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お茶のうつわ。05「季節によって色の割合を変えてみる」齋藤有希子/横山拓也/中村豊実
2024年04月05日
by 煎茶堂東京編集部
お茶は、お茶だけでは飲むことができない。お茶を抽出する器具や、飲むための器があって、ようやく口にすることが出来る。たまに、お茶請けがあるとまた違う世界がひらける。
今回は、古いものから現代ものまで、独自の愛用品を蒐集するfutabaさんに、煎茶堂東京オンラインにある茶道具や器を使ったお茶の時間を過ごしていただきました。
それぞれの品の魅力、他にどんなものと合わせたら素敵か。futabaさん目線で見た道具たちの様子をご紹介します。
見る角度で違う錆色。
小ぶりの蓋碗は初めて使います。まずはその姿の可愛らしさに惹かれました。
薄さや立ち姿など細部に丁寧な手仕事が感じられ、ずっと手に触れていたくなるような器です。
齋藤有希子さんによって作られる『ミニ蓋碗(錆釉)』。小さいサイズ感は、初めて蓋碗でお茶を淹れるという方でも扱いやすい。そして自分一人のために自宅で気軽にお茶を楽しんでみたい…という方にもピッタリだと思います。
錆色の釉薬は艶とマットのバランスが絶妙で、色味も見る角度によって変化するところが面白く感じました。碗の口縁にかけてのカーブが指にぴたりと合わさり、お茶を淹れる時も滑ることなくスムーズに扱えます。
そのままでも美しい立ち姿。
柔らかな姿と質感がとても魅力的な、横山拓也さんの『片口』。下地の色味が白化粧土からそっと顔を覗かせて、凛とした表情を感じさせます。
適度な厚みがあるので持った時の安定感もあり、茶を注ぐ際にも非常に使い良いものでした。
筒のような形に見えますが、真横から見てみると口径にいくにつれて緩やかに立ち上げるようなシルエット。工業製品のように単調にはならず、人の手から生み出された有機的な美しさを感じます。
手に取った時の感触はマットなので、滑り落ちる心配もなく安心して使えるところも良いですね。そのままの姿で十分に魅力的なので、使用しない時でもオブジェとして、そして花生けとしても楽しめそうです。
釉薬の景色が良い「茶杯 平」
最後の品は、中村豊実さんの『茶杯 平』。
口縁が薄手なのですっきりと美味しく茶を楽しむことができました。
片口とは対照的に、青みがかった白と艶のある釉薬です。片口と合わせて使った時に並べてみると、同じ白でも異なった雰囲気を感じます。
この白に褐色の茶の水色がとても映えて、目にも美味しい一杯となりました。見込みの轆轤目と釉垂れがまた良いアクセントになっていると思います。平たい形状なので、茶の香りが全体にふわりと立つのもまた良いものです。
煎茶、中国茶、お茶以外でしたら日本酒にも使えるので、1つで様々な使い方が楽しめると思います。
季節によって色の割合を変えてみる
今回は、古い蚊帳を敷いてお茶を楽しみました。
質感の違う白の器が2つあったので、選んだ敷物もあえて質感の異なる白。気温が高くなってきたので、素材も軽めのものを取り入れて、色合いのトーンも上げてみました。
中国茶専用の茶則や茶通は持ち合わせていないので陶片と楊枝で代用し、蓋碗は錆釉ということで金属の質感を入れてみたく、古いピューターの器を、水盂として。
蓋碗で淹れたのは、『烏龍茶 べにふうき』。
香りは高く、優しい色味に対してしっかりとした濃厚な味わいが楽しめました。お茶だけでも十分満足感が得られる味わいですが、ぜひ香ばしいピーナッツ菓子や、八角の効いた肉まんと一緒に味わってみたいですね。
とても美味しく、何煎も重ねて長い時間、お茶を味わうことができました。
今回使用した器
今回使用したお茶
futaba(ふたば)さん
InstagramやYoutubeで綴られる、静かながらも愛着のある品々や、食に関する投稿が人気。暮らしにまつわるvlogや、愛用品、日々暮らす中で思ったことを書き留める。Instagram:@lesmoules___