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佐藤径「枝折」最終話 - TOKYO TEA JOURNAL 巻頭小説
2026年06月23日
by 煎茶堂東京編集部
TOKYO TEA JORUNALの巻頭小説を飾る、お茶を傍らに、ふと深呼吸をしたくなるような短編の連載、始まりました。
ブックデザイナー・しおりが過ごす、人生の小休止のようなひととき。全六話。
枝折 最終話

障子の向こうで、山の輪郭が持ち上がる。部屋の空気は夜の冷えを抱えたままで、布団から脚を抜くと、肌に当たる温度が入れ替わった。襖を開けて廊下に出ると、床板のきしむ音が家の中にほどよく散った。引き戸の桟に手を掛け、横へ引いた。工房の中は、窯のほうから来る熱が床近くに溜まっていた。灯りは取り残されたように、棚と机の上を照らしている。札が一枚。私は机の前まで歩き、札の隅をつまみ上げた。一画だけ途切れたままのところで視線が止まった。
棚の引き出しから、硯と墨と筆を取り出した。台の端に置き、やかんの残り湯を借りる。椀に湯を受け、硯へ落とす。墨をあて、重さを乗せて擦る。黒が濃くなる様子を見ながら、筆の毛先を水に含ませた。札を前に置く。新しく切ってあった札を一枚取り、誤った字の札の下に重ねる。抜け落ちた箇所に意識を合わせ、筆を紙へ近づける。筆先が紙の繊維に触れ、墨が染み込んでいった。線が伸び、字のかたちがひと続きになった。筆を硯の横に戻し、新しく書いた札の端に指を置いて寝かせる。紙が乾くあいだ、束のほうを手元へ寄せた。札を一枚ずつ送る。昨晩抜けを見つけた位置が、指先に当たった。机のほうから新しい札を取り、その隙間に滑らせるように差し込んだ。
束の断面には段差が残る。掌を当て、手前から奥へ押してならす。指の下で紙が並び替わり、側面が平らに近づいた。紐を束に掛ける。片方の端を引き、結び目を机側に寄せた。棚の段に戻すと、箱の数字と札の高さが揃って見えた。机の上には、誤った字の札が一枚残った。真ん中あたりで折り合わせ、折り目を指でなぞる。紙ごみの箱の上に、そのまま載せる。紙片のあいだに紛れ込み、粗い面がひとつ増えた。硯の水を椀に戻し、外の流しで捨てる。筆先を拭き、墨といっしょに引き出しへ戻す。工房の引き戸を閉め、通い廊下に出ると、磨りガラスの向こうが、さっきより明るい。
居間に入ると、テーブルには白い湯呑。底の形に沿うように、置かれていた場所だけ木目の色が深い。横には急須。蓋を外すと、茶殻が湯気の抜けたあとにかたまっていた。湯呑を持ち上げ、輪染みの跡に触れる。木の面は湿りを含んでいて、指の先に冷たさが移った。円を描くようになぞり、テーブルの端へ湯呑を寄せた。
朝支度を済ませ、部屋の鞄を肩に掛ける。上着の袖に腕を通し、前を留めた。玄関のほうへ歩き出す。縁側へ伸びる通い廊下が横にのびている。奥のほうに石油ストーブの灯りが見え、母がもう起きているのだと分かった。床の上で、黒い猫が丸くなっているのが目に入った。角のところで、耳だけをぴくりと動かした。玄関の土間へ降りる。靴はいつもの場所に揃えてある。鞄の持ち手を握り直し、上着の裾が土間に触れない高さで身をかがめた。靴の腰裏を指で引き、足を差し込む。紐を引き締め、踵を底まで押し込んだ。
「気ぃつけて行きなさい」
背中の上のほうから、母の声が届いた。私は振り向かず、「行ってきます」と返した。
玄関の境目に立ち直り、外の地面へ足を運ぶ。一歩。続けてもう一歩。背中に家の温度を残したまま、私は通りへ向かった。
今回が最終話でした。ご愛読いただき、ありがとうございます。
次号からの特集も楽しみにお待ちください。
器を見るときは
まずここに何を盛り付けるか考える。
楚々として
おおらかな
器や料理がいい。
高木剛さんの蓋碗から
イメージしたのは
季節の野菜と豆腐を
出汁で軽く煮て
トロリとした餡に仕立てた
やさしい味わいのもの。
冬は温かく
夏はひんやりと。
盆に乗せ
背筋を伸ばして
手を合わせて頂く
そんな情景。
空っぽでも
つい幾度も開けたり閉じたり 笑
持っていると嬉しい器。
以前から気になっていて今回思いきって申し込みました!お茶の量が多すぎず少なすぎずちょうどいい
新しいお茶の発見ができました
次はどんなお茶が届くのか楽しみです
以前から緑茶を飲むのが好きでしたが、詳しく知る機会が普段の生活になく、スーパーで買うのがお決まりといった感じでした。ですがこのサブスクを知って申し込んだ決め手が「一回分ずつ試せる」というところです。お気に入りに出会えて無駄がなく、そして旬を楽しめる。日常のひと息つく時のお供になっています。和紅茶やほうじ茶など緑茶以外も飲めて、日本って本当にいいなぁって思いました。
表紙と裏表紙がさりげなくカレンダーになっているのがかわいい
お茶以外にお菓子や食べ物のこともかいてあるのがうれしいし、参考になります
そろそろ届くかな?と思って季節を感じられるのでこれからも楽しみにしています
毎回いろいろな茶葉が届くので、楽しみです。
産地も様々で知らないことを知る感じがあるので、勉強にもなります。
非常におすすめてす。
アウトドアなので持ち運びも強いし扱いやすいし、形の収まりも良く大変気に入っています
小ぶりですが飲み口の形状が全て違ってどこで飲むかで口当たり、感じ方が違うので楽しいです。同系色ですが思った以上に茶の色もわかるので全体的に気に入ってます。
YouTubeでこちらのサブスクを紹介している方がいらっしゃって、それがきっかけで始めました。毎日色々なお茶を飲むので個包装の飲みきりの量ですごく便利。飽きずに続けることができます。茶器や器も色々あって今度はどれを買おうか悩んでしまいます。これからも魅力的な商品の紹介をお願いします。楽しみにしています。
TTJジャーナルをいつも楽しみにしてます。運営大変かと思いますが、継続しても良いなと思う企画の一つなので頑張って続けていただきたいです。残念ながらまだ現役で余裕の中、ゆっくりとしたお茶タイムは出来ませんが、引退後ゆっくりとジャーナルを読みながらお茶を飲む日が来るのが楽しみです。
緑茶が好きです静岡のじゃぶじゃぶ飲む茎茶を地元のおばちゃんにいただいた時の衝撃が忘れられません😆高級玉露は静かな夜中に飲みたいと感じます眠れなくなりそうですが😅今は番茶にハマっています時々美味しいお茶が飲みたくなる時月一届く一杯分のお茶は最高の贅沢です😊封を切った時の香りがとても楽しみです😅茶摘み休暇があったお茶が身近にあった静岡は今泊まり込みで茶摘みのバイトはあるのかな?私の近くにも古内という藤井川沿の地に茶が栽培されている所があり子供の頃に飲んでいたので最近美味しく懐かしく感じるようになりました☺️娘、妹も月一の封を切る瞬間を楽しんでいます☺️届いた?とラインしながら😁今月はアスパラも立派な物がリーズナブルに出てくるようになったのでつくりやすかな?
バニラアイスクリーム(バニラの香りの強くないミルク主体のもの)少しふりかけていただきました。本当に美味しいです。友達にお願いされたので、お裾分けしました。これから暑い季節のスイーツにいろいろ試してみたいです。素晴らしい味と香りです
レモングラスの爽やかな香りとさやまかおりのまろやかさが最高でした!
レモングラスの香りに負けないくらい煎茶の旨味も感じられる1品でさすが煎茶堂東京さんの煎茶だなと感じました!
推奨されてないかもですが水出しでも飲みましたが爽やかでとても美味しかったです!
これからの季節にピッタリだと感じました
赤ちゃんの着ぐるみを連想させるような、ほっこりした厚みがあり、丁寧に愛情をもって作られているのが伝わってきました。大切に使わせていただきたいというきもちと、この作家さんの作品を集めたいなというきもちになりました。ありがとうございました。
おくみどりとshizu7132の対称的な2つを飲み比べました。
苦味のあるお茶がよく飲むものでしたが、旨味と甘みの強いお茶の魅力に気付かされました。
カジュアルにお話いただけて、とても素敵な時間を体験できました。
今回を機にお茶がもっと好きになり、お家でももう少しこだわって飲んでみようと思いました。
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