
麻生要一郎「6月は、梅。」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭エッセイ
2023年06月21日

by 煎茶堂東京編集部
TOKYO TEA JORUNALの巻頭コラムを飾る、料理家・麻生要一郎さんのエッセイ。季節を感じながら、毎日のちょっとした幸せを見つけられるような麻生さんのエッセイをお楽しみください。月に一度更新予定。
6月は、梅。
僕の故郷には、梅の名所として知られる偕楽園があり、市のシンボルツリーは梅、そして実家があった住所は白梅、梅に守られて育った。今もマンションのベランダに置いている小さな梅の木は、毎年可愛らしい花を咲かせて、小さな実を結んでくれている。
今日は仕事が忙しいと思えば、梅干しを食べてから出かけ、ちょっと疲れを感じたら、やはり梅干しを食べる。酸っぱいのが食べたい時もあれば、ちょっと甘めが欲しい時もある、おにぎりには塩辛いのが合う。冷蔵庫には数種類の梅が常備。唐揚げを作る時、梅酢を使うとさっぱり仕上がる。料理の隠し味にも、梅酢は万能。
そう書くと、毎年たくさん梅を漬けていると思われるが、無精な僕は梅仕事との折り合いが悪くて、食べる事に専念している。唯一梅の実を扱うのは、完熟した青梅で、梅のシロップを作る時。季節になると、たくさん届く青梅の香りが、僕は好きだ。愛猫チョビも、毎年の事で慣れたもの。僕と同じように、香りを嗅いで品定め。夏場の暑い時、梅のシロップを炭酸で割ると、すっきりした甘さと微かな酸味、清涼な喉越しで生き返る。僕の暮らしに梅はしっかりと根付いている。
梅はその日の難逃れとも申します、皆さんの梅に纏わるお便り、お待ちしています。
麻生要一郎
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あそう・よういちろう|1977年1月18日生まれ。茨城県水戸市出身。料理家・随筆家。 家庭的な味わいのお弁当が評判となり口コミで広がる。雑誌への料理・レシピ提供、食や暮らしについての随筆を行う。初の単行本『僕の献立 本日もお疲れ様でした』(光文社刊)を刊行。2022年1月には第2弾『僕のいたわり飯』(光文社刊)も。 |
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Illustration:fancomi
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