急須のお手入れ方法と茶こしタイプ別チェックポイント
2021年01月29日
お茶を楽しむ上で欠かせない道具である急須。お茶を淹れた後の急須をお手入れする際、他の食器と同じように洗って問題ないのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。結論から言うと、陶磁器でできた急須は洗剤で洗わない方がいいと言われています。
そこで今回は、陶磁器製の急須について普段のお手入れ方法を解説。加えて、網・茶こしのタイプ別に気をつけたい汚れ、茶渋汚れがひどい時に効果的なお手入れ方法をご紹介していきます。
なお、お手入れのしやすい急須が欲しいという人は、独自の極厚樹脂でできた透明急須がおすすめです。透明急須のお手入れ方法はこちらの記事をご覧ください。
普段のお手入れは水洗いと自然乾燥が基本
お茶をゆっくり楽しんだ後は、使った急須を必ずお手入れします。茶殻を放置してしまうと、急須にへばりついて落ちにくくなってしまうだけでなく、しつこい茶渋の原因になってしまうからです。
一般的に急須を洗う際には洗剤を使うのは良くないとされます。特に陶器の急須は表面に小さな穴が開いており、洗剤を使ってしまうと成分や香りが急須に移ってしまい、お茶の味や香りに影響を与えてしまうと言われているのです。
そもそも急須はお茶を淹れるのに使うだけなので、毎日洗剤で洗わなければいけないほど汚れていません。普段のお手入れは、水やお湯で洗い流すだけでOK。網や茶こしに付着している茶葉も、水やお湯でしっかり流しましょう。
何より大切なのは、洗い流した後に急須を十分乾燥させること。急須は独特な形状をしているので、内部に水が溜まりやすくなっています。こうした水を放置すると、お茶の味や香りに影響が出るだけでなく、雑菌やカビが繁殖するリスクもあるので要注意。
洗い流した後は、急須本体とフタ・網・茶こし(外せるタイプのもののみ)を別々に乾燥します。注ぎ口や底の部分を乾きやすくするため、本体は裏返しにして干すのがおすすめです。
茶葉がこびりついている時は歯ブラシ
水やお湯で洗い流しても、茶こしに茶葉がこびりついて落ちないこともありますよね。そんな時は、使っていない歯ブラシで優しくこすると簡単に取れます。ポイントは、柔らかめの歯ブラシを使うこと。
硬い歯ブラシやタワシなどでこすってしまうと、茶こしを傷つけてしまう可能性があります。あくまでも優しく丁寧に扱うようにしましょう。
また、濡れている状態でこすると茶葉が崩れてしまい、ますます取りにくくなってしまうこともあります。どうしても取れないようなら無理に落とそうとせず、乾燥させてから乾いた布巾などで取り除くという方法も。乾かすことで、こびりついていた茶葉も意外と簡単に剥がれるのです。
注ぎ口の汚れやぬめりが気になる時は、市販の急須用ブラシで掃除するのもおすすめ。細長いブラシなので、注ぎ口の中までこすることができます。
網・茶こしのタイプ別 汚れのチェックポイント
普段のお手入れは水やお湯で洗い流すだけで問題ありませんが、長く使っていると茶渋汚れが気になってくるもの。急須の網・茶こしにはタイプがあり、形状によって汚れのつきやすさも異なります。ここでは、タイプ別に汚れのチェックポイントを見ていきましょう。
茶葉が目詰まりしやすい「ささめ」
急須の注ぎ口部分に直接穴が開いているタイプの茶こしを「ささめ」と呼びます。ささめは比較的網目が大きいので、茶こし部分に目詰まりしている茶葉をしっかり落とすのがポイントです。
網の裏に汚れが溜まりやすい「帯網」「平網」「底網」
急須の周囲にぐるっとステンレス製の網がついているタイプを「帯網」、注ぎ口の部分を覆うように網がついているタイプを「平網」、注ぎ口〜底部分を覆うように網がついているタイプを「底網」と呼びます。
これらは網目が細かいので目詰まりは起こしにくいものの、小さな茶葉や茎が網目に入り込んでしまうと洗い流すのが大変。網の裏の汚れも気になるところですが、素人だと網を取り外すのも簡単ではありません。
お手入れがしやすく人気の「かご網」
急須から取り外して洗うことができるのが「かご網」です。透明急須もこのタイプですね。本体から取り外して水やお湯で洗い流せばOKですが、他の網と同様、使い続けていると茶渋汚れが目立ってきます。
茶渋汚れがひどい時のお手入れ方法
全体的に茶渋汚れがひどい時には、漂白剤や重曹でつけ置きする方法が効果的です。帯網・平網・底網で網の裏の汚れが気になる時にも有効。どちらの溶液も、手につくと肌荒れの原因になりますので、急須を取り出す際にはゴム手袋をつけて作業するといいでしょう。
漂白剤でつけ置きする方法
1.ボウルや鍋に急須がつかる量の水を用意する
2.規定量の漂白剤を混ぜ、急須・ふた・茶こしを浸す
3.そのまま30分ほど放置する(汚れがひどい時は時間を長めに)
4.取り出したら柔らかい布や歯ブラシで軽く洗う
5.水やお湯で漂白剤を十分に洗い流す
6.しっかりと乾燥する
重曹でつけ置きする方法
1.急須をつけ置きできる大きさの鍋でお湯を沸かす
2.沸騰したら火を止め、お湯1リットルにつき重曹大さじ2の割合で混ぜる
3.急須・ふた・茶こしを浸す
4.お湯が冷めるまで30分ほど放置する
5.取り出したら柔らかい布や歯ブラシで軽く洗う
6.水やお湯で重曹溶液を十分に洗い流す
7.しっかりと乾燥する
日本茶文化に流れる道具を大切にする精神
美味しいお茶を楽しむためには、もちろん茶葉や淹れかたは大切ですが、道具をしっかりとお手入れしておくのも大切なこと。茶道の世界では、古くより物を大切にする精神が受け継がれています。
いつもお茶をおいしく仕上げてくれる急須に感謝しつつ、今回ご紹介したお手入れを日々実践して、長く愛用し続けていきたいものですね。