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福田里香「秋は、吹き寄せられた小菓子を愛でる」私が器を使うなら vol.13

2022年09月14日

by 煎茶堂東京編集部

使う人によって、全く違う表情を見せるのが、器の面白いところ。一緒に使うカトラリー、テーブル、部屋に入る光の加減……。もちろん、どんなスイーツやお料理を載せるかもその人のチョイス次第。

今回は、煎茶堂東京オンラインで販売している、阿部春弥さんの『輪花皿 七寸』を、菓子研究家・福田里香さんに使っていただきました。

秋は、吹き寄せられた小菓子を愛でる

落葉の頃、秋風が吹けば木の葉や草の実、秋花の花びら、小枝、鳥の羽根……雑多な小さきものが、無作為に片隅に吹き寄せられます。この状態を日本人はごみとは呼びません。

そう、昔から「吹き寄せ」と称して料理やお菓子の銘に使うくらい美しいと感じているのです。自然を模していろんな素材を色とりどりにちりばめた煎餅類を吹き寄せと呼びます。

阿部春弥(あべ・はるや)さんの「輪花皿」は、花が銘の器。「日本橋 長門」の「深山 吹きよせ」を、まるで器の縁に吹き寄せられたように盛り付けてみました。

盛り付けは自由。必ず中央にこんもり盛る、という決まりはないのです。

「輪花皿」の寸法は7寸、直径約21cm。メイン料理を盛り付けるのにも重宝するサイズです。繊細に立ち上がったリムの段差が美しい平皿は、和洋中を問わず、どんなお料理も引き立ててくれます。

表面と同様に、グレイッシュな白い釉薬が掛かった底面。リムの段差と呼応するような一筋のラインが刻んであり、これは器を持ち上げる時の取っ掛かりになります。

煎茶堂東京の「034 ゆたかみどり」の淹れたてを急冷すると、しっかり苦味を感じ、吹き寄せ菓子にぴったり。

この「小さきもの」を詰め合わせる様式にちょっとした法則を発見しました。長年の観察によると、塩っぱい系には「お好み煎餅」という命名が多いのですが、詰め合わせに甘い干菓子や砂糖衣の煎餅の比重が増え、成形に草花のモチーフが多くなると、名称が「吹き寄せ」に変化するようです。

今回使用した器

今回使用したお茶

日本橋 長門「深山 吹きよせ」

価格 箱入り 1,300 円(税込)
販売期間 通年
販売場所 〒103-0027
東京都中央区日本橋3丁目1−3
日本橋長門ビル
電話番号 03-3271-8966
URL nagato.ne.jp

福田里香(ふくだ・りか)さん

菓子研究家。武蔵野美術大学卒。『新しいサラダ』(KADOKAWA)、『民芸お菓子』(Discover Japan)など料理・お菓子に関する著書多数。Instagram:@riccafukuda

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