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凝縮された出汁のような旨味はまるで玉露。004 やぶきたやめ

2019年04月18日

by 煎茶堂東京編集部

現在、煎茶堂東京・東京茶寮で提供されている、シングルオリジン煎茶「004 やぶきたやめ」をご紹介します。

004 やぶきたやめ

凝縮された出汁のような旨味はまるで玉露。
低めの温度で甘味ととろみを出して特別な一杯を。

‍‍‍甘味:★★★ 苦味:★★ 旨味:★★★‍‍‍

強い旨味を持ち、輪郭の引き締まった味わいが魅力。安定感のある『やぶきた』の味と独特のかぶせ香を存分に楽しめる。製法としては煎茶だが、玉露に近い味わいを感じられる、さすが福岡八女といったお茶。蒸しも火入れも程よく調和が取れ、王道のお茶を味わいたい人におすすめ。人気の高い“八女茶”を是非味わっていただきたい。

合組 『やぶきた』シングルオリジン
産地 福岡県「八女」
農園 八女美緑園製茶(江島一信)
標高 129m
蒸し 中蒸し
火入れ 104℃ 10min
来歴 静岡県在来種実生
農林水産省 品種登録年 1953年
種苗法 品種登録年 未登録
早晩性 中生
品種の特性 総合的に優れた品種で、国内の全栽培面積の約8割を占めている品種。
甘味のある濃厚な味と優雅な香気を持っている。
命名の由来 篤農家・杉山彦三郎が竹藪を開墾して茶畑にした場所から選抜。その場所が、竹藪の北側だったため『やぶきた』と命名。ちなみに、『やぶみなみ』もある。

茶葉

水色

生産地・品種について

王道の味を一段‍‍‍香り高くする“被覆”栽培


今や世界に誇るブランド茶「八女茶」。その八女の中央大茶園に位置する八女美緑園の自慢のお茶が「やぶきた やめ」です。近年、八女の中でも「さえみどり」や「おくみどり」などの品種も増えてきていますが、八女美緑園がもっとも得意とする品種が『やぶきた』であり、今なお主流でありつづけるだけの王道『やぶきた』の味わいをしっかりと引き出しています。

明るく、きれいな水色は“被覆”栽培で作られた証です。被覆とは摘採前に日光を遮る寒冷紗をかけることで、お茶の中の旨味成分であるアミノ酸が光合成によって渋み成分“カテキン”に変わるのを防止する方法で、より甘みが強いお茶を作ることができます。また、お茶の焙煎と言うのは水色を少し落としますので、このきれいな緑色を保つために少し弱火でじっくりと火入れを行っています。‍‍‍

ライナーノーツ

デパートやスーパーで売られているお茶には、「普通煎茶」だったり「やぶきたブレンド」といった名前がついている。僕にはそれがずっとピンと来なかった。どこの家庭でもお茶は飲まれているから、そうしたお茶を買っていると思うのだけど、みんなはその情報で選べるのだろうかと…。煎茶の商業歴史的には、ある程度の量を同じ味で商品化する必要があったため、複数の茶原料をブレンドして安定した味を作り出す“合組”が行われてきた。合組の面白さ・ダイナミズムは、神懸かった舌によって毎年異なる味わいを持つ数百の茶原料の中から組み合わせを案じ、欠点を補い、長所を引き立たせる、そんな宇宙的な広がりにある。そんな合組師の神業は、奥ゆかしく縁の下へ隠され、「ブレンド」という名の下に平滑な手触りで綺麗に仕上げられてしまっている。そんな気がした。

本来、自然の生産物であるお茶は画一的なものではない。今となってみれば、安定して同じ味だからこそお茶に見向きもしないような空気さえある。だからこそ、品種茶(やぶきた以外のお茶)の味を新鮮に感じたわけだが、品種茶を飲むほどに『やぶきた』の味というのは魅惑的だった。僕にとって記憶にある「THE お茶」の味というのはほぼイコール『やぶきた』の味だ。実家に帰って飲みたいお茶、『やぶきた』。冬にこたつで飲みたいお茶、『やぶきた』。祖母の淹れてくれたお茶、『やぶきた』…。挙げればキリがない。この「やぶきた やめ」は、日本人がどうしても離れられない王道のお茶の味を、いままでとは違う光の当て方で演出することで「ちゃんと味わってみて欲しい」という思いを込めて、シングルオリジンで出すことにした。そして、福岡県八女は、数あるお茶の中でも産地で「指名買い」されるほど人気の高い地域で、単なるお茶を超えたブランドとして確立されている。その功績にあやかって、「なんとなくやぶきた飲んでた」ではなく、他の茶葉と比較して尚、指名買いされるという状況ができたらこれ以上嬉しいことはない。

LUCY ALTER DESIGN 谷本幹人

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