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作り手のことば「日用品として人が使うということを忘れない」WASHIZUKA GLASSS WORKS・鷲塚貴紀さんインタビュー
2023年04月21日
by 煎茶堂東京編集部
富山県を拠点に活動するガラス作家の鷲塚貴紀(わしづか・たかのり)さん。ハンドメイドのガラスブランド「WASHIZUKA GLASS STUDIO」のアイテムは、とろみがあるようになめらかで、ガラスが表情を持っているよう。
今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、鷲塚さんにお話を伺いしました。「シンプルで目立ちすぎず、そしてどんなシーンにも調和する、平凡なガラスが生活には必要」という言葉から見えてきたのは、日常と地続きの器を使い続けることの豊かさでした。
鷲塚さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。
富山県に生まれ、富山ガラス工房で働いたのち、2004年に独立しました。2015年にブランドを立ち上げてからは、素直な形で、どんなシーンにも調和するガラスを作り続けています。
器を作り始めたのは、吹きガラスという技法に惹かれたことがきっかけでした。でも、次第に、技法そのものを極めるというよりは、何をどのように作るかという点に興味が移っていきました。
陶芸ではなく、ガラスの世界から器作りの道へ進んだ鷲塚さんですが、ガラスのどのような点に魅力を感じているのでしょうか?
ガラスの魅力は大切に使うことで、いつまでも出来たての艶を保つことができるところだと思います。
今回取り扱う「dish」「ashitsuki」は、ともに底面がほのかに黄色く、透明感と優しい印象を併せ持っています。この色合いはどうやって生み出されるのでしょうか?
底面の色味は、炎で焼成することで発生するものです。焼成での色つけは、料理で炙るときに使うハンドバーナーを使用します。ガラスにも焼き色がつくので、ほのかな色になるよう調整しています。
現在のやり方に至るまでの試行錯誤などもありましたら教えてください。
他の素材の器との調和という点と、色を着けるかどうかに関しては、かなり考えました。色がほんのりとついている方が、落ち着きがあって食卓でも使いやすいと思い、今のような形になりました。
作品を作るときのインプットはありますか?
私が作っている器は日用品なので、普段から自分が使用することが大事だと思っていて。実際に食卓で器を使ったときの気づきを大切にしています。あとは、あまり自分の色を出しすぎないようにも気をつけています。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?
日用品として、人が使うということを忘れないようにしてます。
今後挑戦してみたいことはありますか?
定番品を少しずつでも増やしていきたいです。自分の器を必要としてくれる人は、“これから手仕事のものを生活に取り入れようとする人”たちだと思います。なので、その人たちに伝わるやり方をもっと模索していきたいです。