大和茶はね、僕の知ってる範囲では味と香りは もう一番いいと思うんです 「043 やまとみどり」寺畑恭典さんインタビュー

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 幻の品種とも言われる「やまとみどり」は、奈良県北部に位置する山添村(やまぞえむら)で栽培されています。

歴史的に、宇治の茶師が京都南部とその近縁部の奈良県・滋賀県・三重県の限られたエリアで収穫される茶葉を仕上げ・合組し、宇治茶として名を轟かせてきました。山添村はその恵まれた茶産地でありながら、産地表示の厳格化により現在は「大和茶」という銘柄になり知名度は高くない、歯がゆい土地なのです。

私たちが、茶の一大産地・奈良県が誇る奈良品種を探し求めて辿り着くと、寺畑さんが栽培する残りわずかとなった茶園がありました。今では珍しい品種となった「やまとみどり」と、その歴史についてお話を伺います。


話し手:寺畑恭典さん 聞き手:谷本幹人



―――ここが「やまとみどり」の畑ですか?
もううちも、こんだけですわ。「やまとみどり」いう品種はね。

―――そうなんですね。それを今も守って作られている?
そうなるね。もう奈良でも残り少なくなってきた茶葉を今、こうやってまだ残しています。もともと収量少ない品種で、もう今やったら生葉で700〜800kgぐらいですね


―――なるほど。今のこの「やまとみどり」、30数年前からあると思うんですけど、どういう経緯で育てられてるんですか?

植えたの親父世代なんですけどね。奈良の品種を、いうて植えてたみたいです。たぶん最初はもっと植えてあったはずなんですけどね。もう残ってるのも、わずかですわ。

―――「やまとみどり」は在来の選抜でしたっけ、確か。山添村の波多野地区で在来の中からいいところを採って挿し木して。
そやな。まあ、でも、ほんま今は少ななったけど、昔は結構どこの人もあちこちで「やまとみどり」植えてあってんけどね。もう今ほんま中でも貴重なぐらいやね。

―――ここから、挿し木してまた増やすかも分からんっていうことですか?
なかなかね、もう挿し木自体がね。「やまとみどり」の挿し木がないかもね。ほんまにうちぐらいじゃないかな。まともに残ってるちゅうたらあれやけどな。


山の頂上付近に位置するやまとみどりの茶園。眺望が抜けていて心地よい。


奈良取材の帰りに訪れた奈良公園のシカ。

―――味としてはどんなお茶なんでしょうか?
品種的にも収穫の遅い奥手の品種でね、でも味・香りは結構良くって、製品にしたら細かい良いお茶ができると思うんです。


日差しが差し込み、風が通り抜けていく。

―――今までずっと残されてた理由があるってことですか。
やっぱりあちこちから奈良での品種いうことでなるべく作ってくれいう声もあるしね。まあ貴重な品種ってこともあるんで、ここだけ残してるんですけどね。正直、もう改植したいっていうのが本音なんだけど。やっぱある程度量の採れる品種にね。

―――奈良のお茶は銘柄でいうと、大和茶ですね。どのようなお茶だと思いますか?
大和茶はね、僕の知ってる範囲では味と香りはもう、一番いいと思うんですけどね。

これから先、宇治茶に負けないぐらい、大和茶もブランド化していって、もっと日本中に名が広まるようにしていきたいですけどね。もう生産者自体が減っていく中で、リーフ茶がこの世に出回るようになっていってもらいたいです。もっと急須で淹れて、お茶飲んでもらえるようにしたいですね。


―――土地柄や気候はどのような地域ですか?

見てもらった通り、もうほんま山の中にあるようなところで冬は当然寒いとこなんですけど、気候的にはお茶づくりに適してると思います。標高でだいたい400〜500mぐらいだと思うんですけどね。冬はものすごい、寒いとこで。

―――葉をみると結構細い形をしていますね。色も結構落ち着いてます。
そうですね。主流の「やぶきた」に比べたら葉っぱも小さいし、逆に細長いみたいな感じでね。いま見てもらったら、ちょっと色がまばらなんですけど、結構新芽出てきたら芽の色も綺麗な色で。

今年ちょっと暖かいんで、収穫時期がまだちょっと分からないですけどね。まあでも奈良って一番日本全国でも遅い産地なんで、5月中に刈れたらいいねってとこなんですわ。ほんま5月の最終ぐらいです、「やまとみどり」を刈り取る時期はね。

―――次刈るのは、この芽になるってことですか。
そうですね。今、この辺にピッと出てませんか。これが一番茶になります。まあ、でも芽つくのは早いけど、ほんま最終じゃからね。なんちゅうか「やまとみどり」は遅い時期の茶葉にしたら、値段的にはええほうや、思ってんやけどな。でも相場には勝てんさけ。

 

 


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このインタビューは、「観て飲む」お茶の定期便 "TOKYO TEA JOURNAL"に掲載されたものです。毎月お茶にまつわるお話と、2種類の茶葉をセットでお届け中。

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