
福田里香「竹水羊かんを木器でいただく真夏の午後」私が器を使うなら vol.030
2023年08月25日

by 煎茶堂東京編集部
使う人によって、全く違う表情を見せるのが、器の面白いところ。一緒に使うカトラリー、テーブル、部屋に入る光の加減……。もちろん、どんなスイーツやお料理を載せるかもその人のチョイス次第。
煎茶堂東京オンラインで販売している器やカトラリーを、菓子研究家・福田里香さんに使っていただきました。
竹水羊かんを木器でいただく真夏の午後
毎年夏が待ち遠しくなるお菓子ってありますよね。それが京都「二條若狭屋」の「京の夏 竹水羊かん」です。
羊かんの容器は青竹、蓋は竹の葉、留め紐は井草。まるで食べる民藝品です。
この青竹の節を利用した包装のすばらしさは、なんと言っても竹節に付属の錐で穴を開けると、つるりと水羊羹が出てくる仕組みに尽きます。
植物を使い真空吸引と減圧を巧みに利用した、先人の卓越した造形の美に脱帽です。
それにしても器のサイズ感は不思議。使い勝手の良い器は何を盛り付けるかで、大きく伸びたり縮んだりします。
木工作家の山田哲也(やまだ・てつや)さんの「オーバルプレート」も、そんな汎用性のある器です。サムネイルのように水羊羹を取り出せば、ひとり分の盛り付け皿に。「京の夏 竹水羊かん」をざっくりてんこ盛りにすれば5~7人分もの水羊羹が盛れるんです。
山田さんの木工作品は、「刳物(くりもの)」と呼ばれる技法で制作されています。これは木の塊からノミやカンナ、彫刻刀などで削り出して形を作る製法で、作業の約8割は手仕事だそう。
栗材を長径280cm、短径110cm、高さ3cmに削り出した「オーバルプレート」は、優美なうえに軽くて丈夫です。
裏返して見たところ。
安定感のあるフラットな底面。長径の両端を持つとふわりと浮くように持ち上がります。
つるんとした舌触りが後を引くおいしさと、錐で突いて取り出す楽しさで、もうひとつ、と伸びる手が止まりません。
「煎茶堂東京」のティーコンシェルジュによると、甘さひかえめで喉越しが良い「京の夏 竹水羊かん」には、うんと濃い深蒸しのお茶が合うそうです。今年度の『012 あさつゆ』は、例年に比べて少し軽めの印象で、二煎目はしっかり苦みもあります。
一煎目と二煎目の味比べをぜひお試しください。
今回使用した器
今回使用したお茶
二條若狭屋「京の夏 竹水羊かん」
価格 | 7本箱入 3,510円(税込) |
販売期間 | 季節限定 |
販売場所 | 本店 〒604-0063 京都市中京区二条通小川東入る西大黒町333-2 他、オンラインストアでも購入いただけます |
営業時間 | 8:00-17:00 水曜定休 |
URL | kyogashi.info |
福田里香(ふくだ・りか)さん
菓子研究家。武蔵野美術大学卒。『新しいサラダ』(KADOKAWA)、『民芸お菓子』(Discover Japan)など料理・お菓子に関する著書多数。Instagram:@riccafukuda
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