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和の香る煎茶でウイスキーのお茶割りを。バーテンダーに訊く本当に美味しい一杯
2020年09月02日
by 煎茶堂東京編集部
日本茶やウーロン茶など、ウイスキーを好みのお茶で割ったお酒「お茶割り」。中でも煎茶堂東京がおすすめしたいのは、シングルオリジンの煎茶を使った緑茶割りです。
ウイスキーも煎茶も、繊細な香りと味わいが命。今回は、本当に美味しい緑茶割りの作り方を、元バーテンダーで東京茶寮の店長を務める井原さんに伺いました。それぞれの個性を引き立てた一杯が、煎茶好き、そしてウイスキー好きの方に新たな味の楽しみを運んでくれますよ。
ウイスキーのお茶割りとは?
お茶割りとは、アルコールを日本茶やウーロン茶などで割ったお酒のことです。お茶の種類は限定されておらず、ほうじ茶やジャスミン茶、緑茶を使ったすべてのお酒がお茶割りと呼ばれています。
アルコール度数が40度と高いウイスキーは、ロックやストレート以外にソーダや水で割って飲まれるお酒でした。ウイスキーのお茶割りが認知されるようになったのは、美味しい缶やペットボトルのウーロン茶が流通し始めた1980年頃。
手軽に美味しいお茶が入手できるようになったことで、お酒に弱い方でもウイスキーを楽しめるよう、お茶で割るスタイルが広まっていったのです。
キーワードは「水」ウイスキーと煎茶の共通点
ウイスキーは大麦や小麦、トウモロコシのような穀物を原料にした蒸留酒です。そして、ウイスキーの命とも言われるほど大切なものが「水」。初期工程の仕込みから、アルコール度数を調整するための加水まで、水の性質がウイスキーの味と香りを大きく左右します。
そのため、美味しいウイスキーを造るためには蒸留所を建てる「土地選び」が重要なポイントとなります。日本最古のモルトウイスキー蒸留所である山崎蒸留所もまた、最良の水を求めた末に選ばれた山紫水明の里。古くは茶人・千利休が茶室を開き、竹林から湧き出る名水でお茶を点て、侘茶を大成させた地でもあるのです。
同じく、お茶にとっても「水」は欠かすことのできない存在です。年間を通した一定の降水量、霜の被害を防ぐためのスプリンクラーでの散水。そして、お茶農家が大切に育てた茶葉は、水と出会うことで初めてわたしたちが口にする煎茶へと姿を変えます。
また、土地選びもお茶栽培に欠かせない要素のひとつ。永年作物であるチャノキは、一度植えれば数十年はその場で栽培しなくてはなりません。そのため、栽培を始める際は土壌選びが重要なポイントとなるのです。
このように、多くの共通点を持つウイスキーとお茶は、ともに繊細な味と香りが命。それだけに、それぞれをペアリングすることは難しいと言われることも少なくありません。
より美味しいウイスキーのお茶割りを作るためには、お茶とウイスキーの相性、そして作り方のポイントをおさえる必要があります。
「ウイスキー×煎茶」それぞれの個性を引き立てるペアリング
美味しいお茶割りを作るためには、ウイスキーとお茶の相性を見極めることがキーポイントとなります。多種多様なウイスキーの中には、スモーキーでクセの強い香りを持つものもあるからです。
お茶割りで使われるウーロン茶やほうじ茶は、特有の味と香ばしい香りがウイスキーの風味をマイルドに仕上げるお茶。アルコール度数を下げるとともに、個性的な味のウイスキーを飲みやすくしてくれます。
緑茶割りにするのであれば、香りが繊細でまろやかな味わいのジャパニーズウイスキーとの組み合わせがおすすめ。価格も手ごろで飲みやすいブレンデッドウイスキーや、風味の軽いグレーンウイスキーでも美味しく味わうことができます。
それらのウイスキーに合わせたいのは、まろやかな香りと甘みを持つ煎茶。渋みや苦みの強いお茶を合わせると、ウイスキーの香りとバッティングしてしまうからです。
茶葉の個性が引き立つシングルオリジンの煎茶であれば、よりウイスキーと相性の良いものを選ぶことができます。複雑な味と香りを持つウイスキーと煎茶、最良のペアリングをお楽しみください。
006 ゆたかみどり知覧
豊かな甘みと旨味、焙煎香を兼ね備えたお茶。穀物や海苔を思わせる香りがウイスキーの個性をより一層引き立てます。
002 香駿
渋みが少なく甘みのあるお茶はウイスキーのお茶割りにぴったり。水出しにすれば、心地よい薫風が香るすっきりした味わいに。
046 おくゆたか霧島
男性的でありながら端正な香りはウイスキーとの相性も良好。甘くまろやかな味わいがウイスキーの個性をやさしく包み込みます。
ウイスキーのお茶割りを作る際に気を付けたいポイント
ウイスキーのお茶割りを美味しくする、もうひとつのポイントが作り方。以下の3つの点に注意すれば、より一層美味しいお茶割りができあがります。
①温度
冷たいウイスキーのお茶割りを作る時には、グラスやお茶をしっかり冷やしておくことがポイントです。氷もたくさん用意しておきましょう。
また、お茶は抽出する温度帯によって味が大きく異なります。ウイスキーのお茶割りにおすすめなのは、低温でゆっくりと時間をかけて抽出する「水出し」。渋みや苦みが抑えられ、旨味と甘みが引き立つまろやかな味のお茶ができあがります。
②氷
お茶割りを作る時、意外と見落としてしまうのが氷へのこだわりです。氷を用意する時のポイントは、大きさと匂い。小さな氷はすぐに溶け、お茶とウイスキーの味のバランスを崩してしまいます。そのため、お茶割りには大きな氷がおすすめです。
また、お茶割りの香りを引き立たせるためにも、匂いのついた氷は禁物。冷凍庫に長期間入れたままの氷は、他の食品や冷凍庫の匂いが移っている恐れがあります。ウイスキーとお茶、それぞれの香りを大切にするためにも氷は無臭のものを使いましょう。
③割合
食事と相性の良いお茶割りのアルコール度数は、7~10度です。ウイスキーをお茶で割る場合も、この仕上がりを目指しましょう。ウイスキーは40度前後とアルコール度数が高いお酒。そのため、ウイスキー1に対し、お茶3~4が最適な割合となります。
ウイスキーのお茶割りレシピ
お好みの茶葉を選んで作り方のポイントをおさえたら、早速ウイスキーのお茶割りにチャレンジ。まずは、茶葉の旨味と甘さが引き立つ水出しのお茶を準備しましょう。
・水 1L(茶葉とともに適宜必要な仕上がり量に調整してください)
・茶葉 25g
・ボトル 1本
・茶漉し
【1】ボトルに水→茶葉の順で入れる
清潔な空のボトルに水1Lを入れてから、茶葉25gを加えます。
【2】冷蔵庫のなかに3時間以上置く
茶葉の抽出のため冷蔵庫で寝かせます。3時間から8時間程度で抽出は完了します。
【3】茶漉しを使って茶葉を濾し、しっかりと冷やす
抽出を終えたら、茶漉しを使って茶葉を濾します。さらにしっかり冷やせば、お茶割りに使う美味しい水出し茶の準備完了です。
・涼し気なタンブラー
・マドラー
・氷いっぱい
・ウイスキー 30ml
・冷茶 100ml
【1】氷を入れたタンブラーにウイスキーを入れる
氷の詰まったタンブラーに、ゆっくりとウイスキーを注ぎます。マドラーで軽くかき混ぜ、ウイスキーを冷やします。
【2】冷茶を入れる
ウイスキーが冷えたら、準備しておいた冷茶を注ぎ入れます。ウイスキーと冷茶がなじむよう、マドラーでよくかき混ぜたら完成です。お好みの料理やおつまみと一緒に、お茶割りの味と香りをお楽しみください。
煎茶と相性ぴったりのお茶菓子をおともに、ゆっくりとグラスを傾けるのもまたおすすめですよ。
ウイスキーのお茶割りに合わせたいお茶菓子たち
芳醇な甘みのドライいちじくは、お茶割りと一緒にお好みのチーズと合わせても◎
煎茶×ウイスキーの香りとともに、レーズンのフルーティーな芳香を楽しんで。
一粒ずつ殻をわって頬張れば、口に広がる燻製の薫り。煎茶×ウイスキーの旨味が引き立つ大人のためのお茶菓子を。
煎茶を使ったお茶割りで新たな味の扉を開いて
温度や割り方で味を一変させる、大人の嗜好品であるウイスキー。お茶もまた、その日の気分や合わせる料理、好みによって味を吟味できる奥深い飲み物です。
それぞれの個性を尊重し癒合した先にあるのは、新しい嗜好の世界。ぜひシングルオリジンの煎茶を使った、本当に美味しい一杯をお楽しみください。
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