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作り手のことば「あったらいいなを見つけて具現化することが、この仕事の醍醐味」陶芸家・阿部春弥さんインタビュー

2022年09月14日

by 井原優花

煎茶堂東京ディレクター北海道生まれ。夜な夜なキッチンにあかりを灯す。愛読書は「「限りなく少なく」豊かに生きる」と「ときをためる暮らし」。土いじりが好きです。

長野県上田市で作陶する阿部春弥(あべ・はるや)さん。お父さんが陶芸家で手づくりの器が身近だったという阿部さんの器は温かみがあり、どこかアンティークな雰囲気をまとっています。

今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、ナチュラルで飾らないお人柄の阿部さんに器づくりをお伺いしました。

阿部さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。

よろしくお願いします。父が陶芸家で小さい頃から手作りの器が身近にあったので、器を作ることは自分にとって自然なことでした。

自分が生業として焼き物を作って行くうえでは、「身近で暮らしの中で使える物を作りたい」と考えています。

自分で自分の器を使うときに料理をどの器に盛りつけようか考える時間や、実際に盛りつけてキレイに美味しそうに盛りつけられた時の嬉しい気持ちが好きで、そんな日々の暮らしの中の楽しみを脇役のようにお手伝い出来たら素敵だと思うんです。その気持ちを大切にしながら器を作っています。

オーバルA(M)白釉

美味しそうに盛りつけられた時の嬉しさ、わかります。阿部さんの器はスイーツをのせるとキュンとする可愛さがあると感じますが、作品を作るときのインプットはありますか?

2種類のインプットがあり、ひとつは古今東西の古いものを見ること。もうひとつは暮らしの中で、こんな器があるといいなと発見することです。

古いものは日本や中国、韓国などのアジアの物やフランスやイギリスなどのヨーロッパの物を参考にすることがあります。形だったり模様だったりを現代の食卓でも使えるようにリデザインして形にすることが多いですね。

暮らしの中には、ふと「おでんのお皿が欲しいな」と思ったり、こんなシーンであんな器があるといいななど、色んな発見が転がっています。
あったらいいなを見つけて具現化することが、この仕事の醍醐味かもしれません。

今回は「面取」の作品も選ばせていただきました。手間のかかる「面取」ですが、正直かなり大変な作業だと感じます。阿部さんにとって「面取」の良さは何だと思われていますか?

大変そうとよく言われますが、作る側としては単純に好きなんです。面取の良さは、あくまで主観ですが「陰影の表情と手に持った時の複雑さ」でしょうか。
朝の光や夕方の西日、夜の照明の下など、シーンによって見せてくれる表情の違いに自分でもハッとさせられる瞬間があります。

面取りが美しい白磁しのぎ亀甲ゴブレット

器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?

器は道具であり、料理を盛りつけて美味しく楽しい食卓の脇役であることだと思っています。使ってみて、より良かったと思ってもらえたら嬉しいです。

最後に、今後挑戦してみたいことはありますか?

今までは和食器を中心に製作してきましたが、今後はディナーセットなど洋食器を作ってみたいと思っています。今まで作ってきたニュアンスで、海外の方も使いやすいような、和食器の良さをいかした洋食器を作ってみたいと思います。難しそうですが、今後チャレンジしてみたいと思うことの一つです。

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