6,000円以上で送料無料!平日9時までの注文で当日出荷。金(9時以降)~日祝は翌営業日発送。

麻生要一郎「2月は、ストーブ。」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭エッセイ

2024年02月19日

by 煎茶堂東京編集部

TOKYO TEA JORUNALの巻頭コラムを飾る、料理家・麻生要一郎さんのエッセイ。季節を感じながら、毎日のちょっとした幸せを見つけられるような麻生さんのエッセイをお楽しみください。月に一度更新予定。

2月は、ストーブ。

 寒くなった冬の日にカフェでストーブを 見かけると、島で宿をやっていた頃、年末 年始に友人達と集まったことを思い出す。

 冬の眩しい陽だまりの中、ストーブをつ けて、畳の上に皆で寝転がった。最初は 色々な事を喋っていたけれど、しばらくすると、しんと静かになって、ストーブが燃 える音だけが聞こえていた。お陽様の光と ストーブの温もり。一番快適な場所を選ん でいたのは、チョビである。陽の傾きと共 に移動しているから、目を開けると居場所 が変化。時には誰かのお腹の上にいること もあった。

 ストーブの上に鍋をのせて炊いた小豆は 格別な味わいがした。弱火で放ったらかした感じが丁度良いのだろう。焼き立てのお餅につけて、起き抜けに皆で言葉少なく食べた。餅に関心のないチョビは、薄目を開けてこちらの様子を伺っている。また眠そうにあくびをしながら立ち上がって、大きくノビをしてから、光のある方にゆっくり移動した。じんわり暖かくて、小窓から覗く炎は安らぎを与えてくれる。いつまでも続いて欲しいような、のんびりとした幸せな時間だった。 

 気がつくと周りに人や動物が集まって、あたたかで、安らぎを与え、多くを語らず、煮炊きまで出来てしまう。そんな人になりたいと、いつも思っている。あなたのストーブの思い出をお寄せ下さい。

麻生要一郎

あそう・よういちろう|1977年1月18日生まれ。茨城県水戸市出身。料理家・随筆家。 家庭的な味わいのお弁当が評判となり口コミで広がる。雑誌への料理・レシピ提供、食や暮らしについての随筆を行う。初の単行本『僕の献立 本日もお疲れ様でした』(光文社刊)を刊行。2022年1月には第2弾『僕のいたわり飯』(光文社刊)も。

TOKYO TEA JORUNAL

お茶の定期便「TOKYO TEA JORUNAL」を購読すると、毎月、季節をテーマにお茶とレシピ掲載の冊子が届きます。

巻頭で連載している麻生要一郎さんのコラムにお便りを送ると、麻生さんからの返信を紙面でもらえるほか、最大5,000円のクーポンをお送りしております。

TOKYO TEA JORUNALについて詳しく見る

Illustration:fancomi

関連記事