
わたしの茶道具「お茶を淹れる時間はスイッチの切り替えの儀式のよう」吉原真由子さん
2021年07月09日

by 神まどか
お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。
京都・小慢で勤務しつつ、予約制のパンの販売を行う吉原真由子さんが愛でる茶道具は日常に寄り添う使い勝手のよいものたち。お子さまとのお茶時間は、お写真からも幸せな時間だというのが伝わってきます。
スイッチの切り替えの儀式のよう
私は仕事柄、中国茶を飲む機会があります。自宅や職場などで、一人でお茶をいただく時に便利なのが、この「小小蓋碗」。この仕事を始めて間もない頃に、職場の先輩からお勧めしてもらった品です。
蓋碗は湯呑みや急須としても万能な茶道具ですが、こちらは手の中にすっぽりおさまるサイズ感で、おもちゃのような可愛さがあります。
中国茶は、何煎も飲んでその変化を楽しむことが可能です。小さな蓋碗は、茶葉の量も少なくてすみ、一人でいただくにはとても便利。こちらは磁器の為、香りや味などお茶の特徴がそのままダイレクトに味わえるのも良い点です。
また、香りの強いお茶を淹れても洗えば香りが消え、扱いやすく手入れが手軽なので日常使いに適しています。
いつもより丁寧にお茶を淹れようとした時は、必ず敷布を敷くことにしています。
私が布物が好きだという事が土台にあるのでしょうが、今ではこれが自分の中でスイッチの切り替えの儀式のようになっています。
その中でもお気に入りは、小曼老師の茶席で初めて見かけた伊村夕子さんの大麻敷布。その時のことは、今でも鮮明に覚えています。
大麻の素朴さと大らかさ、そして布自身がとても生き生きとしていて、自然の中でお茶を頂いている様な感覚になりました。
大麻は、古来より邪気を払い清める植物として用いられてきたとか。その曇りなく済んだ清々しさも、お気に入りな一つの要素です。
お茶を淹れようと布を敷き準備をし出すと、子供たちが集まってきます。
最近のお気に入りは、お庭でお茶する事。お茶淹れは見様見真似で娘がやることもしばしば。子供が感覚的に淹れるお茶は、何ともおいしくて幸せな時間です。
吉原真由子さん
必要な分だけ作ることをモットーに繰り返し食べたくなるような日々の食卓に寄り添うパンの販売を予約制で行っている。2021年7月現在工房を建設中。パンの仕事の傍ら、中国茶に惹かれ小曼老師に師事。京都・小慢でも勤務。Instagram:@__yenta
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