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西麻布「山﨑」による味の輪郭線と奥行きを感じる料理 | 山崎志朗さんインタビュー

2023年03月10日

by 煎茶堂東京編集部

西麻布の「山﨑」は、オープンから3か月でミシュラン一ツ星を獲得した、予約の取れない人気店です。赤坂にある名店「もりかわ」で修業を積んだ若き店主、山崎志朗さんの技術と感性により作り出される繊細な日本料理の数々が楽しめます。

丁寧で細やかな仕事やキッチン内の統制の取れた緊張感ある様子とは裏腹に、提供される品々は「海老芋の唐揚げ」など素朴なネーミングと、柔らく包み込んでくれるような味わいが印象的です。そこからは、食やお客さんに対してどこまでも謙虚な、山崎さんの人柄が垣間見えるよう。

そんな「山﨑」ではコースの最後に透明急須で淹れた煎茶をいただくことができます。

お茶について、山崎さんは「本当に美味しい煎茶を飲んだ時の感動をお客様にも届けたい」「お茶は写真だけでは違いが分かりづらいけど、飲めば圧倒的な違いを感じていただけるのがいい」と言います。

そう語る山崎さんの料理からは、お店を訪れ、実際に料理をいただかないと体感できない奥行きを感じることができます。

今回は、そんな「山﨑」の魅力やお店への思い、そしてお茶の話を聞きました。

東京で食材と向き合うからこそ、追い求めたい「味の輪郭線」

山崎さんが作る自分らしい料理とはどんなものなのでしょう。

料理をするということは、食材に対して何かしら手を加えることですが、僕は食材の「味の輪郭線」を強調するような仕事ができたらと思います。

たとえば手を加えられる食材がりんごだとしたら、自分たちがイメージする「りんごの味」よりも、それらしさを追求する。食材の持っている味をなるべく邪魔せず、味を迎えにいくということを意識しています。

「食材らしさ」を追求したお料理は、どんな一品になるのでしょうか。

たとえば蟹は、生のままでも茹でただけでももちろん美味しいです。でも漁港に行って、採れたての生の蟹を食べる以上の美味しさって、食材の味そのものだけを追求するとなかなか難しいと思います。

蟹は生きている状態で東京の店に届きますが、海から上がった段階で浸透圧の影響で水がどんどん抜けていってしまうもの。蟹の美味しさは基本的には水分なので、その美味しさがどんどんどんどん損なわれていく状態です。

だから漁港からはるばる東京に来る以上、何かしらの仕事をしなくてはいけないと思います。この冬お出ししたメニューでは、蟹の体液と同じくらいの濃さ・塩分濃度の出汁を用意して漬け込み、流出した蟹の体液と同じぐらいの塩分濃度の出汁が身に入っていくようなアプローチを施しています。蟹の味もするし出汁の味も含まれている、おひたしです。

つけ込んだ出汁にも蟹の味が逃げているので、蟹の胴体部分の身から作る雑炊もこの出汁から作り、蟹の持つ旨味をお客様の胃袋まで余すことなくお届けしたいと思っています。

食材を東京まで運ぶからこそ、よりその食材の魅力を引き出す工夫がいるのですね。

産地から運んでくるスピードを速くすることはもちろん努力すべきポイントですが、速さにも限界があると思います。たとえば自分が毎日新幹線に乗って産地から運ぶのも長続きしないと感じています。

無理をしすぎて誰も続けられないのであれば、料理の業界としては先に進まない、それは僕の中では正しくないのではないかという思いがあります。

業界全体の持続性や進歩みたいなところまで考えながら、日々料理と向き合われているのですね。山崎さんがそのような考えを持つきっかけはあるのでしょうか?

27歳でお店を1回辞めて、その後30歳で移転するまでの間、皿洗いという形で「aca 1°」さんや「CHIUnE」さんなど、有名なお店を見させていただいた時です。「このシェフはこういう考えを持って食材に対してアプローチをしているんだな」と考えながら和食以外の世界を学ぶと、1つひとつの作業に対して「そもそも、なぜそれをするのか」と考えるようになりました。

料理の仕込みは手間も時間もかかるものですが、その仕込み自体のゴールって何なんだろうかと。和食で当たり前と教えられてきたものが、フレンチやスパニッシュでは違うアプローチをしていたり、勉強すればするほど食材に対して色々な方法や意見があります。

いいものをよりよく届けるための試行錯誤を続けない限り、お客様は継続して来ていただけません。その時はそれで美味しいとされてきたものが、作り手の考えが凝り固まって変わらないままだと、時代にフィットしなくなってしまう。料理を続けるなら、常に考え続けなくてはいけないんだと思います。

和食かフレンチかでも当たり前は変わるし、時代によっても美味しさは変わってゆくのですね。

たとえば、昔のいわゆるホテルでの高級料理は、たくさんのお客さんを相手にすることを目指すものでした。そのため大きな炊飯窯で1〜2升を炊いて、そこに出汁で炊いておいた松茸を2〜3切れつける。それがいわゆる高級なコース料理のひとつとして通っていた時代がありました。

でも、いつしか誰かが「少ない人数しか来ていただけなくても、美味しいほうがいい。目の前で鰹節をひいて1番出汁を取るとか、土鍋で炊き立てのご飯を食べていただく方が嬉しいよね」と考え方を変えて挑戦し、そちらにお客様の足が向かうことによって、そのお店が繁盛する。それに気づいて作る側がやり方を変えていくというようなことは起こっています。

また、今はSNSで情報が広がるスピードが格段に上がって、明日にはもっと美味しい調理方法が見つかっているかもしれない。それを常に考え続けないといけないし、そのスピード感についていかないとダメな時代になってきていると感じます。

普段の仕事や毎日のルーティーンだけになってしまうと、気付けない部分・見過ごしてしまうものはどうしてもできます。それを見て気づいたり、今やっていることを疑うことをしようと思っています。

四季折々の空気を読みながら、挑戦を織り交ぜる

お料理は、季節ごとに変えているのでしょうか。

四季ごとに大きく変えつつ、ひとつの季節の中でもう1〜2回変えたりもします。多分8回ぐらいは変わるかな。短い期間で変わる献立もあれば、もう少し長く、3カ月位ずっと作っている料理もあるかもしれません。

たとえば蟹の季節でも、12月と1月ではその季節の持っている雰囲気が変わってきたりします。12月は少しボリューミーな献立・コースのほうが似合っていたり、1月になると、なぜか菜の花や蕗の薹のような苦味が食べたくなったり。

季節の空気を読んで、それに合わせて変えているのですね。コースを考えるときの発想の元になるものや、大事にしている考え方はありますか?

季節のコースを考えるときはまず、その時季に食べたい食材を紙に全部書きます。書き出した食材を美味しく提供できそうな調理法を書き連ねていくと、10〜15品ぐらいになります。その後「脂っこいものは最後がいいな」「最初は寒いだろうから暖かい料理がいいな」とを考えながらコースの構成・順番を決めていくと、どうしてもそこに隙間が発生します。

この隙間を「埋める」という考えではなく、「ここに刺さる料理って何だろう」というふうに考えながら、手元にある紙を見ながらまだ使えていない、使いたい食材を選びます。

たとえば「この魚は揚げたら美味しくないだろう」と経験上わかっていても、これで美味しいものが作れたら活路があるかも、と実際に試作を重ねていきます。その時は諦めたとしても、季節がうつり変わっていくうちに新しい調理方法を思いつくタイミングが来ることもあります。そうしたら頭の片隅に残しておいて、次の冬に挑戦したり。

そう思うとある意味、コースの隙間はチャレンジのための余白でもあるんですね。

そうですね。ただ、いろいろ考えて作ったコースの中に、去年作った料理とほぼ同じものも存在します。でもその一皿は「考えた上で今年はこれ以上は出ませんでした、今年のベストはこちらです」というような気持ちで作っています。

今日よりも明日のほうが美味しいものを作りたいと言いつつ、お客様に対してはやっぱり今日が1番美味しくあって欲しいという思いもあります。

実際に訪れるからこそ分かる「奥行き」のある料理と煎茶

お店では最後に、透明急須を使って淹れた煎茶を提供されていますが、透明急須を見つけたきっかけなどはあるのでしょうか。

見つけたきっかけはSNSです。その後調べて、店舗に行って購入しました。透明急須は「重ねられる・壊れない」という、他の急須にない良さが気に入ってます。

今は常連の方が多く、皆さん透明急須にもすでに慣れていらっしゃいますが、使い始めた頃は「それいいね」と反応もありました。透明なので茶葉の様子を見せやすいのもいいですね。

お客様の前でお茶を淹れているのですね。

お客様の前で、茶葉10gに44度のお湯で3分間ほど蒸らして提供しています。一煎目はゆっくりたっぷりしたお茶を淹れています。

その後お客様の雰囲気を見て、まだお話しされているようなら70度のお湯で二煎目を淹れてお出ししています。

提供する煎茶は、こだわりなどあるのでしょうか。

本当に美味しい煎茶というものを初めて飲んだ時に僕自身が感動したので、それをお客様にも届けたいと思ったのが一番の理由です。

和食のコース料理の最後は、お抹茶を立てたりするのが常です。僕は小学生の頃から茶道を習っていたので、お抹茶をお出しするのもいいかなという気持ちはありました。でも東京は「この後、2件目に行く」という予定を入れている方が多く、時間の流れるスピードも京都より早いです。そんな東京で、お抹茶をお一人ずつ点てて順番に出す時間の使い方は少し違うかなと感じました。

そこで煎茶という選択肢があがったのですね。

そうですね。あとお客さんが写真を撮ったときに、ペットボトルのお茶と見た目は一緒だけど、圧倒的に味の奥行きが違うのもいいですね。

写真でなんとなく味がわかって、把握した上で食べに行く料理は味気なく感じます。煎茶は、写真だけで「すごい美味しそう」とはなりづらい。でも実際口に運んでいただいたら「やっぱり圧倒的に美味しいな」と分かってもらえます。

見ただけでは分からない、そこに来ないと体感できないのは、レストランの醍醐味です。私もそういった料理を作りたいし、その体験が全部連なって最後、煎茶までつながっていくものができたら僕は嬉しいです。

山﨑
住所:東京都港区西麻布1-15-3 西麻布UOUビル 1F
定休日:不定休
WEB:https://www.instagram.com/ymzk46/
※空席情報はInstagramのストーリーズで随時公開中。予約の際はぜひこちらをチェックの上ご連絡いただくとスムーズです。

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透明急須 二級品
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全く二級品だと思わないほど綺麗なお品でした。仕事場で使用していますが、自宅用にもう1つ買おうと思います。

乳白色に一目惚れ!

このコップをメールで見て一目惚れして即購入しました!何より乳白色の色味が好み過ぎて…サイズも60mlって知った時はちょっと小さいかな?とも思ったんですが煎茶堂東京さんの透明急須で丁度2人分になって、1煎目を2人分作ることが出来るのでとても重宝しています。色味がランダムなので欲しい色味が来るかどうかは運要素強いですが買う価値ありです。

玄米

玄米の香り好きです〜
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一目惚れで購入した器でしたが
とても素敵でした
墨貫入が渋くてかっこいい!

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自分用に購入したものを長年愛用していますが、耐久性が良く汚れも目立ちにくいです。友人にも勧めたく、購入しました。贈り物としても高級感がありとても良いです。

芳ばしい香りがとても良い。

芳ばしい香りがとても良いです。味も深みがあり、気持ちを落着けたい時に飲みたくなります。何杯かいただいてから、にこまる玄米を足して飲むのが好きです。

茶葉が開くのを楽しめる

最後まで美味しくお茶が頂けます。
同僚にプレゼントしましたら、センスが良いとのお言葉を頂き嬉しく思ってます。大変喜ばれますよ。お勧め致します。

TOKYO TEA JOURNALについて

毎月3種類のお茶が楽しめます。
6月は和紅茶、新茶、ほうじ茶の3種類でした。
スモーキーほうじ茶は、想像以上に燻製の香りが漂い、味はさっぱりしていて美味しかったです。
来月も楽しみです。

家族のリクエスト

定期便が届いた日、中に入っていた新茶を家族と一緒に飲みました。その日は皆でとても疲れて夕飯もほとんど喋らず食べましたが、新茶を飲んだ後「なんだか元気が出た〜」と言って皆笑顔に。「また飲みたい」とリクエストされました。
香りも爽やかで甘味もあってとっても美味しかったです。

あっさり

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にこまる玄米
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自分の好きなお茶に追加玄米をして玄米茶に味変できるのが贅沢です…

眺めるたびにうっとりするお皿

滑らかなラインとクリームかかった色を眺める度にうっとりします。素敵なお皿で食事もテンションが上がります。

大満足!!

オーバル型の木皿が欲しくて探しておりましたら、タイミングよくこちらのお店で素敵なお皿に出会いました。美しいし、軽くて洗いやすいし、
購入して本当に良かったです。
大切に使わせて頂きます。

とても美味しい

丁寧な時間を過ごしたく、購入しました。
色、香り、旨みが口の中に広がり、さすが煎茶堂さん!
忙しい1日の中でほっとできるお茶時間です。

TOKYO TEA JOURNAL
可奈 松下
日本茶が身近になりました。

毎月、3種類の日本茶が届きます。産地や製法によって、味が違うのがおもしろかったり、和紅茶や烏龍茶などもあったりと、日本茶が身近になりました。
いれる時間から、香りや色を味わって、飲んで癒されてます。

TOKYO TEA JOURNAL
ジョンドゥホ
満足してます

ずっとコーヒーを飲んできて、お茶の理解を深めるためにサブスクリプションしました。3カ月ぐらいしてますが、色々と飲めて楽しいです。

TOKYO TEA JOURNAL
総子 日比生
試飲するのに便利で毎月楽しみです

普段から何の気なしに頂くお茶ではありますが、普段使いの域を出ないのもお茶だと思います。
お接待で頂くお茶の美味しさに感動するも、なかなか好みのお茶探し迄はたどりつけず…。
でも、このtokyo tea journal 毎月楽しく3種類お試しでき、気に入れば購入も出来るので、美味しいというレビューだけど…どうかなぁ?や、買ってみたけど口に合わない〜の心配もないのが素敵です。
更に届いたお茶とのマッチングや説明まで綺麗な写真や絵も添えられた冊子も届き、至れり尽くせりです。
こんなに大切に届けて頂け、自分好みのお茶に出会える、毎月の楽しみです。

TOKYO TEA JOURNAL
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月1のお楽しみ

毎月季節に合わせたお茶が3種類届くので楽しみにしています。煎茶、ほうじ茶、和紅茶など、おいしさの発見があります。日常使いではついつい一杯分を少な目で飲みがちですが、適量(思っているよりかなり多め)の確認もできます。路面店にもぜひ伺いたいと思っています。海外の方々にも日本茶のおいしさをアピールしてほしいです。

毎月の楽しみにしてます

毎月ちょっとした小話とお茶と何をあわせるか、のコラムがついており、一緒に届くお茶をどう、なにとあわせて飲もうか…と楽しんでいます。日常の中のつかの間のゆったり自分時間を作るのにとても役に立ってくれています!これからも楽しくお茶生活できたらと思います!

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和紅茶のサヤマカオリを頂きました。はっきり、キリリとした中にも深い味わいがあり、烏龍茶のような香りが上品で大変に美味しかったです。

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久しぶりにお抹茶が飲みたくなり購入しました。お抹茶をたててラテにしたり、アイスクリームにかけてみたり色々楽しんでいます。
とても美味しく頂いています。