
麻生要一郎「1月は、誕生日。」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭エッセイ
2023年02月15日

by 煎茶堂東京編集部
TOKYO TEA JORUNALの巻頭コラムを飾る、料理家・麻生要一郎さんのエッセイ。季節を感じながら、毎日のちょっとした幸せを見つけられるような麻生さんのエッセイをお楽しみください。月に一度更新予定。
1月は、誕生日。
初めまして、麻生要一郎と申します。料理を作ったり、文章を書いたりしながら、猫とパートナーと暮らしています。1月というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょう? お正月に成人式、新しい一年が始まる節目の月。
僕にとって、1月は誕生月。ここ数年は、パートナーと家族のような友人達と食卓を囲み、穏やかな誕生日を過ごしています。そして、誕生日の4日後は、若くして亡くなった父の命日。気が付けば、僕は父よりも年上になっていた。
何の前触れもなくある日突然亡くなり、やり残した事もたくさんあっただろう。苦労したけれど、僕は今幸せだよ……そんな事を思いながら誕生日ケーキのろうそくを消している。
日々の食卓、何気ないお茶のひと時、猫のトイレの砂を変える事だって、僕にとって大切な今。些細な日常の出来事は、今日も明日も同じ事の繰り返しではない。些細な日常は、ちょっとした事で一瞬にして失われてしまう。だからこそ、良い事も、そうでない事も、一つ一つやわらかく受け取って、明日に繋げたいと思っている。
去年の誕生日は、美しい佇まいのチョコレートケーキだった。今年はどんなケーキが出て来るのだろうかと、今から心待ちにしている。
麻生要一郎
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あそう・よういちろう|1977年1月18日生まれ。茨城県水戸市出身。料理家・随筆家。 家庭的な味わいのお弁当が評判となり口コミで広がる。雑誌への料理・レシピ提供、食や暮らしについての随筆を行う。初の単行本『僕の献立 本日もお疲れ様でした』(光文社刊)を刊行。2022年1月には第2弾『僕のいたわり飯』(光文社刊)も。 |
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Illustration:fancomi
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