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お茶の温度で味わいはどう変わる?抽出温度による日本茶の違いを楽しむ

2020年08月04日

by 煎茶堂東京編集部

お茶は淹れる温度や飲む温度によって、味が大きく左右されるということをご存じでしょうか。高温で淹れるのか、低温で淹れるのかによって、日本茶は表情を大きく変えるのです。また、煎茶・玉露・ほうじ茶といったお茶の種類によっても、推奨される抽出温度が異なっています。 それだけお茶は繊細な飲み物であり、温度に気を配るというのはとても大切なこと。そこで今回は、日本茶の抽出温度や飲む時の温度と味わいの関係性についてご紹介した上で、煎茶堂東京がおすすめする淹れかたもお伝えしていきます。

お茶にまつわる2つの温度 「抽出温度」と「飲む時の温度」

お茶にまつわる温度として、「抽出する際のお湯の温度(抽出温度)」と「飲む時の温度」という2種類の温度があります。

冒頭でもご紹介した通り、前者の「抽出温度」はお茶の味わいを大きく左右する要素。同じお茶を淹れるにしても抽出温度を変えるだけで、まったく違う味わいを楽しめるのです。要するに、抽出温度によって味わいをコントロールできるとも考えられます。

一方、「飲む時の温度」は飲んだ時の感じ方を左右する要素。抽出温度が同じお茶でも、熱いまま飲む場合と冷まして飲む場合では、味の感じ方が異なってくるのです。

2つの温度の組み合わせによって、同じお茶でも楽しみ方が大きく広がります。

旨味を味わう低温 渋味も楽しむ高温

まずは、抽出温度と味わいの関係についてご紹介していきましょう。低温で抽出した場合と高温で抽出した場合では、次のような味わいの違いが生まれます。

・低温抽出:旨味や甘味が引き立ち、渋味・苦味が抑えられたまろやかな味
・高温抽出:渋味や苦味も感じられるスッキリとした味
このような違いが生まれるのは、味成分の種類によって抽出しやすい温度が異なるから。

お茶に旨味や甘味をもたらす成分は、テアニンをはじめとするアミノ酸です。上図の通り、アミノ酸は水に溶けやすく低温でも十分に溶出します。

渋味や苦味をもたらすのは、カテキンやカフェインです。このうちカテキンの多くは高温で溶出しやすく、低温ではあまり溶け出しません。カフェインや一部のカテキンも高温の方が溶出しやすく、低温では溶け出すまでに時間がかかります。


つまり、低温抽出だとカテキンやカフェインの溶出が抑えられるため、アミノ酸による旨味や甘味が引き立つというわけなのです。この性質を生かすといいとされているのが玉露。玉露は、特徴である旨味を最大限引き出すため、50℃程度の温めのお湯で抽出することが推奨されています。

反対に抽出温度が高くなるほど、カテキンやカフェインが多く溶け出すので、結果的に渋味や苦味が引き立ちます。ちなみに、茎などで作られるほうじ茶はカフェインやカテキンの量が煎茶に比べて少なめ。そのため、豊かな香りを楽しめる熱湯での抽出がおすすめされているのです。

ただし、「おいしい」と感じる味のバランスは人それぞれ。おすすめの抽出温度はあれど、どれが正解ということはありません。

抽出温度ごとに煎茶の淹れかたをご紹介

続いては、抽出温度ごとにおすすめな煎茶の淹れかたをご紹介していきます。

味の好みは人それぞれ、というのは先にお話しした通り。ただ、煎茶にも推奨温度は存在しています。

煎茶は一回で三煎ほど楽しむことができ、一煎目は低めの温度、二・三煎目を高温で淹れるというのが一般的。こうすることで、一煎目で旨味・甘味、二・三煎目ですっきりとした渋味や苦味といった具合に、煎茶の魅力を余すことなく楽しむことができるのです。

煎茶堂東京でご紹介しているのが、一煎目70℃、二煎目80℃、三煎目80〜90℃で淹れる基本レシピ。三煎目はにこまる玄米を入れて、香ばしい玄米茶として淹れるのをおすすめしています。

お湯で淹れるイメージの強い煎茶ですが、暑い夏の日にチャレンジしたいのが水出し。常温の水でじっくり抽出するので渋味・苦味が抑えられ、後味がさっぱりしているのが特徴です。こちらの水出しレシピなら一度にたくさんの量が作れるので、ごくごく飲めるのも嬉しいですね。

最後にご紹介するのが氷出しのレシピです。極限に温度の低い0℃近くの水でじっくり淹れると、日本茶の持つ旨味を余すことなく感じられる、至極の一杯のできあがり。一度に飲める量は少ないですが、甘美な旨味にうっとりしながら、特別なひとときを楽しむことができます。

お茶を飲む時の温度によっても味わいが変化する

抽出温度と合わせて、お茶の味わいに影響を与えるのが「飲む時の温度」。

熱いお茶は、立ち上る蒸気とともに引き立つ香りを存分に楽しるのが特徴です。体温に近い温めのお茶であれば、舌の上で繊細な味わいをより明確に感じることができます。そして、冷たいお茶はスッキリとキレのある印象になるのです。

上の図は水出し、急須で淹れた場合において、それぞれ飲む時の温度によってどのような印象になるかを表したもの。同じ抽出温度であっても、飲む時の温度を変えると印象が大きく変わるということがわかります。

このことに注目したのが、一煎目70℃・二煎目80℃で淹れたお茶を氷で急速に冷やすという淹れかた。急須で淹れたバランスのいい味わいと、冷たいお茶ならではのスッキリさを楽しめるレシピです。

簡単にポットのお湯を適温にする方法

抽出温度にこだわると言っても、お茶を淹れるたびに温度を正確に測るのは大変ですよね。

そんな時におすすめなのが、最近増えてきている温度調節機能付きの電気ケトル。温度調節機能を使えば、簡単に目的の温度に設定することができます。なお、電気ケトルに入れる水は、事前に沸騰させてカルキを抜いておくといいでしょう。

ポットから出したお湯をすぐに冷やしたいという場合は、キューブ氷で冷やす方法もあります。1Lの熱湯にキューブ氷を3個入れると10℃下がるというのを目安に、氷の数を調整すればOKです。

お茶の温度に「正解」はない

日本茶は、渋味・苦味・旨味・甘味という4つの味要素が複雑に絡まり合って、繊細な味わいを生み出しています。茶葉ごとに味の特徴が異なるのはもちろん、抽出温度や飲む時の温度によっても味わいが大きく異なってくるのです。

おすすめの淹れかたをご紹介してきましたが、お茶の温度に「これが正解」というものはありません。その時の気分やシチュエーションに応じて、温度を変えてみるというのもおすすめです。いつものお茶も、抽出温度や飲む時の温度を変えるだけで違った表情を見せてくれますよ。

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