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作り手のことば「同じ重さの素材からでも違うものができる面白さ」銀細工作家・三輪周太郎さんインタビュー
2022年03月03日
by 神まどか
煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。最近の趣味は中国茶と茶道具収集です。
薄く細く打ち立てられた繊細な表情の銀細工。
同じ重さの地金からでもひとつとして同じ形のものができないところが面白いと話す三輪周太郎(みわ・しゅうたろう)さんに、銀細工を始めたきっかけなどを伺いました。
三輪周太郎さんについて
1978年 姫路市生まれ
1996年 日本宝飾クラフト学院基礎コース入学
1997年 大谷宇司氏に師事
1999年 独立後、全国のクラフト展等に出展
2016年 黒川禄郎賞受賞
三輪さん、よろしくお願いします。まず、三輪さんがカトラリーや器を作ることになったきっかけを教えてください。
よろしくお願いします。職人を志すことになったきっかけは、高校生の時に父親が趣味で使っていた彫金の道具を譲ってもらい、そこから銀製のアクセサリーを作り始めたことです。
そしてアクセサリーやカトラリーを製作していく中で、展示をした時に単調になりやすい空間を埋める為に器やプレートなどの制作を始めました。
作品をつくっていて一番気分の上がる瞬間はどんなタイミングですか?
地金(金属を保存しやすいよう作業前に作る塊)が上手くつくれた時ですかね。銀と銅を割金して「スターリングシルバー」と呼ばれるものを作るのですが、溶かしこむ際に温度調節などを怠ると地金を伸ばしている際に割れたりヒビが入ったりします。
これが後の製作に大きな影響を及ぼすので地金製作が上手くいくと気持ちが良いです。
銀と銅の融点がそれぞれ961℃/1084℃と、100℃程の温度差があります。銅の融点に気をとられていると、銀が沸き、それによって気泡が入ってしまいます。
気泡が入るとどうなるかというと、冷え固まった際に中に小さな空洞が出来てしまうんです。これが後にひび割れの原因になる。
鍛造作業していく中で、ヒビ割れは叩けば叩くほど広がり、最後には割れたり、割れなくても傷として残って作品の強度を下げることになる。なので実は最初の地金作りがとても重要なんですよ。
現在活動している姫路市の好きなところを教えてください。
工房がある場所は、海が近く空がひらけているので月が綺麗に見えます。
工業地帯なので昼間に見る水面はお世辞にも良いものではありませんが、月夜の水面は穏やかな光を放って、見ていて気持ちが落ち着きます。
三輪さんが作品を作るときのインプットはありますか?
自然に触れる事と、古い工人の品を見る事です。自然の様子を見ていると、自然淘汰される中で無駄な装飾を削ぎ落とした草木の美しい形を見つける事があります。
複雑なものでも、簡素な形を重ねる事により形作られているのを発見した際には感動するものです。
古く時代を超えて愛される道具は、いつか私のカトラリーが同じ様に何世代にも渡って使い続けて貰える指針を与えてくれてるような気がします。今後は家具や照明など、大きなものも作ってみたいですね。
今回取り扱いしていただく「銀製菓子切り先広四寸12cm」は、実は初めてデザインして作ったものなんです。面で切るので断面が綺麗で、お菓子の切れ味がいいですよ。
「銀製フルーツフォーク10.5cm」は、3.8mm×50mmの角棒を作って、そこからひたすらに叩いて伸ばして、切って磨いて完成です。
「真鍮製丸皿」を作るときに拘っているのは、縁の立ち上がりと底面。満月のように見えたら良いなと思いながら作っています。
制作する際は、出来るだけ機械に頼らずに“手仕事”を心がけています。
カトラリーは一点一点鍛造で製作していて、作り始めの重さは同じですが、叩く調子やそぎ落とす具合により同じものはできません。それを面白いと思える気持ちを忘れないように製作しています。