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クリンとした形の深蒸し茶。海の見える茶園で作られる『035 さきみどり 彼杵』【2024年5月試飲茶会】後編
2024年05月07日
by 小野寺友麻
東京茶寮・バリスタ 埼玉生まれ。大学では日本語教育を学び、日本語の先生をしていたことも。日本をもっと知りたい、と東京茶寮へ。カレーと紅茶がマイブームです。
煎茶堂東京で取り扱っているシングルオリジン煎茶は60種類以上(2024年5月時点)。その中でも、通年販売している茶葉と、期間を限定して販売している茶葉があります。
今回は、2024年5月から販売を開始するシングルオリジン煎茶2種をご紹介!
煎茶堂東京 銀座店ティーコンシェルジュ・四本と、東京茶寮バリスタ・小野寺が試飲してお茶会を行った様子を写真と一緒にお伝えします。
「たくさん種類があるけどどんな味なの?」「どう違うの?」「私が好きなお茶はどういうもの?」など、お茶を選ぶときの参考にご覧ください。
緑鮮やかに苦みも味わえます。「035 さきみどり 彼杵」
小野寺:
「2品種目は長崎県産の『035 さきみどり 彼杵』。久しぶりです」
四本:
「このお茶も年度で味わいが変化することがあるので、今回も楽しみです。今回は以前よりも火入れの温度が下がっているそうです」
小野寺:
「今月でいうと、火入れの温度が高めの『005 おくみどり』(113℃10分)と低めの『035 さきみどり 彼杵』(90℃5分)の対比も楽しめそうですね」
四本:
「『035 さきみどり 彼杵』は深蒸し茶、茶葉は細かいです。そしてこのお茶はぐり茶(玉緑茶)なので、茶葉の形状が若干クリンと丸まっています」
小野寺:
「茶葉の緑が美しい…。乾燥状態の茶葉は甘い香りがします。今回はどんな味わいでしょうか、基本のレシピで淹れていきましょう」
四本:
「先ほどの『005 おくみどり』と比べるとやはり『035 さきみどり 彼杵』の方が茶葉の緑が明るいです」
小野寺:
「深蒸しなので茶葉もより細かいですね。ムクムクと茶葉が開いていきます。ふかふかしていて、繊細さも感じます」
四本:
「このお茶は“海”を感じるお茶のひとつです。香りの中に海風を感じるような…。というのも、このお茶を作る大山さんの農園は海が見えるところにあるからです。その印象もありきですが、他のお茶だとあまり感じない香りです」
小野寺:
「磯っぽさと言いますか、独特な雰囲気の香りがしますよね」
四本:
「一煎目から水色が出ます。緑が美しい…。茶葉からは旨みと渋みの香りを感じます。優しさを感じる落ち着く香りです」
小野寺:
「この旨みと渋みは抹茶を連想する香りですね。いただきます」
四本:
「結構旨みがありますね。舌にまとわりつく苦渋みと、口の上部で感じる旨みと甘み。とろみもあって、口当たりはまろやかです」
小野寺:
「最初こそ飲みやすい印象ですが、後から苦みが追ってきます。余韻にも苦渋みがあります」
四本:
「苦渋みはありますが、程よく旨みがあるので強すぎない印象です。青々しさも感じますし、旨み自体もサラッとしています。でも、温度が落ち着いてくると苦渋みは一層強く感じます」
小野寺:
「口の中が緑で生い茂っています。段々苦みが強くなってきます。ガツンと苦みのあるお茶も良いですね。先月の『036 みなみかおり』も苦みはありましたが、同時に甘みもあるお茶だったので、単純に苦みを味わえるお茶。良いですね」
四本:
「味わいの好みはあると思いますが、苦みが好きな方におすすめです。一煎目はご飯系、和食と合わせたいかな。ご飯と海苔と朝ごはんのイメージです」
小野寺:
「焼き鮭もあったら最高ですね。海苔とか焼き魚からも海を感じたいのかもしれません。もちろん煮魚も良いと思います」
四本:
「練りものと合わせても美味しいと思います。以前長崎に行ったときに美味しかった思い出があります」
小野寺:
「良いですね。長崎と言えば…カステラでしょうか。突然の甘いものですが、苦めのお茶と合わせたいです」
四本:
「あとは長崎のトルコライスって知っていますか? ピラフとパスタととんかつのワンプレートですが、味わい濃いめのものには冷茶も合うと思いますよ」
小野寺:
「二煎目を淹れている間も口の中は苦めです。このお茶は朝、シャキッとしたいときに良いですね。『005 おくみどり』は飲み終えたらまったりとしたい一杯でしたが、『035 さきみどり 彼杵』は動き出す前に飲みたい一杯です」
四本:
「二煎目は更に水色が濃くなりました。深蒸し茶、良いですね。茶葉の香りは少し甘くなったように感じますが、味わいは苦渋みが出てきました。一煎目は旨みと甘みと苦みをそれぞれに感じていたイメージでしたが、二煎目は甘みと苦みが一体となりました」
小野寺:
「この二煎目にこそカステラを合わせたいです。ザラメが付いたふわふわの生地と苦めのお茶。合うと思います」
四本:
「今月も味わいがしっかり系の2品種だったので、何と合わせるか考えるのも楽しいですね。そしていよいよ冷たいお茶も美味しいと感じる季節。合わせるものやシーンに合わせて楽しんでいきましょうね」
小野寺:
「『005 おくみどり』は少し高めの温度で淹れて急速冷茶にして香ばしさを味わって、『035 さきみどり 彼杵』は水出しするとまた表情が変わったりします」
四本:
「緑も本当にきれいです。二煎目は洋食だったり、揚げ物などとも合うと思います。急冷茶にして皿うどんとも合わせてみたいです」
小野寺:
「ベタにあんこのお菓子とも合わせたいです。5月なので柏餅。お茶も青々しさと柏餅の葉っぱの風味も合うと思いますよ」
四本:
「最後は玄米茶です。三煎目も水色が出ますね。苦みは減って甘みを感じる…と思いましたが、苦みが後からやってきました」
小野寺:
「でも全体的に味わいは落ち着いてきました。玄米の香りも立っています。このお茶は苦みが後からじわじわ増えていきますね。余韻にも苦みを感じるので、甘いものが進んでしまいそうです」
「035 さきみどり 彼杵」の味わいノート
・一煎目、最初に感じるのは旨み。後から苦みが追ってくる。余韻も長い
・二煎目、香りは甘みを感じるが、味わいは苦渋みが出てくる。
・玄米茶、最初は甘みを感じるが、三煎目も後から苦みが増幅していく
・ご飯と海苔と焼き鮭などの定食、トルコライス、皿うどん、カステラなどの長崎名物や5月なので柏餅とも合わせたい
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