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運行開始半年で利用者7,500人突破!JR九州D&S列車『36ぷらす3』と煎茶堂東京が歩んだ軌跡
2021年06月30日
by 小野寺友麻
2020年秋に運行開始した、JR九州のD&S列車『36ぷらす3』。煎茶堂東京は、日本茶体験ワークショップの企画・監修、「36ぷらす3」コラボ商品の開発に関わりました。
運行までさまざまな苦労や葛藤があった思い出深いプロジェクトを、煎茶堂東京の関係者で振り返ります。
登場人物はこちら。
竹林=煎茶堂東京・広報/生産管理 今回のプロジェクトの担当者
谷本=煎茶堂東京・デザイナー デザイン制作担当
小野寺=東京茶寮・バリスタ ワークショップ研修担当
「九州をまるごと。世界に感謝の輪を広げたい」壮大なプロジェクトのスタート
竹林:お話を初めていただいたのが、たしか2019年の11月でした。運行開始予定が、2020年の10月ということでプロジェクトをスタートして、そのあとコロナ禍、豪雨*という大変な状況に・・・!約2カ月の予定延期を乗り越え、11月に晴れて運行開始になりました。
*豪雨被害に遭われたのは煎茶堂東京のワークショップ開催日である木曜日走行ルート。他の曜日は予定通り走行スタートしました。
谷本:そういういきさつもあり、想いを込めていた分、ものすごく大変なこともあり長い時間がかかりました。おかげで僕たちにとって思い出深いプロジェクトとなりましたね。
改めて「36ぷらす3」というコンセプトを振り返ると、「36」は、九州が世界で36番目に大きい島という意味。「ぷらす3」っていうのが、「お客さま・地域のみなさま・JR九州」の3つを含めて39、つまりサンキューということで感謝の輪を広げたいというコンセプトです。それとダブルミーニングで「ぷらす3」には「驚き・感動・幸せ」の意味を込められたんだとか。
観光列車といわれるジャンルで、僕は恥ずかしながら有名な「ななつ星」くらいしか知らなかったんですが、787系とも呼ばれ、デザイナーの水戸岡先生が初めて一から設計した型式だそうです。
すごく記念碑的な列車なので、ものすごく想いこもってるんだろうなと、2019年の一番最初のお打合せのときにお話をお伺いして感じました。あのときの打ち合わせは鮮明に覚えているんです。
竹林:初回の打ち合わせでは、JR九州さんがなぜ弊社に頼んでくれたかというところが印象的でした。お茶屋は全国にもいくつもあるし、九州であれば福岡の八女や鹿児島の知覧など、数多く名産地がある中で、先方が熱心にうちの急須やお茶のプロダクトのどこが良いのかご説明してくださって。笑
九州を一部の地域ではなく、全部網羅して取り扱いたいということを言ってくださいました。煎茶堂東京は、日本全国のお茶を産地にこだわってセレクトしてるというのが良さであり特徴であったので、すごく光栄でした。列車内のお茶体験ワークショップというパートで弊社が携われることがすごく楽しみでしたね。
谷本:今回の36ぷらす3のコンセプトにある「地域のみなさま」っていうところのポイントは、僕たちとしてもすごく共感をしています。僕は出張で九州にはよく行っていたし、生産者を通じて地元を良くしたいという想いを聞いていました。そこをきちんと見据えている鉄道会社としてのプライドがある仕事なんだろうなっていうのを感じたのを覚えてますね。
運行開始を実現した熱きパートナーシップ
竹林:JR九州さんのご担当者の石井さんが本当に熱心な方で。
谷本:そうですね。お茶や弊社のデザインに対する入念なリサーチがものすごかった。僕たちよりもJR九州さんのほうが、歴史と規模において圧倒的に大きい会社なので、どういうパートナーシップになるかなと思ってたんですけど、とても誠実にカッチリやってくださり、さすがだなというか。逆に、こっちがオロオロするっていうか、僕たちがこんなにやりやすくていいんですか、みたいな感じ。こちらの身が引き締まったところがありますね。
竹林:谷本さんの九州出張の前日に、急だったのでダメもとでお誘いをしたら、行きますと即答してくださいましたね。産地への出張に、2度も同行してくださいました。
谷本:博多から鹿児島、そして日置まで移動するっていう結構な工程を即断即決で来てくださるというすごさ。笑
列車の工程では、日置のほうは停車しませんが、鹿児島の西側、海の近くの駅で止まる時間があるみたいで、そうした海沿いの景色が見れる茶園を見ていただけて良かったです。
茶園訪問時の映像はこちらから。
「木曜ルート」ワークショップ開催へ。コロナ禍でのチャレンジ
小野寺:東京茶寮で行ったお茶の研修では、JR九州のプロジェクト担当のみなさま、客室乗務員のみなさまが参加してくださいました。2020年に2回実施して、お茶の基本的なことからはじめて、茶葉を見比べたり、カップで味わいがどう変わるのか、水(軟水・硬水)の違いなどを実体験で学んでいただきました。
急冷茶の作り方の実践や、実際に使う7種類の茶の飲み比べもやっています。最後はワークショップを通しで講師が実践し、そのあと研修を受けていただいた方にも実践していただくのですが、みなさま本当に熱心に取り組んでいらっしゃいました。
いま運行している「木曜ルート」でこのワークショップを開催していただいているようです!
谷本:実施始まってると思うので、僕たちも試しに行きたいですね。
竹林:行きたいですよね~!
小野寺:運行開始直前に映像をリアルタイムでつないでもらって列車を見せてもらいましたよね。私は録画で見させてもらって、実際に研修があったのをやっていただいているんだなと実感が増し、そういう過程もありがたかったですね。
谷本:お茶を楽しむための手間のかかる工程も、省略せずやっていただきました。お湯の温度や量を測ったり、茶葉を計量したりとか。現場で大変内装もめっちゃ豪華だし。映像見たときには驚きました。
小野寺:実際見たら絶対、違うんだろうなと思います。
谷本:あれはヤバい車両だなと思いました。
一番最初の商談のときにいただいた資料のままでした。細かくは変更点もあると思うんですけど、見た印象でいうと変わらず、こんなものができんのかいな、みたいな。江戸時代の歌川広重の浮世絵みたい。
小野寺:色合いとかね。
谷本:組子があって、畳敷きの床があって、初めて資料を見たとき、すごい驚きましたよね。それが実現できるという、その狂気のこだわりが本当すごいですね。
列車って防火基準が厳しいみたいで、木造とか畳で作るのが本当にすごいことらしいですね。ビュッフェ車両も特徴的な円形の天井、ドーム型の天井だったりとか、すごいとしか言いようがない。
小野寺:それが走ってるって信じられないですもんね、いまだに。
谷本:やっぱり、新幹線を僕たちは想起しますけど、全く違うと思います。
新幹線はもっと速くて、速さと移動のための合理的なものだと思いますけど、
この列車は途中駅で止まって買い物したりとか、その地域に落としていくみたいなところ含めての体験をやるっていう意味で、こんないい車両はないなっていうふうに思いますね。
後日、「36ぷらす3」名入れエンブレムをいただく・・・!
竹林:また、先日「36ぷらす3」にご協力した企業として、煎茶堂東京の名前が入ったエンブレムをお送りいただきました。なんと、車両の外観、内装に使用しているエンブレムと同じ電気鋳造で制作いただいたそう。
谷本:13インチのMacBookぐらいのサイズ感の、36ぷらす3の金ピカのエンブレムです。
毎度、手書きの手紙をつけてくださったり、お年賀のあいさつなどもしてくださって。見習うところが多いです。
竹林:毎回、メールのあとにもご丁寧にお電話をいただきます。私たちとしても、これからもお力添えできたらなと思いますね。
谷本:そうですね。お茶も収穫した年ごとに変わっていくので継続してサポートしていければと思います。ちなみにJR九州茶葉で好きなものはありますか?
小野寺:「052 さえあかり」の釜が好きでした。はるもえぎとも違うけどいいんですよ。それと、「054 あさのか」が好きです。
竹林:私は「053 はると 34」ですかね。これ女性好きだろうなっていうのを本社スタッフと話してて。香駿に近いような品種というか。うちの人気茶葉に入り込むんじゃないかなと思います!
小野寺:水出しすると、好評いただけるかなっていう。谷本さんもはるとお好きですよね。
谷本:そう。このはるとはコロナ前から何度か仕入れについてコミュニケーションを取っていて、今回の件で、宮崎県の茶葉としてはるとを入れられないか電話したのを覚えています。その辺のエピソードを込みで、僕は感慨深いです。
コロナが明けたらっていう枕詞をいれなきゃいけないのが心苦しいんですけど、今度ぐるっと一周周って見るっていうのをやりたいですね。
竹林:そうですね、まずは運行を無事に開始されて本当に良かったです。弊社として引き続きお力添えできる部分を探しながら、これからもお付き合いできたらと思っています。
36ぷらす3のご予約・お問い合わせはこちらから
https://www.jrkyushu-36plus3.jp
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