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料理家・中川たまさんインタビュー「五感で季節を感じさせてくれる果物たち」
2021年05月14日
by 神まどか
季節も移り変わり、新緑の美しい時期になりました。「夏も近づく八十八夜」…お茶摘みの歌にもあるように、春と夏の変わり目であり気候が暖かく穏やかになるこの頃に新茶摘みが始まり、お茶の「旬」を迎えます。
その作物がもっとも盛りになり、味がよくなる季節である「旬」は季節ごとに、私たちの暮らしに喜びをもたらしてくれる存在です。
今回は、「フルーツと新茶」をテーマに掲げ、著書『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』でさまざまな果物の味わい方を紹介している中川さんに、果物の魅力についてお話を伺いました。
教えてくれたのは…中川たまさん
料理家。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」として活躍。2000年に独立し、今の暮らしに寄り添った旬のレシピを提案。伝統を受け継ぎつつも洗練された料理やスタイリングにもファンが多い。主な著書に『暦の手仕事』『器は自由に大らかに』『ふわふわカステラの本』など。本文中にある「父方の実家」は何とお茶農家。自身で手もみ茶を作ったこともあるのだとか。
フレッシュな果物は料理もおいしくしてくれる
大分に住む祖父母が農作物をよく送ってくれたことや、料理好きの母がいつも旬の食材をとり入れた食事を作ってくれていたことで、幼い頃から食べるもので季節を感じる生活を送ってきました。中でも果物は毎日の食卓には欠かせない存在。
味はもちろん、瑞々しいし、香りもいいし、形もかわいいし、すごく素敵な形で季節の移り変わりを教えてくれますよね。旬の食材はシンプルにそのまま食べるのがおいしいのですが、素材の組み合わせや調理法で、新しくておいしい食べ方はないかなとついつい探りたくなります。
レストランに食べに行って、もらったヒントを試したりするうちに、だんだん直感で「これとこの果物は合うぞ」とピンとくるようになりました。うちの娘は“いろいろ調理しないで、剥いてくれるだけでいい”というタイプではあるのですが(笑)。
果物の料理というと、よく“酢豚に入っているパイナップルが苦手”という話を聞きますよね。実は私もそう。でもフレッシュなパイナップルやブルーベリーなどを使った料理がおいしいことを知って、缶詰のパイナップルだから苦手に感じたのだと気づきました。
人工的な甘さやふにゃっとした食感が、生の果物のフレッシュ感とはやはり別ものですから。生の果物は、甘味も酸味も自然なのに、料理にコクやアクセントを加えてくれる。自分にとって果物は、そのままでもおいしいし、調味料にもなるし、頼りになる食材です。
果物の仕事は心を穏やかにしてくれる
そのまま食べたり、料理のアクセントに加えたりする以外に、ジャムやコンポートにする方法もありますね。ゆっくり時間をかけてこういうものを作っている時って、不思議と心が穏やかになるんです。
フレッシュな香りからどんどんと変化していくアロマが、何かいい効果があるのではないかなと思うのですが、これは作り手だけの特権ですね。ストレス発散でジャムを作ったりする人の話を時々聞きますが、ちょっと瞑想に近い作業なのではないかなと思います。
手作りのものは、甘さを自分の好みにできるのもいいですね。どうしても市販のものは保存性を高めなければいけないから甘味が強くなりがちです。でもあまり甘すぎない方が果物自身の自然な味わいが感じられますよね。
ジャムが少しだけ余ることがあると思いますが、そんな時は瓶にビネガーやオリーブオイル、少しの塩を加えてよくふるとドレッシングに変身します。最後まできれいに使えるし、味のバリエーションもついておすすめですよ。
旬の果物は栄養もコストも優秀
ここ数年、果物業界の方からよく“若い人があまり果物を食べなくなった”と聞きます。皮を剥くのが面倒とか、ひとり暮らしだと食べきれないとか、いろいろな理由はあるのだと思います。そのせいか最近の果物は食べやすいようにものすごく甘くなっていますよね。
柑橘類などが顕著だと思いますが、品種をかけ合わせて酸味や苦味のないものが次々と生まれています。その一方で、甘夏や夏みかんなど昔からの品種が減ってきているそうです。
また、旬の考え方も少し変わってきています。たとえばいちごの旬は、露地ものであれば本来は3〜4月です。でも今はほぼハウス栽培が主流になっているし、クリスマスなどの印象が強くて“冬の果物”だとついつい思い込んでしまう人もいるのではないでしょうか。
私は今、逗子に住んでいて、農協の直売所だとか、道の駅だとかで旬の果物を売っているので、そういう場所で昔ながらの素朴な果物を買うことが多いですね。やはり旬の果物は元気があっておいしいし、安いし、栄養価も高いですから。
おいしい旬の時期に買っておいて、冷凍するのも手ですね。甘くて高級な果物よりもこういう素朴な味のものの方が、料理に使うと味に奥行きを加えてくれる気がします。今の季節はびわもおいしいですよ。
果物をアクセントにしたひと皿は、果物同士だからワインなどと相性がいいのですが、新茶のフレッシュな香りや旨味も、実は果物に合うんです。
シナモンなどのスパイスの香りを効かせた「チェリーのピクルス」や、バジルをアクセントにした「桃のジャムとハムのサンドイッチ」も、新茶のフレッシュな香りによく合いそうです。
ドライにしたフルーツは甘味と旨味が凝縮してお茶請けにはぴったりですし、お茶と果物の、好みのペアリングを探してみるときっと楽しいと思いますよ。
このインタビューは「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.25に収録されています。
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