わたしの茶道具「お茶の時間を自分らしい時間にしてくれる道具たち」お菓子とコーヒーの店「tsuzuru」オーナー/城 一雄さん

2021年10月21日

by 神まどか

煎茶堂東京・東京茶寮/デザイナー 青森県生まれ。よく飲みよく食べよく眠る。好きな食べ物は「豆花」。突拍子もなく大きい声で歌うのが好き。朝に弱いけど早起きに憧れます。

お茶のある暮らしを楽しむうちについ増えてしまう茶道具たち。でもお気に入りの逸品があると、お茶はもっと楽しくなる。センスのよいあの人が、そんな愉悦にどっぷりつかってしまった茶道具をご紹介。

モノとの出会いは運命と言っても過言ではありません。今回は、奈良県でお菓子とコーヒーの店「tsuzuru」を営む城一雄さんが、アメリカのマーケットで出会った古物について教えてくれました。

お茶の時間を自分らしい時間にしてくれる道具たち

奈良でお店を始めて5年が経ちました。妻がお菓子づくりをしていて、僕はコーヒー担当。コーヒーでもお茶の時間でも使っている道具は、アメリカのマーケットで購入した古物です。

前職で洋服や家具などの販売をしていた当時、北欧家具のデザインの由来を調べていました。

それから、アメリカのシェーカー教徒の人々が作った家具を参考に作ったボーゲ・モーエンセンやハンス・J・ウェグナーなどが好きになり、次第にシェーカー教徒の生活文化に興味を持ち始めることに。

日本でシェーカー家具の研究をされた藤門弘さんの写真集やエッセイを読み、シンプルで今見ても古さを感じない美しさに感銘を受けたのを覚えています。

その後、アメリカに行ったときにシェーカーの人々が暮らした集落をいくつか見学しました。そこでシェーカーの人々が作ったものを直接見る事ができたのですが、それらは研ぎ澄まされながらも、素朴な美しさが宿っていたのです。

そんな道中で出会った大きなフリーマケット。1日では到底見切れないほど、それはそれは壮大なスケールの会場でした。ワクワクしながらお店のはしごをしていくと、華やかな時代のアメリカンビンテージが雑多に並べられた中から、自分の記憶に引っかかったものが幾つか見つかりました。

写真集を穴が開くほど見ていたので、シェーカーデザインの特徴が頭に焼き付いていたんでしょうね。自分の琴線に触れるものを見つける楽しさは、何にも変えられません。

それが今、コーヒーのメジャースプーンとして使っている木製スコップと、細々したコーヒーの道具を納めるオーバルキャリアです。

珈琲用にと思って買った訳では無かったのですが、木製スコップはコーヒー豆の計量に使ってみると手に馴染み、とてもしっくりきました。最初から古物特有の味が出過ぎていなかったこともあり、使い込んでいくうちにコーヒーオイルが染み込んで、買った当時よりも愛着が湧いています。

オーバルキャリアは、コーヒーの時間に使う道具をまとめて入れているので、出し入れが便利なだけでなく友人宅など外で珈琲を淹れるときに持って行くのにも重宝します。

古物は一期一会の楽しみがあるので、出会った時の高揚感を大切にして購入して後から用途を考える…ということもあります。こういった道具はなかなか一気に揃わないですが、気に入った道具を使うことはお茶の時間を自分らしい時間にしてくれるのです。

そして、今もまだ、お気に入りの道具を探す旅は続いています。

お菓子とコーヒーの店「tsuzuru」
城 一雄さん

奈良県・高畑町にお菓子とコーヒーのお店「tsuzuru」を夫婦でオープン。2021年10月現在、店舗での営業は不定期のイベント開催時のみ。オンラインでも購入できる焼菓子のセットやコーヒー豆が入荷の度に人気を集めている。Instagram: @tsuzuru

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