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麻生要一郎「2月は、僕の愛おしい猫と。」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭エッセイ

2023年03月10日

by 煎茶堂東京編集部

TOKYO TEA JORUNALの巻頭コラムを飾る、料理家・麻生要一郎さんのエッセイ。季節を感じながら、毎日のちょっとした幸せを見つけられるような麻生さんのエッセイをお楽しみください。月に一度更新予定。

2月は、僕の愛しい猫と。

毎朝、まだ陽の光も感じられない明け方に、枕元で「ニャアン」と優しい声がする。すぐに起きないでいると、少し離れた洗面所の方から、またニャアンと少し切ない声がする。眠い目を擦りながら、起き上がって側に行くと、チョビは嬉しそうに足元に擦り寄って来る。

声をかけるのには理由がある。洗面所に置かれた、お気に入りの黄色いコップで、蛇口から注ぎたての新鮮なお水が飲みたいのだ。抱っこして蛇口の側に移動するのもお決まりで、コップに水を注いで、チョビが舌を出してペチャペチャと飲んでいる間は、飲みやすい高さにコップを持っているのが暗黙のルール。自分で飲んでねと置いてしまったら、悲しげな目で見つめられるのでかなわない。

眠い時は、コップを持ちながら、チョビの尻尾の辺りに顔をくっつけている。飲み終わると、ありがとうと言う意味なのか、ニャッと小さくひと言。その後は、機嫌良くごはんを食べている様子を見守りながら、リビングと寝室に置いてある水も交換してから、僕は二度寝する。

今みたいな寒い季節は、ベッドから出たくないと思ってしまうけれど、チョビと暮らす中でのとても愛おしいひと時。2月22日は「猫の日」です。皆さんの猫とのエピソードもお聞かせ下さいね。

麻生要一郎

あそう・よういちろう|1977年1月18日生まれ。茨城県水戸市出身。料理家・随筆家。 家庭的な味わいのお弁当が評判となり口コミで広がる。雑誌への料理・レシピ提供、食や暮らしについての随筆を行う。初の単行本『僕の献立 本日もお疲れ様でした』(光文社刊)を刊行。2022年1月には第2弾『僕のいたわり飯』(光文社刊)も。

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Illustration:fancomi

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