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【後半】「香ばしい」はうまい! 川崎寛也さんに聞く“香ばしさの秘密”
2022年11月11日
by 煎茶堂東京編集部
皮目にパリッと焦げ目のついた秋刀魚、ホクホクの石焼き芋。秋の味覚には、何だか香ばしいものが多いように感じます。そして、香ばしいものって、お茶と相性がいい気がしませんか?この記事では、「香ばしい」はなぜおいしいのか、その秘密についてぐっと迫ってみたいと思います。
香ばしさ、と聞いて瞬時に浮かぶ食べ物はいったい何でしょうか?香ばしさと言っても、その種類はさまざまです。肉や魚の焦げる香り、しょうゆや味噌の熟成香、コーヒーの焙煎香、カカオの香り……。この、曖昧な「香ばしさ」とは何か?
その疑問を、味覚や香りなどの食品研究のスペシャリスト、川崎寛也さんに聞いてみました。
教えてくれたのは…川崎寛也さん
1975年兵庫県生まれ。2004年、京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了(農学博士)。同年、味の素(株)食品研究所に入社。21年より食品研究所エグゼクティブスペシャリスト。NPO法人日本料理アカデミー理事。著書に『味・香り「こつ」の科学』(柴田書店)、『おいしさをデザインする』(柴田書店)など。 |
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「香ばしさ」と「焦げ」の境界
メイラード反応による香ばしさは、行き過ぎると焦げになりますよね。だからどこまでを香ばしいと感じるかは、その食文化に依る部分がとても大きいんです。そういう実験もあるのですが、日本人は浅めの焦げでないとガマンできない場合が多く、フランス人は、よりしっかりと焼かれたものを好む傾向にあったそうです。
でも日本の中でも、大阪はメイラード反応大好きな土地なんじゃないかなと思っています。ほら、大阪は茶色い食べ物多いでしょう? 串カツの揚がった衣もメイラードだし、ソースもメイラード反応によるもの。ほかにもたこ焼きにお好み焼き……。関西ってソースの種類も本当にたくさんありますよね。
だから、一概に日本人だから、フランス人だから、とは言い切れないと思います。やはり、個人や文化が何をおいしいと判断してきたかの積み重ねなのですね。
お茶=出汁?
意外に感じるかもしれませんが、出汁もメイラード反応が大事な役割を果たしています。
メイラード反応は、加熱だけではなく、熟成や発酵など、低い温度で長時間置くことによっても進んでいきます。昆布も、鰹節も、熟成によってメイラード反応が起こったもの。それを抽出して、和食の基本としているわけです。
もともとは日本でも、「堅魚煎汁」といって鰹節ではなくて、鰹の煮汁を煮詰めていました。これは西洋のフォンなどの考え方と近いですよね。
しかし中国からお茶や、薬膳料理という考えが入ってきたことで、一度乾燥した食材を煎じて、成分を取り出す方法が浸透したのではないか、それによって出汁が生まれたのではないかと思っています。
ちなみに、出汁を考えていく中で「お茶は出汁か?」という問いが生まれました。「お茶=茶葉の出汁」であるという考えです。もしかしたら茶葉を乾燥・焙煎させずに、5時間ぐらい煮詰め続けたら、新しい味のお茶が生まれるかもしれません。
ペアリングの考え方
香ばしいものをよりおいしく感じるために、どんなお茶を合わせればいいか。まず、味の組み合わせの考え方にはいくつかの種類があります。私はワインと料理の組み合わせ方の基本として「相性の要素の分類」を提示しています。
例えば「WASH」、口の中の風味をタンニンやポリフェノールが洗い流し、口の中をさっぱりとさせるもの。「NEW」、ふたつの香りが合わさることで、単独では得られない風味を感じられるもの。「SHARE」、同じ香り成分を持つもの。
またおいしいという印象を持つ相性のルールには「COMPLEXITY(複雑性)」、「HARMONY(調和)」、「BALANCE(味の強弱や持続性が偏っていない)」というようなものがあります。
口の中をさっぱりと洗い流すWASHの要素はお茶全般が持っているものだと思いますが、そこからさらに一歩進めるなら、NEWとSHAREを考えていくのが有効だと思います。NEWはなかなか見つけるのが難しいものですが、SHAREならば、香ばしさの強いほうじ茶が、香ばしいものと相性がいいことになります。
この考え方は、飲み物と食べ物だけではなくて、食材とスパイスやハーブの組み合わせを考える時にも役立ちますよ。
ちなみに、香気成分を表現する言葉「香ばしい」はあまり専門的には使いません。メイラード反応は、温度や時間、糖、アミノ酸の種類、さまざまな要素で大きく変わります。うま味だったり、花の匂いだったり、玉ねぎの匂いだったり、土の匂いだったり、と多様に表現されるため、「香ばしい」は実はとても曖昧な表現なんです。
だから香ばしさとひと言で言っても、頭の中に浮かぶ香りは、人それぞれなのではないでしょうか。家庭や文化の中で築いてきたその人なりの記憶が、「香ばしさ」にはあるのかもしれないですね。
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