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「豊かな急須の世界」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭コラム

2024年09月26日

by 神まどか

煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。最近の趣味は中国茶と茶道具収集です。

TOKYO TEA JOURNALの巻頭コラムをご紹介。お茶のこと、うつわのこと、お茶菓子のこと。
私たちが企画した商品やよいと思った品に、向き合って、改めて見つめてみて思ったことや考えたことをお伝えします。

豊かな急須の世界

左から、白土茶壺 丸(北井里佳)/ 急須 スパイラル(中原真希)/ ポット(萩原千春)/ ヒビ粉引後手急須 茶壺(天野千香)/ 縞ティーポット(後藤義国)

 煎茶堂東京で一番人気なのは、「透明急須」だ。2017年に発売を開始し、2023年には累計販売数10万個を突破した。これは単なる数字ではなく、「透明急須」というアイデアが皆さんに受け入れられ、応援していただいた結果であり、製造に関わった多くの人々の努力の結晶でもある。改めて、弊誌を購読してくださっている皆さんにも、感謝の気持ちを伝えたい。

 煎茶堂東京の店舗は、11月3日で7周年を迎える。お茶の魅力と可能性を感じて始めた「東京茶寮」から「透明急須」まで、私たちはお茶のハードルをなるべく低くしつつも、シングルオリジンの面白さを広める活動を続けてきた。

 私は創業のすぐ後にアシスタントデザイナーとして入社し、うつわ好きなことからバイヤーとしてお茶のある暮らしに携わってきた。その過程で、さまざまな取り組みを行ってきたけれど、その中でも「透明急須以外の急須を扱う」という挑戦は印象深い。

 はじめは透明急須があればいいと思っていたけど、割れない特徴がある透明急須と同様に、土物の急須には独特の魅力がある。手に取ったときの質感や、土とお茶が反応して生まれる豊かな味わいなど、さまざまな良さを持っている。もちろん、土物の急須はお湯を注ぐと熱くなりやすかったり、欠けたり割れたりするリスクがあるし、茶渋がつくこともある。

 しかし、それらはすべてが個性で、その中にこそ豊かな表現の世界が広がっている。作家の方々が産みの苦しみを経て完成させた作品の一つ一つが持つ個性は、まるでシングルオリジン煎茶のようだ。

 急須を選ぶ楽しさ、そしてその急須でお茶を淹れる喜びを、皆さんに感じてほしいと思う。あなたは、どんな急須が好きですか? そしてその急須で、今日もお茶を淹れてみませんか?

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