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「心も身体も、ほっと休めて」- TOKYO TEA JOURNAL 巻頭コラム

2024年12月20日

by まどか 神

煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。最近の趣味は中国茶と茶道具収集です。

TOKYO TEA JOURNALの巻頭コラムをご紹介。お茶のこと、うつわのこと、お茶菓子のこと。
私たちが企画した商品やよいと思った品に、向き合って、改めて見つめてみて思ったことや考えたことをお伝えします。

心も身体も、ほっと休めて

大福茶を販売して、今年で5年。今や年末恒例といった感じで「もう大福茶の季節か」と風物詩になりつつある。

大福茶は、平安時代に疫病が流行った際に僧侶がお茶に梅干しを入れたものを飲ませて事態がおさまったことから、当時の帝である村上天皇が元旦に服するようになったことが起源だそうだ。のちにそれが時代を経て今に受け継がれている。

梅干しを入れたお茶で疫病が治るって本当に? と思ってしまうけれど、栄養と感染病の知識が不足していた平安時代には流行病が大変な脅威だった。梅干しの塩分やクエン酸は当然のことながら、陰陽師が官職でもあった当時には、天日干しの過程で注がれるお天道様のエネルギーを取り入れるという意味合いがあったのかもしれない。大福茶には、人々が無病息災を心から願う、強い祈りが込められていたのだろう。

時代は変わって現代、年末年始は近頃忘年会も徐々に増えてきたり、クリスマスの洋食中心の文化などで身体への負担は大きくなる。ちょっと胃が疲れてきたな……という頃に正月で和食を食べると、ほっとするのは皆さんも同じではないだろうか。洋食から和食への切り替えで、和食のありがたさを毎年実感するものだ。このタイミングで和食とともに日本茶を飲むと、胃が洗われるような感覚になる。日本で生まれ育った身体に馴染む、味覚を取り戻すスイッチのようなものだ。

平安時代から受け継がれる大福茶は、単なる縁起物ではない。和食への切り替えとともに日本人の味覚を呼び覚まし、大切な人との時間に健康への願いを添える、年末年始ならではの贈り物なのだ。

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