作り手のことば “ギリギリ安定しないところ”を求めて。作山窯・髙井宣泰さんインタビュー

2021年10月07日

by 神まどか

煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。よく飲みよく食べよく眠る。好きな食べ物は「豆花」。突拍子もなく大きい声で歌うのが好き。朝に弱いけど早起きに憧れます。

食器を単なる道具として扱うのではなく、器で広がる暮らしの楽しみ方を提案している「作山窯」。

お茶の定期便「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.14「焼き物を楽しむ」で特集したご縁で、今回お取り扱いをスタートすることとなりました。その際のインタビューも合わせて、作山窯 代表・髙井宣泰さんに、作山窯の魅力について迫ります。

※取扱の商品については順次お知らせしてまいります。お茶の定期便「TOKYO TEA JOURNAL」ご登録の方は、メールマガジンで先行にてご案内いたします。

作山窯について

「美しいしごとから、美しいうつわを。美しいうつわから、美味しい笑顔を。」

1944年、初代・作一氏が山作の屋号で運送業・農業を始め、のちに兼業として陶磁器上絵付けを始めたところから、作山窯の歴史は始まります。1987年、三代目となる髙井宣泰さんが「有限会社作山窯」を設立。

2000年からは、現代のテーブルに合う美濃焼をシリーズごとに発表しています。シリーズには「Urban」や「Stripe」などニュアンスを表現する英単語が。
公式サイト:http://www.sakuzan.co.jp/

作山窯さんの思想やポリシーってどういうものなんでしょうか。

伝統的な原料や焼き方はありつつも、そこにあまりとらわれずにやってます。僕のもの作りは、今この地にある土や原料をうまく引っ張ってきて、自分なりに多少ブレンドしながら自社の風合いや質感を出す感じです。

もう一つは、空間のなかにどう器があるか。普通は「こういう料理にはこんな形状が合う」とか考えるみたいですが、僕は全然違って。料理もお茶も、それが足されていって一つの空間を作りあげるから、物自体はどんどん引き算していくんです。

皿に描かれた絵も、飾り物としてはいいけど、食器として使うなら邪魔なこともあるし、新しい料理や食材も生まれてきてる現代に合う器が、同じものとは限らない。

作山窯 代表・髙井宣泰さん

作品を作るときのインプットはありますか?

今までもたくさん聞かれてきたんですが、インプットは特にないんですよ。他のお店に行って器を見ることもありません。世に出ているものって全て過去のものだから。でも、毎回「料理がのって完成する器」を目指して作ってます。今は多種多様の食べ物がありますよね。だからどんな料理でも合う器を作りたいと思ってます。

でも、さっきも言った通り器ひとつだけの要素で考えるということはありません。壁の色、床の色、テーブルの色、その空間を作るひとつの要素として器があるというだけだと思います。

今年2021年の「Style」シリーズはアースカラーがメインです。作品はどう決めて出されたのでしょうか?

去年から各々ストレスある中で生活してますよね。それを焼き物をやってる身としてどう器に落とし込もうかなと考えて、食事のときに安らげるような器を作りたいなと思ったんです。それでライフスタイルや現代のインテリアにも合うような落ち着いたトーンのものが多くなりました。

今回作った器は、今までもあった釉薬を初めて出したものです。今の流れをみて、ああ今かなと思って発表しました。

ティーカップ

今回私たちが取り扱う器について教えてください。

今回のシリーズでいうと、「ティーカップ」はあるようでない形ですよね。煎茶とか紅茶とか淹れたらきっと綺麗ですよ。形自体は前のシリーズからある形ですけど、生地の薄さとかハンドル部分は飲み口や持ちやすさを考えて作りました。

いつも、過去に作った形と釉薬のバランスを考えて作品を作っています。だいぶ昔に作った器でも、作った当時より現在の方が売れるということもありますが、それは料理や盛り付けの手法が変わってきているからでしょうね。

「切立プレート」なんか、これは実は15年前からある形なんです。飲食店向けに作っていて。でもなかなか当時はこういうフラットなお皿って受け入れられなかったんですよ。昔は深さがあってアールのかかった形が盛り付けしやすいとされていましたから。

切立プレート


でもここ数年で発表して、一気に売れていますね。今回のシリーズは釉薬のざらざらとした手触りがポイントです。釉薬によって手触りも変わるので色によって違うものもあります。

うちはレストランやホテルにも取扱があるので、ずっと同じ色、同じ風合いを出さないといけないんです。安定感がないと。でも安定を求めすぎると、仕上がりがベタっとして深みがなくなっちゃう。だから僕は“ギリギリ安定しないところ”を求めて作っています。安定したものは作れる。でもそうしないところが、作山窯のこだわりなんです。



(インタビュー&編集:煎茶堂東京)



作山窯「ティーカップ」は10月1日(金)18時より販売開始いたします。

関連記事

こちらのページでご紹介した商品

関連記事