
【お菓子とお茶】4種類の“たぬき”。麻布十番・たぬき煎餅の直焼煎餅と新茶「山の息吹」
2021年06月17日

by 神まどか
歴史をもつお菓子には、新しいお菓子にはない不思議なオーラがある。多くのお店がひしめき合う東京の地でも、老舗と呼ばれるお店は多くはありません。
その佇まいにさえうっとりしてしまう、“死ぬまでに一度は食べたい東京のおやつ”と、おやつに欠かせないお茶を紹介します。
今回、食いしんぼうデザイナーの神(じん)が紹介するのは、たぬきの信楽焼が目印のたぬき煎餅です。
たぬき煎餅の「直焼煎餅」
昭和3年(1928年)の創業以来、暖簾を守り続けてきた「たぬき煎餅」。もとは、当時の浅草区の代表的な花柳界の街だった柳橋で開業したのが始まり。その味の評判が芸者衆の口伝えにより柳橋名物となり、昭和7年(1932年)には宮内省との縁を結ぶことになったのだとか。
当時の煎餅屋としては唯一の「宮内省御用達」。今でも店内を覗くとその看板が誇らしく掲げられています。
「宮内省御用達」の看板
これまで三代に渡り受け継がれてきたこの口上に、煎餅へのプライドを感じます。
たぬき煎餅という屋号には、親しみやすさ・覚えやすさと、「“他(た)”より“抜き”ん出た、優れた商品を作る」という思いが込められているのだそう。店内にも至るところにたぬきの姿を確認することができます。
材料・生地にこだわり、店内で直焼き
たぬき煎餅の直焼煎餅には、4つの「大狸」・「小狸」・「古狸」・「元老狸」があります。この4つのたぬきの違いは、醤油と硬さ。
「元老狸」は最も堅く、醤油味も濃いめ。これは、醤油が半乾きの時に、もう一度醤油を塗る「二度塗り」を行っているためなのだとか。江戸前風煎餅の原点だから、「元老狸」。なるほど、食べたときに頭蓋骨まで響くようなお煎餅が好きな方はこちらですね。
「古狸」は、いい塩梅の堅さと歯ごたえを追求したお煎餅。「大狸」は厚手で、香ばしさと舌触りのよさが特徴。
「小狸」は一番ソフトな食感ですが、最も軟焼きとはいえ、それでも江戸前としての芯のある硬さです。
今回は、代表の日永治樹さんが一番好きだと教えてくれた「古狸」と「小狸」を購入。(たぬき煎餅公式サイトで見れる、「店主の独り言」も面白いですよ)
購入した商品が包まれた紙袋も包装紙好きの心をくすぐります。正面には初代・圓蔵さんが知人の画家・村上玉嘉氏に狸の絵を描いてもらい、その絵に自らの書を加えた加えたロゴが大きく置かれています。側面に入れられたもうひとつのロゴの愛らしさも要チェック。
煎餅のお醤油の味わいと新茶の味を噛み締める
醤油の効いたお煎餅には、まろやかで丸い口当たりのお茶を。ガツンと旨味・渋味の強いお茶も合いそうなのですが、せっかく新茶があるなら、鮮度が高いうちに飲んでおきたい。
2021年の新茶「山の息吹」の基本の淹れ方(4g、70℃、1分20秒)で合わせます。
歯応えが硬めの「古狸」は、目が覚めるようなカラッとした食感!噛むほどにお米の香りと甘みがじんわり出てきます。醤油の余韻が消える間際に、ちょうどお茶が欲しくなる一枚。
「古狸」を食べた後の「小狸」は余計軽やかに感じられてしまって、一枚の完食があっという間でした。お子さまも一緒に食べられるような軽やかな歯応えで、大人でもついつい手が伸びてしまいます。
歴史の深い2つの異なる食感と風味を楽しんだら、ちょっとモダンなこちらを。
新商品だという「たぬ吉 リッチ カマンベール味」は、ひと口でポンと頬張れるおかきのカマンベールチーズサンド。これが、実は家族に一番人気でした。チーズとお茶の相性はチーズのコクをお茶の苦みで中和してくれるので永遠に食べられてしまいます…。
これが昔の芸者衆の目に入ったら。「ひと口で食べられるなんて!」と更に人気だったに違いありません。
たぬき煎餅「古狸」「小狸」「たぬ吉 リッチ カマンベール味」
商品名 | 「直焼 古狸」5枚入 810円(税込)
「直焼 小狸」5枚入 648円(税込) 「たぬ吉 リッチ カマンベール味」15包入 648円(税込) ※「直焼」は本店のみの販売です |
販売時期 | 通年販売 |
販売場所 | 〒106-0045
東京都港区麻布十番1丁目9番13号 |
日曜不定休
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