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福岡のブックカフェ・本のあるところajiroが選ぶ「いま、読みたい短歌の7冊」

2022年07月14日

by 煎茶堂東京編集部

お茶の定期便「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.39で特集した短歌。今、密かにブームが湧き上がっている短歌は、歌をつくるアプリがあったり、SNSで投稿する人が増えたり、歌人の詩集がたくさん出版されたりしています。

今回は、福岡・天神にある海外文学と詩歌を中心とした本屋&カフェ「本のあるところajiro」に、名作から最新刊まで、おすすめの歌集を教えていただきました。短歌フェアや、歌人のトークイベントも数多く開いているというajiroさんのセレクト。ぜひ参考にしてみてくださいね。

大前粟生(おおまえ・あお)/書肆侃侃房

『おもろい以外いらんねん』など小説での活躍目覚ましい大前粟生の初めての短歌集。〈この痣を月に結んで大丈夫とびひざげりの妄想をする〉など単語の組み合わせが印象的でリリカルな歌が並ぶ。一年間通して詠まれた四季の描写も魅力的。牧寿次郎の装丁もとびきりかっこいい。

初谷むい/書肆侃侃房

『花は泡、そこにいたって会いたいよ』がメガヒットとなった初谷むい4年ぶりの歌集。過去への憧憬、未来への祈り。歌のあいだに叙情を増幅させる散文が挟まれる。桃源郷に到底たどり着けない私たちへの鎮魂歌。〈目をつむれば、指先はまるで全身で 全身で きみがすきでした〉

東直子・佐藤弓生・千葉聡 編著/書肆侃侃房)

戦後の現代短歌を広く見渡す決定版アンソロジー。東直子、佐藤弓生、千葉聡が選んだ現代歌人115人の自選作品二十首が中心、さらに編者による一首鑑賞を収録。短歌に興味があるけれど、どれから読めばいいのかわからない方、たくさんの歌に触れてみたい!という方へ入門書としてもおすすめ。

柴田葵/書肆侃侃房

第一回笹井宏之賞大賞を受賞した柴田葵の第一歌集。女と男、母と子といった関係性を捉え直し、ジェンダーの問題を詠んだ作品群は読者に大きな衝撃を与えた。しなやかに生を肯定し、選ばれる言葉は鋭くてポップ。〈プリキュアになるならわたしはキュアおでん 熱いハートのキュアおでんだよ〉

木下龍也/ナナロク社

木下龍也が依頼者から「お題」を受けて作歌した100首を収めた歌集。作者がただ一人の “あなた”のためだけに歌を作る、という今までになく新しい試み。誰かのために作られた短歌なのに、どれも自分だけのために詠まれたような気がして、短歌の醍醐味を思う存分味わえる。

山下翔/現代短歌社

『温泉』で注目を集めた山下翔、待望の第二歌集。タイトルの通り食べ物を詠んだ歌が並ぶ味わい深い一冊。食べることは楽しくて哀しくて切ない。生きることもまた同じ。食を通して生のきらめきを鮮やかに描き出した快作。〈家にひとつの家の味あるかなしみをお盆が来ればおもひ出だしぬ〉

雪舟えま/短歌研究社

2011年の刊行から版を重ね続けた雪舟えまのロングセラー歌集がついに文庫化。きらきらと可愛らしい世界観。〈かたつむりって炎なんだね春雷があたしを指名するから行くね〉などファンタジーとは言い切れない不思議な切実さに胸を打たれる。現代短歌にはじめて触れる方にも読んでほしい名作。

本のあるところajiro

数多くの歌集を刊行し、夭折した歌人・笹井宏之の名を冠した賞の創設でも知られる書肆侃侃房が運営するブックカフェ。歌集はもちろん、同人誌のバックナンバーなども充実。短歌好き、本好きが集まる場所として、日々営業中。
URL:http://www.kankanbou.com/ajirobooks/

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