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清澄白河「O2」の抜け感を楽しむ中国料理とお茶のこだわり | 大津光太郎さんインタビュー

2022年10月25日

by 煎茶堂東京編集部

下町の雰囲気と新しいカルチャーが入り交じる東京・清澄白河。そこに、おしゃれなカフェのような佇まいでありながら、日が暮れるとワイン片手に料理を楽しむ人々でいっきに賑わうお店「O2(オーツー)」はあります。

オーナーシェフの大津光太郎さんは、日本を代表する中国料理人のひとり、脇屋友詞さんのレストラン「トゥーランドット臥龍居」で修業を積み、2018年3月に生まれ育った故郷である清澄白河の地でO2を開店しました。

日本の食材を生かした中国料理と自然派ワインの組み合わせを楽しめるこのお店には、地元の人はもちろん、わざわざO2の料理を味わうために足を伸ばす人も少なくありません。

そんなO2のキッチンには、煎茶堂東京の透明急須が。実はO2はお茶もこだわっており、透明急須でサーブしているのです。

大津さんは「うちは中華だから中国茶、と決めてしまうんじゃなくて香りを楽しんでもらえるお茶をセレクトしています」「透明急須は割れないし、スタックもできるので現場向きだなと思いました」と語ります。

O2でいただけるお茶の軽やかさと香りのよさは、料理の「抜け感」を大切にしているという大津さんのこだわりが、そのままお茶にも反映されているのを感じさせてくれます。

今回は、そんな大津さんの料理やお店への思いやお茶の話を伺います。

中華のエッセンスに「抜け感」を楽しむ料理

ホタルイカと春野菜の前菜

O2のの料理は「自然派ワインとのマリアージュ」や「モダンチャイニーズ」という言葉で紹介されることが多いかと思います。大津さんが思われるO2らしい料理ってどういうものなのでしょうか?

僕自身の出身は中国料理ですし、中華鍋も使って料理をしています。でも、O2の料理は「中華の食材か調味料、技法などをひとつでも使っていればOK」にしていて、枠組みはかっちりとは組んでいません。

たまに、これは中華じゃないと言われることもあるのですが、それはそれでいいかなという気持ちです。

大津さんにとって、O2の料理=中国料理であることは絶対ではないのですね。

最初の頃はやっぱり「中国料理でなきゃ」という思いもありました。でも、お客さんが求めているものがどういうものか分かってきてから、自分らしい料理を出せるようになっています。

お客さんが求めているもの、とは?

今大切にしているのは「ワインにあった料理で、美味しいと思えること」です。

うちの料理は、ハーブや柑橘を使って抜け感を出しています。そうするとナチュラルワインと相性のよいメニューができるんです。

抜け感、というと……?

風味とか、最後の余韻ですね。食べてそのままの味ではなくて、食べ終わった後に抜けていく感じ。自分ではそれを抜け感と言っています。

そのなかで、看板メニュー「牛ホホ肉の豆鼓煮込み」はどういうお料理になるんですか?

これは中華の基本の煮込みの技法を使っていて、醤油、砂糖、チキンスープでゆっくり煮た料理です。さらに仕上げには、豆豉(トウチ)という黒豆を発酵させた、まろやかなコクと香りのある調味料を使っています。

牛ホホ肉の豆鼓煮込み

高い金額を払っていい食材を使えば、おいしいものができるのは当たり前です。でも、ちゃんと手間暇をかければ高い食材でなくてもおいしいものはできるんだ、という思いでつくった一品で、オープンからずっと定番メニューになっています。

「ちゃんと手間暇をかけて美味しいものをつくる」というのもO2の中でひとつ、大切な軸なんですね。

自分自身が生まれ育った地元でやっているお店でもあるので、記念日やすこし特別な時に行きやすいお店にしたい、という気持ちは当初からありました。カジュアルにお客さんに親しんでもらえることを目指しています。

内装もカジュアルで親しみやすい雰囲気がありますが、同じような意識で設計されたんですか?

内装はまず、「中華っぽくしないでほしい」というオーダーをしました。「中華を食べるからこうじゃなきゃいけない」って思わなくてもいいんじゃないかと思って。

あとは、お客さんの顔を見ながらつくりたかったのでカウンターキッチンにしています。前職ではクローズドのキッチンでやっていたのですが、時々ケータリングに行ったり、イベントやらせてもらったりする中で、お客さんの顔を見ながら料理をするのがすごく楽しかったんです。

偶然の出会いから広がる料理とお茶

O2は料理とワインのペアリングを提案されているお店ですが、その中でお茶の立ち位置はどういうものになるんでしょうか?

前は中国茶も結構置いていましたが、ほとんどやめました。今は冷たい鉄観音茶と、リクエストがあればほかの中国茶もお出しするくらいです。

どうして中国茶を扱わなくなったのですか?

これも「うちは中華だから中国茶」じゃなくてもいいなと思ったんです。今は北海道の函館近くにある七飯町というところの野草茶をメインに取り扱っています。どくだみやクマザサ、紫蘇を使ったお茶などがあります。

うちでは「女神のブレンド茶」という12種の野草をブレンドしたもののほかに、「生姜とシソの実茶」や「韃靼そば茶」「ミント茶」などを取り扱っています。この4つは「この素材の香りだな」と拾いやすいものがいいなと思ってセレクトしました。

「生姜とシソの実茶」を試飲させていただきましたが、とても爽やかな香りが印象的でした。どうやってそのお茶とは出会ったのでしょうか?

北海道に旅行に行った時に出会ったお茶です。たまたま行ったホテルで出てきたお茶で、「何だこれ、おいしい!」と思って調べたのがきっかけです。

どくだみなどの野草栽培をする方が、ご自身で乾燥させてブレンドしているもので、すごく丁寧につくられていると思います。

ホテルでたまたま出会うなんて、すごい偶然ですね。

ちょうどその頃、中国茶以外でO2に合う美味しいお茶を探していた時期でもあったので、本当にいいタイミングでした。飲んだ後、すぐに調べてメールしました。どれも香りがすごくいいお茶で、食後に飲むのにちょうどいいと思います。

お料理に使っているハーブの香りなどにも合いそうですね。お茶以外にも、偶然食材に出会うこともあるんですか?

よくあります。宮城のアルフィオーレさんというワイナリーにお手伝いに行ってるのですが、そこで広島の梶谷農園さんというハーブ農家の方と知り合って実際に農園まで行ったり。さらにそのつながりで、広島のレモン農家にも行きました。

あとは煎茶堂東京の透明急須も、お茶やハーブと同じくたまたま出会ったものでした。たまたま妻が透明急須を使っていたんです。触ってみたら、お店で使う急須にもちょうどよさそうだったので導入しました。

透明急須も偶然見つけて頂いたんですね。最初は別の急須を使われていたんですか?

ガラス製の急須を使っていたんですが、割れてしまうので扱いが悩ましかったんです。透明急須は割れないし、量もちょうどいい。あとスタックもできるので、現場向きだなと思いました。茶渋も、前よりつかない気がしています。

あとは、お客様の使い勝手も見ています。O2は一煎目を透明急須に淹れた状態で、透明急須2回とちょっと分くらいの差し湯と一緒にお出しするので、お客様ご自身がティーカップに注ぐスタイルです。なので、熱くないのはすごく重宝しています。

お客様から透明急須について何か反応はあったりしますか?

実際に触られた後に「熱くなくて使いやすそう、どこのなんだろう?」みたいな感じで調べてる方もいらっしゃいます。

余白とバランスを大切にしながら長く続けていく

飲食業は連続したお休みを取るのが難しい印象なので、大津さんが色々なところに出向いて食材と出会っていることに驚きました。

O2は不定休にしていて、連続した休みもしっかり取ります。あまり長い時間働きすぎるよりもゆっくり休んでインプットする時間が必要だなと思うので。

どこかに行ってインプットしたからこそ、お茶もハーブも出会えたのですね。

後になって振り返れば、そっちの方がプラスになるんじゃないかと考えています。

キツキツでやってしまうとずっとこの働き方をしていくことができなくなるでしょうし、人にあまりに任せられない性分でもあるので、余白を持つことは大切にしています。

そのなかで、今後O2としてやっていきたいことや将来の展望などはあるのでしょうか?

O2の今後の目標は「現状維持」にしています。お店をはじめた時はこんなにお客さんが来てくれるとは正直思ってもいなかったし、今の状態に本当に満足しているんです。だから、無理に新しいことをやるよりも、今をしっかり守っていくことに力を割きたいと思っています。

カヌレやワインの販売など、新しいことにも力を入れていらっしゃる印象だったので意外です。

どちらも人との縁がきっかけではじめたので、実はこのために新しく人を探したわけではないんです。

カヌレは、スタッフのパートナーの方がパティシエで、ちょうど仕事を辞めたタイミングだったので「じゃあやる?」という話から、週末限定ではじめました。

お酒の販売も、うちにはソムリエがいるので販売できるようにしたらいいんじゃないか、ということで、まずはアポイントを取っていただく形で小さくやっています。

今自分たちが持っているものや繋がりを、うまく生かしてやっているのですね。

こういった取り組みの背景には、僕に何かあった時でもお金を生み出せる仕組みを作っておきたい、という思いもあります。「僕が入院して3ヶ月僕が働けません」ってなったときに、彼らだけでも進められるものがある、2000本程あるワインの在庫を売る手段がある、そんな保険みたいなものです。

新しい食材やインスピレーションを探しにいく余白もあり、何かあったときにもお客様と繋がりつづけられる選択肢もあり、ある意味究極のバランスのような感じがしました。

その中心にはレストラン、料理があるので、そこを忘れずにやっていきたいなと思っています。それを軸に、できる範囲のことを自分たちでやっていくのがO2のスタイルです。

O2(オーツー)
住所:東京都江東区三好2-15-12 峯岸ビル1F
定休日:月曜日(不定休あり)
WEB:https://www.instagram.com/o2_kiyosumishirakawa/

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