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「ネコの研究」ってどんなもの?研究者・服部円さんに聞いてみた!

2021年12月15日

by 煎茶堂東京編集部

ネコとクリエイターをテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」は、多くのネコ好きがチェックしていたはず。

主宰の服部 円さんは、なんと「ネコの研究者」になっていた!? 服部さん、ネコの研究っていったいどんなものなんですか?

教えてくれたのは…服部 円(はっとり・まどか)さん
編集者、研究者。女性ファッション誌などの編集を経て独立。取材などで、飼っているネコの話を聞いたときの方が「その人らしさ」が出ていると感じ、「クリエイターとネコ」をテーマにしたWEBマガジン「ilove.cat」を立ち上げる。東日本大震災後に被災動物のシェルターを取材したことで、ネコが置かれている環境に広く興味を持つように。出産を経て、ネコの研究者を志して麻布大学大学院へ。修士課程では「ネコの顔形態とヒトとの関わりについて」調査をおこない、現在論文を執筆中。2021年からは京都大学 野性動物研究センターにて、ネコとヒトの関係性についての研究を続ける。研究に興味がある方は、ぜひインスタグラムのチェックを。
Instagram:@madokahattori

研究のコト❶
ネコの研究は実はハードルが高い!

ilove.catの取材を通して、いま共同研究をしている齋藤慈子准教授(上智大学)と知り合いました。先生の研究は「ネコは飼い主の声を聞き分けられる」ことを科学的に証明したものでしたが、大学でネコの研究が行われているということがまず驚きでした。

でもネコの研究は同じ伴侶動物であるイヌと比べて少ないんです。なぜならイヌは研究室で実験をすることができるけれど、ネコは縄張り意識が強くて、実験室に連れてきてテストするのが難しいんです。

できることでも、何度も繰り返すと「嫌だ、やらない」となってしまうこともありますからね。実験に協力した時には「楽しそう!」と思ったのですが、実際自分がやってみると大変です(笑)。

研究のコト❷
ネコはしっぽで返事をしている?

齋藤先生の「飼い主の声を聞き分けられるか」という研究で、ネコが名前を呼んで返事をするかどうかというものがあるのですが、振り返らなくても耳をちょっと動かすとか、しっぽの先をちょっと動かすことが返事になっていると書かれていました。

振り向いてこっちを見てくれないから「ああ聞いてないんだな」じゃないんです。私も自分の家で、飼いネコの「スカイ」の名前を呼ぶと、あっちを向いたままでもしっぽがちょこっと動くことがあって、「齋藤先生が書かれていたあれか!」となりました。

さらに観察してみると、耳とかしっぽとかひげとか、そういうディティールで反応しているんです。こういう気づきが増えたのは、やはりネコについて研究・分析した成果なのかもしれません。

研究のコト❸
ネコは「怠惰」って本当?

マウスやイヌ、チンパンジーなど、ほ乳類の多くは、何もしないで得られる餌よりもレバーを押すなどの結果(報酬)として得られる餌の方を好むという傾向にあります。これを「コントラフリーローディング」と言いますが、ネコにだけはなぜかこの傾向が見られないんです。

1960年代に行われて以降、つい最近も検証実験が行われたのですが、やはりほとんどのネコが何もしないで得られる餌を好んだのだそうです。これはネコがメンタル的に本当に「タダ飯」を好むのか、それとももっとネコにとって適した課題があるのか。本当のところはまだまだわかりません。

こういうことを科学的に解明していって、「ネコにとってよいこと」を人が選択していけるようになるのが、研究をすることの意義なのかなと思います。

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