茶を淹れます。
今回は鹿児島県・種子島の「051 松寿」。スイートコーンのような香りと表現される「051 松寿」は、SNSで見ているとファンも多いよう。
ああ、どれから食べよう!幸せすぎる迷いに打ち勝ったのはサバラン。口の中に入れるとジュワッとたっぷりの洋酒シロップが溢れ出します。こちらは渋みのあるお茶が合う。「002 香駿」「044 うじみどり」あたりがいいかもしれません。
ショートケーキのバターの味わいと「051 松寿」を合わせると、舌の上でじんわりとまろやかな香りが広がり、お茶の奥行きが感じられます。
ショートケーキも、エクレアも、シンプルな味わいなのだけど、全体のバランスのよさがキラリと光る。全てにおいてそうだと思うのですが、シンプルなものほど丁寧さと完璧さが必要で、そこを怠るとアラが目立ったりしてしまうものです。
2021年、72年目を迎えるこけし屋の洋菓子は、どこをとってもシンプルで素朴。その味を守り続け、今も愛され続ける素晴らしさに感服しながら、これまた美味しいお茶をひと口飲むと、全身が喜びに満ち溢れるのを感じるのでした。
こけし屋
商品名・価格 | サバラン 240円(税込) ショートケーキ 330円(税込) エクレア 215円(税込) |
販売期間 | 通年販売 |
販売場所 | こけし屋 〒167-0053 東京都杉並区西荻南3-14-6 |
営業時間 |
10:00〜20:00(火曜定休) ※現在、通常の営業時間を変更して営業しています。(2021年1月時点)最新情報は公式サイトをご確認くださいませ。 |
URL | http://www.kokeshiya.com/ |
紹介したスタッフ
煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー
神 まどか
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青森県生まれ。よく飲みよく食べよく眠る。好きな食べ物は「豆花」。突拍子もなく大きい声で歌うのが好き。朝に弱いけど早起きに憧れます。 |