【お菓子とお茶】神保町の路地裏のポルトガル菓子店。ドースイスピーガの「Pastel de nata」と「051松寿」でリスボンの街へマインドトラベル

2020年12月29日

by 木村晃

煎茶堂東京ティーコンシェルジュ 金沢生まれ、千葉育ち。日本の伝統工芸や日本酒が好きです。冷酒を江戸切子で飲むのが一日のご褒美。最近は、東京近郊の酒蔵を巡っています。

東京の街を歩いていると、ふとステキなお菓子屋さんに遭遇してしまいます。可愛いお菓子とシングルオリジンのお茶をペアリングすると、新たな発見をすることも。

今回は、スイーツ大好き煎茶堂東京ティーコンシェルジュの木村が、路地裏にひっそりと佇む秘密のお菓子屋さんへとご案内します。

ドースイスピーガの「Pastel de nata(エッグタルト)」

水曜日の朝9時半過ぎ。ポルトガル菓子専門店「ドースイスピーガ」へ売り切れ必至のエッグタルトを買いに行くため、私はいつもの通勤経路とは違う地下鉄に乗り、神保町駅に降り立ちました。お菓子を買うため出勤途中に寄り道するなんて、なんだかドキドキ。

神保町は、190店もの書店が集まる本の街。書店がひしめき合う大通りを7〜8分ほど歩き、自転車屋さんのある角を折れ路地裏に入ると、小さく可愛いらしいお店に辿り着きます。

店内は、黄色と白が印象的なシンプルなデザイン。ポルトガル建築に欠かせないタイル「アズレージョ」に刻み込まれた花文様が照明にやさしく照らされ輝いています。

ガラスケースの中には、初めて出会うお菓子たちが並んでいます。でもご心配なく。お店のお姉さんが、お菓子の特徴やストーリーを一つ一つ丁寧に紹介してくれます。ポルトガル菓子の多くはルーツが修道院にあり、卵や砂糖をふんだんに使うのが特徴なんだそうです。

例えば「リス川のそよ風」という名前のお菓子は、卵の黄身をたっぷりと使った羊羹のような味わいなんだとか。ポルトガル中部を流れるリス川近くの修道院が発祥で名前の由来にもなっています。

名前も由来も素敵なスイーツたち。全部食べてみたいという衝動に駆られ、4種のお菓子を注文。魅力的なお菓子たちに目移りしてしまい、エッグタルトを購入するという来店目的を忘れかけそうになります。

さて、目的のエッグタルトは……ガラスケースに見当たりません。店員さんに訊ねてみると、まだ朝9時半なのに店頭分は売り切れてしまったとのこと。店員さんは、キッチンにいるパティシエに余分に作ったものがないか確認してくれました。


ドキドキしながら結果を待っていると、なんと奇跡的に2つ残っていました!予約分を作る時に、念のため余分に作ったものだそうです。朝から幸運に巡り会えました!
ちなみに予約は、2週間先まで埋まっているという人気ぶりです。

修道女の「もったいない」から生まれたお菓子

Pastel de nata(エッグタルト)とは、ポルトガルの代表的なお菓子のこと。卵黄を使ったカスタードクリームを詰めて焼いた小型のパイです。

起源は、リスボンの街外れの修道院にあるのだとか。300年前の修道院では、洗濯したあとの衣類やシーツをのり付けするのに卵白を使い、たくさん余った黄身を修道女たちが再利用して作ったお菓子がPastel de nata(エッグタルト)であるというストーリーが伝えられています。

そして、マカオを経由してアジアに広まったものを“エッグタルト”と呼ぶように。カステラやボーロなど日本で馴染みの深いお菓子もルーツを辿ると、16世期にポルトガル宣教師たちが伝えた南蛮菓子にあります。大航海時代に繁栄を誇ったポルトガルは、アジアのお菓子文化にも大きな影響を与えたのです。

お菓子の背景を知ると、より愛着がわきますね。いざ実食してみると、パイ生地がパリパリ!軽やかな音を立てて、幾重にも重なる生地が口の中でホロホロと崩れていきます。
そして、濃厚でトロトロなカスタードクリームがパイ生地に絡み合い、対照的な質感のパイ生地とクリームが口の中で溶ろけ合います。

パイ生地とクリームそれぞれの味わいが完成されているので、別々にしてそのまま食べても美味しいのではないかと思うくらい。今まで食べたエッグタルトの中で、ダントツNo.1間違いなしの美味しさでした。

リスボンの石畳の街へ。マインドトラベル

今回ペアリングに選んだのは、軽やかな甘味とバターのような濃厚な後味が堪らない、種子島産の貴重なお茶「051 松寿」。種子島には、16世期に鉄砲がポルトガルから伝わったという歴史があります。そして、ポルトガル菓子と種子島のお茶の出会い。


甘味同士で相性が良いかなと思い「051 松寿」を選んだのですが、偶然にも歴史的に縁のある土地の組み合わせになりました。悠久の時を超えた再会、期待に胸が膨らみます。


実際に食べ合わせてみると、エッグタルトのパイ生地に「051 松寿」の軽やかな甘みが溶け込み、しっとりとした口溶けに変化。濃厚なカスタードクリームと「051 松寿」のバター感が相まってお互いの良さを引き立て合っています。

海外に行けないこのご時世、旅好きな私にとっては辛いものがあります。私と同様に、旅行の楽しみがなくなり残念だと感じている方は多いのではないでしょうか。

そんなとき、ポルトガルを旅する番組をお家で観ながらリスボンの石畳の街を歩いている気分でエッグタルトを食べていると、なんだかワクワクしてきました。私にとってこのエッグタルトは、平凡な日常から心躍る非日常の世界へ連れて行ってくれるお菓子なのです。

皆さんも世界のお菓子とお茶を携えて非日常の世界へ、マインドトラベルしてみてはいかがでしょうか。

ドースイスピーガ「Pastel de nata(エッグタルト)」

商品名 Pastel de nata (エッグタルト)
価格 250円(税込)
販売期間 通年(予約をおすすめします)
販売場所 ドースイスピーガ
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目-2-5
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