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佐藤径「枝折」第一話 - TOKYO TEA JOURNAL 巻頭小説
2026年03月03日
by 煎茶堂東京編集部
TOKYO TEA JORUNALの巻頭小説を飾る、お茶を傍らに、ふと深呼吸をしたくなるような短編の連載、始めます。
ブックデザイナー・しおりが過ごす、人生の小休止のようなひととき。全六話。
枝折 第一話

土間に足を入れると、砂が小さく鳴いた。空港から母の車で戻ったばかりの体は、座り癖が腰に残っていた。母は玄関の籠に鍵を置き、流しで手を洗ってから、やかんを火にかけた。背中はいつもの場所にあり、蓋にそっと手を当てる仕草が見えた。
「しおりも、荷物を下ろしたら手ぃ洗って」
母は振り向かず、声はまっすぐで、急かす調子はない。私は玄関先に上着と鞄を置き、そのまま流しの前へ向かった。水を出し、石鹸を泡立てて手のひらを擦る。家の空気に指先が馴染んでいく。脇に用意されていた手拭いは、端が少し冷たかった。
居間に入ると、卓には白い湯呑。湯気は細く立ちのぼり、ふちの内側が曇っている。私は椅子を引かず、立ったまま近づいた。湯気の層に顔を寄せ、鼻で受け取る。知覧の香りがゆっくり立ち、木の匂いに重なって層を作った。口へは運ばない。今はまだ香りだけにしておく。変わり映えのしない室内を見渡し、熱さがやわらぐのを待った。
台所では、金物の触れ合う音、束子でこする低い音が交互に続いていた。母の背中は流しの前にあり、まな板は脇に立て掛けてある。背が見えるだけで、家の中が普段の調子に戻った。私は卓の端に指を置き、木目のさらりとした面をなぞった。外から持ち込んだ歩幅が、部屋のリズムに合っていく。息がひと呼吸ぶん深くなった。
戸口から庭のほうを見ると、軒の下に影が伸びている。黒い猫。
体を地面に延ばし、低い構え。こちらをちらと見ただけで目を閉じた。濡れた土が匂い、風はほとんどない。足音も、葉の擦れる音もなかった。
「さっき、黒いのがおったね」
「野良よ。いつの間にか居ついちょっ。餌はやらんでも、ここが気に入っちょっみたい」
母は水を止め、布を流しの下に掛けた。卓を目で拾うと、戸棚の取っ手に手をかけた。私は椅子を引いて腰をおろした。
「父さんは」
「工房。窯の火を見ちょっ」
母は体をこちらに傾け、声を寄せた。
「それより、本の仕事は休んでよかけ?」
「校了待ちだから、今週は手が空いてる」
指を温めるように湯呑を両手で包み、ひと口含む。香ばしさが広がり、ふと肩の力が抜ける。もうひと口。余韻とともに、内側のこわばりがほどけていく。母は戸棚から小さな豆皿を出して置き、火を止めた。
工房へ続く通い廊下の引き戸が開く音がした。ほどなくして、乾いた足音が縁側を渡った。
「ただいま」
「おう」
父はひと言だけ置き、上着を脱いだ。煤の匂いが廊下でほどけ、台所の湯気に紛れる。
私は卓上に置いた端末に視線を落とした。
夏の暑さにはもちろん、オールシーズン頂きたい香り&風味。仕事や家事の合間に、気分転換に…スッキリと癒されます。
040静7132、春が詰まったようなまろやかな味わいに感動しました。茶葉の緑が鮮やかで目でも楽しみました。
毎月3種類の茶葉が届き毎月違う種類なので様々な種類のお茶が楽しめます。どれも美味しいのですがより自分好みの味を見つけることが出来るのが良いなと思います。
シンプルでモダンな佇まいがとても素敵です。口に当てたときの感触がよく、飲みやすい器だと感じました。お茶以外にもハーブティーを入れると香りが立って、より美味しく感じます。
透明急須が最高の急須だと思っています。茶渋、茶葉の詰まりなど従来の急須にあったストレス要因が、簡単に落とせたり、詰まること自体がない構造だったり、とにかく素晴らしいです。いままで使っていたものを実家で使うことにしたので、あらたに自宅用に買い足しました。二級品となっていますが、まったく問題ない美品でした。ずっと使い続けたいです、緑茶を飲み続ける限り。
ヒラヒラしていてかわいいお皿だなーと思い、購入しました。目跡「あり」と「なし」があると商品説明に書かれてあり、どっちが来るだろうー?と楽しみにしていましたが、目跡あり!個人的に目跡が大好きなもので嬉しかったです。そして、このヒラヒラがなんとも美しく、想像以上にかわいかった。お気に入りです。
毎月、三種類のお茶と冊子が届く日を楽しみにしています。自宅に居ながら、毎回違う産地のお茶を味わえることが嬉しいです。生産者の方々のことやお茶にまつわる興味深いお話が冊子に盛り込まれていてより美味しくいただけています。
気になるお茶が複数あって選べないというタイプにとって、少量ずつおすすめしてくれるのはとてもありがたいです。読み物も充実しており、お茶時間をゆったり過ごせます。
いろいろな産地のお茶を試す事で、自分の好みのお茶が分かります。また、冊子も綺麗です。
冊子を眺めていると丁寧にお茶を頂こうという気持ちになります。
毎月届くのを楽しみにしています。
ちょっとした癒しの時間に、一杯分をさっと入れるのに抜群です。
熱くなく便利なので、息子・娘も自分達で気軽に使っています。
家を出る息子が持っていきたいというリクエストで、今回2回目の購入です。
手元に届きました。新年初のJOURNAL 勿論vol81号です。「枝折」第一話に始まるこの一年。新鮮な気持ちをJOURNALが運んでくれています。佐藤径氏の柔らかな文面に心地良い落ち着きとその情景を想いつつ。次回号の到着が楽しみとなります。受け取る茶葉を丁寧に淹れながら、ページをひとめくり、またひとめくり。そんな至福を今に。
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