
夏の偏愛スイーツと煎茶の、自由研究
2019年08月22日

by 井原優花
煎茶堂東京ディレクター北海道生まれ。夜な夜なキッチンにあかりを灯す。愛読書は「「限りなく少なく」豊かに生きる」と「ときをためる暮らし」。土いじりが好きです。
こんにちは。煎茶堂東京・ディレクターの井原です。このコラムでは、お茶と日々向き合うスタッフの日常を皆様にお伝えしていければと思っています。
私がお茶を語るときになんと言っても欠かせないのは、甘いもの。いつの季節も、その時期とお茶に合う甘味を探しています。今回はそんな私の、夏の偏愛スイーツのお話をさせてください。
私が愛してやまない夏のスイーツはずばり、京都の老舗料亭・和久傳(わくでん)の「れんこん菓子 西湖」と「ささのか菓子 希水」です。
今から3〜4年前、美味しいものと良い本屋探しの旅で見かけた、「つるりと滑り込んでいく喉ごしを笹の香りと共に」という言葉に惹かれ、思わず購入してしまいました。
実際に食べてその言葉に納得。つるんとした喉越しと上品な甘みは、夏の暑さを忘れるような涼しげな気持ちと幸福感を運んでくれます。
それ以来、私はこのお菓子の虜。
夏になると1度は食べる、定番のお菓子になりました。
この夏も例に漏れず、いそいそと買いに行くのですが、ふとこの子たちにぴったりの煎茶をまだ決めていなかったことに気がついたのです。
こんなに食べているのにペアリングをまだ考えていないなんて!!ということで、どんなお茶が合うのか妄想しては、お菓子を食べ、お茶を飲む。そんな幸せな自由研究をしてみました。
試行錯誤の末に導き出した、この夏の井原的ベストペアリングをご紹介します。
「西湖」と「035 さきみどり彼杵」の瞑想的ペアリング
「さきみどり」は苦味を活かすために急須で淹れた温かいお茶をロックアイスで冷やす急冷式で淹れます。
まずは「西湖」をぱくり。和三盆のこっくりした甘味が舌の上に溶けて、笹の香りが鼻からすーっと抜ける。蒸し暑さなんて忘れてしまいます。
余韻を十分に楽しんだら、冷茶をひとくち。キリッとした苦味が口の中をすっきりとリセットされます。
そしてまた、苦味の余韻で覚醒しきる前に西湖をまたひとくち…。
甘味と苦味の無限ループはまるで瞑想のようです。ぜひ、何もない休日に1人で静かに楽しんでください。
「希水」と「009 おくひかり」のさっぱり風呂上がりペアリング
「おくひかり」は水出しでゆっくり時間をかけて抽出してあげます。
お茶の用意ができたら、ひとくち分を少し大きめにとって、えいっと口の中に放り込んで、香りの広がりを楽しんだらキンキンに冷えた「おくひかり」を流し込んでみてください。
「西湖」よりも歯切れのいい「希水」の食感の上に、「おくひかり」の柑橘香と「希水」のりんごの香りが混ざり合って夏らしい爽やかな気分に。
お風呂あがり、今日はお酒やめとこ。って日のご褒美時間に自分を甘やかすためのペアリングです。
まだまだ暑い日が続くので、ぜひ涼をとりがてらチャレンジして頂けたら嬉しいです。
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