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作り手のことば「宙吹きの“自由度が高いところ”が僕には合っている」ガラス作家・髙橋禎彦さんインタビュー

2022年06月10日

by 神まどか

煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。よく飲みよく食べよく眠る。好きな食べ物は「豆花」。突拍子もなく大きい声で歌うのが好き。朝に弱いけど早起きに憧れます。

手仕事だからこその揺らぎに、胸の奥が熱くなるほど魅力を覚える髙橋禎彦さんのガラス。ひと目見ると、その形の奥に潜むかわいさとコンテンポラリーな雰囲気にどっぷりとハマってしまいます。

今回は、神奈川県相模原市にあるアトリエにお邪魔して、グラスや小鉢などの作り方やガラスについて伺いました。

髙橋さん、今日はお邪魔します。髙橋さんのガラスはどのようにして作られるのでしょうか?

よろしくお願いします。作品にもよるけれど、ガラスの玉を竿の先につけて吹く「宙吹き」という方法で作っています。中世の頃はどこの工房もこの方法で作っていたんだけど、産業革命以降は効率重視だったので、一時期はあまりなくなってしまった手法です。僕はこの方法で作っています。

宙吹きというのは、具体的にどういう手順で作るのでしょうか?

ざっくりとですけど、竿の先に溶かしたガラスをつけて息を吹き込んで、その玉を別な竿に移し替えて穴を拡げる、というような流れです。

ガラスはすぐに冷めてしまうので、工程の合間で頻繁に温める必要があって忙しいですよ。昔は何人かアシスタントに来てもらっていましたが、途切れたタイミングで一人で制作してみたら案外やりやすくて。道具を色々工夫したら効率もあまり変わらないというのが分かって、それからは一人ですべて作っています。

ガラスを温める窯の扉もアシスタントがいる時は手動で開けてもらっていたんですが、自分で自動で開閉するように作って、一人で作業していてもわざわざ開けにいかなくていいように足踏みで開くしかけを作ったりしました。

自作! すごいですね…。道具も色々ありますね。

ガラスを挟んだりする道具や、形を作るのにとても重要な役割をもつ道具など様々です。当たり前なんだけどガラスって形成しているときは熱くて触れないので、指先がわりの道具は沢山あります。

グラスなどを「こういう形がいいな」と想像して作って、さあ出来たぞと手に持ったりしてみても、ちょっとの重さの違いだったりの要素によって感じ方が全く変わって、試作したものを全部ボツにして、また一から作り直すこともあります。

大変ですね…。グラスなど作品の形はどのように決めていっていますか?

近頃は色々な人と仕事をするようになった影響で機能面でのデザインを考えるのが楽しくて、「飲み物だったら美味しく味わうことができるように」と「見る使う目線」で考えたりするんですが、昔は「こういう形が作りたい」と「作る目線」で考えていたかもしれません。

多摩美に入学する時は、レコードとかのジャケットが好きでグラフィックをやりたかったんですが落ちてしまって。立体デザイン科という学科に入ったんです。

でも立体デザイン科の中のプロダクトデザインのコースによくわからずに入ったから「なんかやりたいのと違ったな」と思っていて。でも、そのうちにガラスのコースができて、行ってみたら面白くて今に至ってるんですよ。

そうなんですね! 髙橋さんの作品がもつシルエットの可愛さは、元々グラフィック好きというところからきているんですね。

ありがとうございます。コップも型を使うものと重力に任せて作るものがあって、あまり力を加えないというか、最低限のところしか手を入れないやりかたで作るものもあります。そうすると綺麗な流れ方になったりして面白いんですよ。

あとは、「馬上杯」といって昔「騎馬民族」が馬に乗って旅をしたりするときに馬の上でお酒を飲む用に作られていた杯があるんですが、そうしたものから形を考えることもあります。

あとグラスでも鉢物でも、僕の作品には必ず裏返すと「ポンテ」と呼ばれる跡があるのですが、これが好きで。

吹きガラスでは、吹き竿から別の竿に受け渡す工程があるのですが、その時に接着剤代わりに少量のガラスを使って竿を器の底にくっつけるんです。

最終的にはもちろんこの「ポンテ」も器から外すんですが、必ず「跡」ができます。人によっては無くす処理をする人もいるかもしれないけど、僕はそこをなるべく残したくて。

博物館で展示されてるガラスを見に行く時も「ポンテ」を見るし、僕が好きなドイツのガラスの本にも「ポンテ」だけの写真が載っているページもある。

マニアックですね!

マニアックですよね(笑)。でも好きなんですよ。それを見ることで工程がフラッシュバックする。

「ポンテ跡」
髙橋さんが脚付きグラスを作る工程を動画で見せてもらったのですが、ひとつ作るのに17分ほどかかっていて、かなり時間がかかるものだということに驚きました。

そうですね。さっき説明した時は本当にざっくりとした手順をお伝えしましたが、一つの工程の間にも本当に色々やってます(笑)。形もちょっと整えたら温めて、また形を作って温めて……の繰り返しですね。

ただ、「宙吹き」でしか出ない味もあるとは思うけど、効率重視の製法と比べてどちらが良い悪いとかそういうことは思っていません。

この方法だと型をたくさん作らなくても良いから、好きな時に新しいものを作れて好きな時にやめることができる。自由度が高いところが僕には合っていると思うんです。

アトリエの様子を見ても、のびのびと作られているのが伝わってきます。ありがとうございました!

髙橋さんのガラス作品は煎茶堂東京オンラインにて6月15日(水)11時より販売予定。
こちらのページでご紹介した商品

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