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作り手のことば「目指すのは自己主張せず料理に寄り添う器作り」李荘窯 4代目当主・寺内信二さんインタビュー
2023年04月21日
by 煎茶堂東京編集部
1930年に佐賀県有田町で創業した李壮窯は、伝統と品質を守りながら、生活環境を考えた変化も臆さず取り入れて、時代に左右されない器作りを続けています。
今回は、煎茶堂東京でのお取り扱いに伴い、4代目当主である寺内信二(てらうち・しんじ)さんにお話を伺いしました。
寺内さん、今日はよろしくお願いします。早速ですが、器を作ることになったきっかけを教えてください。
有田焼の窯元の長男として生まれたので、幼い頃から器作りが身近にあり、将来を考えたときにも、自然と同じ道を選びました。
寺内さんの曽祖父・寺内信一さんが創業した「李荘工房」が李荘窯の始まりで、窯名は、有田焼の陶祖とされる李参平さんの住居跡に工房を構えたことに由来しているそう。伝統を繋いでいく窯元の当主として、今の有田焼の特長を教えてもらえますか?
有田焼の表現方法は多様にありますが、うちのベースにあるものは、青手の手描きで絵付けした後に透明な釉薬をかけて焼き上げる、染付という技法です。
目指しているのは、強く自己主張する器ではなく、料理に寄り添う器作り。有田焼と言えば華やかな絵付けのイメージも強いですが、あくまで食器は道具として考え、料理を引き立たせることを心がけています。
100年近く続く歴史ある窯元として、時代が変わっても揺らがない器の条件は何だと思いますか?
一番は、使われる道具としての機能を果たしているかどうか。成形や絵付け、釉薬表現など、器が完成するまでに多くの作業がありますが、そのひとつひとつをよく考えて作ってるいかどうかが重要だと思います。
今回取り扱う「T宝瓶」「薄盃(大・小)」「木瓜形手塩皿」「渕反深仙茶」は、機能美が宿るミニマルなデザインが印象的です。どんなきっかけで作品が生まれたのでしょうか。
これらの作品はすべて、美味しいお茶を淹れる道具と、シンプルでしっかりした機能性を持たせた器が欲しいという思いから作られたものです。
同時に、ニュアンスのある色合いやフォルムにもこだわって、魅せる器としての一面も大切にしています。
生粋の作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えてください。
長く器作りを続けても、ろくろに向かう時には無心になれます。ずっと大切にしている瞬間です。
作品を作るときのインプットはありますか?
使用シーンを考えながら作るので、お茶ならお茶の事、お酒ならお酒の事をとことん調べて体験することです。レストランなら実際に食べに行って、シェフの事を十分にリサーチしてからデザインしています。
今後挑戦してみたいことはありますか?
古伊万里の再現を長年のテーマにしています。もっと追求して、いつか現代の伊万里を作りたいですね。