
【試飲茶会】2022年9月販売のシングルオリジン煎茶2種を飲み比べてみました!
2022年09月01日

by 小野寺友麻
東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。
煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は50種類以上。(2022年9月時点)その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。
今回は、2022年9月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本(よつもと)と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。
「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。
022 かなやみどり(京都府産)
販売時期 | 9月〜10月 |
特徴 | 京都南部の山の頂から雲海を見下ろす秘境童仙房。高めの湯温で淹れ、立ち上る格別の香気を味わうべし。コクのある味わい、そして茶葉の開きの美しさは圧巻です。 |
035 さきみどり 彼杵(長崎県産)
販売時期 | 9月〜10月 |
特徴 | 大村湾を望む絶景に育まれる、青々として艶のある茶葉。素直でまっすぐ、シャープな渋みが爽やかな好青年風。鮮やかな水色、温度で変化する苦みを味わえます。 |
四本:
「だいぶ過ごしやすい日も多くなってきたでしょうか。そしてだんだん日も短くなってきましたね。もう9月ということで、今月のお茶も飲んでいきましょう」
小野寺:
「9月は、京都と長崎のお茶が登場します。産地もそうですが、浅蒸し茶と深蒸し茶で見た目にも比べ甲斐がある2種類ではないでしょうか?」
四本:
「京都のお茶は少し久しぶりでしょうか、楽しみですね!」
小野寺:
「そうですね。京都のお茶は玉露など、旨みが多いお茶のイメージもありますが、今回のお茶は旨み少なめのお茶です。長崎のお茶も、煎茶堂東京での取り扱いは唯一なので、その点も味わいながら飲んでいきましょう!」
まろやかスッキリ。復元力を体感できる「022 かなやみどり」
「022 かなやみどり」どんなお茶?
京都南部の山の頂から雲海を見下ろす秘境童仙房。高めの湯温で淹れ、立ち上る格別の香気を味わうべし。浅蒸し茶ファンは見逃せない一品。目で見て、香りで、味わって…五感が研ぎ澄まされるよう。
四本:
「こちらのお茶は7月からジャスミンティーのベースとして取り扱っていましたが、今回はその『かなやみどり』のシングルオリジン煎茶です。実はシングルで飲むのは初めてなので、とても楽しみです…!」
小野寺:
「ジャスミンティーがお好きだった方には是非、シングルでも味わっていただきたいです」
四本:
「茶葉も見てください、葉っぱがしっかりとしているのがわかります!」
小野寺:
「きれいな浅蒸し茶ですね。表面がツヤツヤしています」
四本:
「乾燥した茶葉はあまり香りがないですか?でも『かなやみどり』は香りに特徴のある品種なので、お湯を注いでからに期待します」
小野寺:
「浅蒸し茶好きとしては、お湯を注いでからの茶葉の開きにも期待…。揉み工程にこだわりを持つ柚木さんが作る“復元力”のある茶葉(急須の中で開いて、蒸した状態の茶葉に戻るお茶)を淹れるのが楽しみです!」
四本:
「今回も基本のレシピで淹れていきます。一煎目は70℃120㎖のお湯を注いで、1分20秒待ちます」
小野寺:
「すごい…期待を裏切りません。茶葉の開きが美しく、むくむくと撚りが解けていきますね」
四本:
「本当にきれいですね」
小野寺:
「煎茶堂東京の『かなやみどり』は京都で作られていますが、元々は静岡にルーツがあるお茶です。静岡県中部の金谷(かなや)で生まれた品種で、優良品種『やぶきた』との交配で作られた品種です。そして『かなやみどり』と『くらさわ』の子の品種となるのが『香駿』です」
四本:
「透き通るような水色ですね。香りも出てきます…少し根菜を想わせるような香りがします」
小野寺:
「苦みが最初にきますが、後味はスッと馴染んでいくような…口の中に優しさが残りますね」
四本:
「旨みは少ないのですが、口当たりが滑らかと言いますか、まろやかさがあります。旨みが少ない浅蒸しの茶は、どちらかというとシャープな印象だったので、いい意味で裏切られました」
小野寺:
「柚木さんが仰るコクというのがこのまろやかさなのでしょうね。そして一煎目だとまだ茶葉が開ききっていないので、二煎目以降の茶葉の開きにも注目です!二煎目は80℃で温度を上げるので、より香りがたつのも楽しみです」
四本:
「二煎目も変わらず、きれいな澄んだ水色です。そしてまさに“復元力”。茶葉が一枚一枚に戻る力が感じられますね!」
小野寺:
「茶葉の開き方は圧巻です!味わいは一煎目に比べるとスッキリとします。苦みも少なくなる印象なので、まろやかさが際立ちます」
四本:
「表現としては矛盾しているのですが、スッキリまろやかです。『かなやみどり』はミルク香があるとも表現をされるお茶ですが、後味にラテを飲んだ後のような余韻があります」
小野寺:
「面白い表現ですね!他のお茶だと口の中に渋みが残ったり、旨みの余韻が続いたりするお茶もありますが、このお茶は香りの余韻に包まれますね。もっと高温で淹れたり、少し冷めるのを待ってみたり、急速冷茶にしてみたり、色々な温度とタイミングで好みの味わいを探求したいです」
四本:
「是非この香りや味をみなさんにも味わっていただきたいですね。どんな香りがするか、みなさんと語り合いたくなります」
小野寺:
「最後は玄米茶です。三煎目もまろやかさを発揮していますね。玄米の香りと相まって、余韻が上品です、美味しいです…」
四本:
「美味しいですね。スッキリなのですが、口当たりが優しいです。甘いお茶請けと合わせてもいいですが、お漬物と合わせたいお茶です」
小野寺:
「お漬物もいいですね!『かなやみどり』は茶葉がしっかりしているので、茶葉をおひたしにしても良さそう…」
「022 かなやみどり」の味わいノート
・一煎目は、苦みが最初にくるが、後味はスッと馴染んでいくよう
・二煎目は、スッキリまろやか。後味にラテを飲んだ後のような余韻
・玄米茶は、スッキリだが、口当たりは優しい。香りの余韻が上品
情景に海が見える一杯。「035 さきみどり 彼杵」
「035 さきみどり 彼杵」どんなお茶?
大村湾を望む絶景に育まれる、青々として艶のある茶葉。素直でまっすぐ、シャープな渋みが爽やかな好青年風。深蒸し茶特有の濁りのある濃い水色。温かくても冷たくしても、それぞれに味わい深い一杯。
四本:
「今月2つ目のお茶は長崎県、東彼杵のお茶です。先ほどご紹介した『かなやみどり』と味わいの★の数が同じ。どのような違いがあるのか、飲み比べが楽しみですね!(甘味:★ 苦味:★★★ 旨味:★)」
小野寺:
「とはいえ、今月は浅蒸し茶と深蒸し茶という製法の違いはもちろん、香りや書き表し切らない味わいも感じていただきたいです…!」
四本:
「先程の浅蒸し茶と比べると一目瞭然、細かい茶葉です」
小野寺:
「細かいのに加えて、このお茶は少し茶葉の形状がクリンとしています。玉緑茶といいますが、精揉(茶葉を針のようにピンと撚る工程)をしていない茶葉なのです」
四本:
「細かい茶葉ですが、茶葉の緑が濃くて艶があるのがわかります」
小野寺:
「さきみどりは、島根県産の『039 さきみどり 出雲』との飲み比べもできますね。品種としては『はるもえぎ』と交配が同じなので、その飲み比べもできますよ」
四本:
「『さきみどり』と『はるもえぎ』は兄弟なのですね。品種特徴も違いますが、人間でも性格って全然違いますもんね」
小野寺:
「面白いですよね!特徴を頭に入れながら、自分の感覚と合っているのか、それとも違うのか体感していきましょう。基本のレシピ70℃120㎖のお湯を注いで、1分20秒です」
四本:
「茶葉が細かいので、急須の中の様子が『かなやみどり』とは全然違います」
小野寺:
「茶葉がむくむくと開いています。色からも、お茶が抽出されているのがわかりますね」
四本:
「一煎目から水色は濃いめです。香りは見た目の通り、青々しさを感じます」
小野寺:
「鮮やかな緑ですね。そしてこのお茶を飲むと、海の情景が浮かぶような……」
四本:
「味わいとして旨みが少ないお茶ではあるのですが、海苔感を感じますね」
小野寺:
「そしてこのお茶は全国的にも珍しい“海が見える茶園”で作られているというのが、海を連想させる所以です。苦みはありますが、角のない苦みです」
四本:
「二煎目も淹れていきますね。水色の変化も楽しみですね!」
四本:
「やはり二煎目は緑が鮮やかですね。そして”好青年”な印象を感じます」
小野寺:
「二煎目はキリッとして、苦みがプラスされています。カッコイイ味がします…!」
四本:
「苦いけれど、くどくない。尖っていない優しさが表れています。二煎目の方が苦みは出ているのですが、余韻は短いです」
小野寺:
「この品種は特徴として、クロロフィル(葉緑素)の含有量がやぶきたの1.5倍とも言われています。茶葉の緑の濃度が濃いということですね」
四本:
「『かなやみどり』と見比べると、茶葉の細かさ、緑の具合などの違いがわかりやすいです」
小野寺:
「個人的には、これから秋冬の頃に深蒸し茶を飲みたくなります。加えて9月はまだ残暑もあるかと思いますが、このお茶は水出しや急冷茶も色鮮やかにキリッとした味わいで楽しめます。その日の気温や気分に合わせて淹れられるのもいいのでは…!」
四本:
「最後は玄米茶です。三煎目も美味しいです」
小野寺:
「深蒸しの玄米茶、懐かしさを感じるのです。そして玄米茶になると、苦みの角が取れますね。一煎目と二煎目での温度の変化もいいのですが、二煎目と三煎目でも表情をガラリと変えてきます」
四本:
「9月、また季節も変わって、美味しいものを楽しめる季節になりますね」
小野寺:
「食欲の秋、美味しいものと出会いながら、あのお茶と合わせてみたい…なんて考えるのも楽しみですね!」
「035 さきみどり 彼杵」の味わいノート
・一煎目は、味わいとして旨みが少ないお茶ではあるのだが、海苔感を感じる。苦みはあるが角のない苦み
・二煎目は、二煎目はキリッとして、苦みがプラスされる。水色も緑鮮やか
・玄米茶は、苦みの角が取れる。温度変化はもちろん、淹れ方の違いで変化楽しめる
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