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作り手のことば「窯の蓋を開けるのは、プレゼント箱を開ける瞬間のよう」陶芸家・酒匂ふみさん
2024年03月29日
by 煎茶堂東京編集部
生まれ育った京都の芸術高校、大学で陶芸を学び、今は鹿児島に移り住み作陶する酒匂ふみ(さこう・ふみ)さん。生命力あふれる土の質感やお茶への愛情が伝わる使い心地の器が支持を集めています。
今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、酒匂さんにお話を伺いしました。
酒匂さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。
母が昔から窯元を巡るのが好きで、小さい頃から一緒に鹿児島の窯元へ行っていたことが陶芸に興味をもつきっかけとなりました。
高校から陶芸がしてみたいと思ったのもありましたが、通った高校は鴨川沿いにあり、校舎の床は木造で歩くとキーキーと鳴るほど古く、100年以上経つ姿に一番心を奪われました。この学校に通いたいという想いが陶芸へと続いていたように思います。
作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えてください。
窯の蓋を開けるときが、プレゼントの箱を開ける瞬間のようで好きです。
普段通りに開けることもあれば、落胆することもあるし、ハッとすることもあり、いろんなことを教えてくれます。
酒匂さんの器は、温かみのある表情を持ちながらすっきりと美しい佇まいが印象的ですが、これらのさじ加減で工夫されていることはありますか?
形のバランスや角度、また使うときに重要になってくる重さや口当たりの形を意識して制作しています。
酒匂さんもお茶がお好きとうかがいましたが、今回取り扱う「ゴブレット」「蕎麦猪口」「灰白蓋椀」「灰白花湯呑」「灰白片口」に合わせるなら、それぞれどんな種類のお茶でしょう。
白系の釉薬をかけているので、色味まで楽しんでいただけるお茶に使うのはおすすめです。個人的には蓋椀があるので、中国茶や台湾茶、紅茶を淹れて楽しんでいます。
ただ、“これのために”と限定的にならないように制作しているので、自由に使っていただけると嬉しいです。
酒匂さんにとってお茶の時間はどういう存在ですか?
心をリセットしたりリフレッシュするあたたかな時間です。最近は、茶器を持ってハイキングに行き、景色を見ながら温かいお茶を飲むのにハマっています。
作品を作るときのインプットはありますか?
自然のものが好きなので、山や川、海へ行き木や石、貝などの形や色、模様などを眺めたり触ったりしています。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか?
造形、釉薬、技術のこの3つのバランスが大切で、どれかだけに特化した器では美しいとはいえないと思っています。そこを向上させていくことが、お家で使うときによく登場する器にも繋がっていくような気がします。
今後挑戦してみたいことはありますか?
鹿児島で制作しているので、鹿児島で掘った土を使った制作に興味があります。自分の作るものを自然の中に置いたときに、溶け込むようなものが作れるようになっていきたいです。