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見る人の心に寄り添う余白のアート。イラストレーター・坂内拓さんインタビュー

2021年12月17日

by 煎茶堂東京編集部

コラージュ作品をメインに活動するイラストレーター、坂内拓さん。煎茶堂東京では、新たな包装紙のデザインを坂内さんに書き下ろしていただきました。

余白が印象的な坂内さんの作品は、見る人によって見え方が変わる「想像の余地」を残しているのが特徴。今回は坂内さんへのインタビューを通じて、その魅力に迫っていきます。

坂内拓さんについて

東京生まれのイラストレーター。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。コラージュ作品をメインに、広告、書籍や雑誌、音楽分野のアートワークなど幅広く活動中。

これまでの経歴や作風の原点について教えていただけますか。

若い頃イギリスのミュージックシーンが好きで、その中でもザ・スミス(1980年代に活躍したロックバンド)をよく聴いていました。
ボーカルのモリッシーが「早く飛び出したいような街」と語ったマンチェスターや好きなバンドが育ったグラスゴーの街をこの目で見てみたくて、大学卒業後にイギリスへ行きました。

ロンドンから列車を乗り継いで実際にマンチェスターに降り立ってみると薄暗い工業地帯が目の前にあり、工場の煙突から流れる煙や、街の錆びれた雰囲気が強く心に残っています。そのとき見た風景が作風にかなり影響しているのかもしれません。

向こうの若者が「これしかないから着ている」といった感じで着古した服を着こなす様子も印象的で、作品中の人物に大きく影響しているんじゃないかと思います。

帰国後しばらくは絵コンテ会社で働いていました。当時はまだパソコンを当たり前のように使う環境もなかったので、みんな手描きで1枚1枚仕上げていたんです。そこで初めてプロの仕事を見た感じがして、絵の構成や見せ方、描き方などとても影響を受けました。特に1枚の絵をどこまでのレベルに持っていけば仕事として成立するのかの感覚は、ここで学んだ気がします。

ただ、絵コンテは表に出ることなく闇に消えていってしまうので、表に出る絵を描きたいと思ってイラストレーターとして独立しました。

イラストレーターとして活動し始めた当初は、今と作風が違ったのですか?

むしろ自分の作風がなかったというか。好きな絵はあっても「こういうふうにしてくれ」と言われれば、その通りに描いてしまっていたんですね。独立してしばらくはカンプライターとしての感覚が抜けなくて、どんな絵のタッチの仕事でも受けていたのでキツかったです。

「これじゃダメだ」と思って、自分なりのタッチを探し始めました。

そんな中、イラストレーターの峰岸達さんが主催している画塾(通称MJイラストレーションズ)を知り通い始めました。5年間イラストを学んでいくなかで、たくさんのイラストレーターがそれぞれに作風をちゃんと持っているというのを感じて。そこから影響を受けて、イラストレーターとしてのベースができました。

影響を受けたイラストレーターは誰ですか?

峰岸達さんを始め、和田誠さん、安西水丸さんなど影響を受けたイラストレーターは沢山いますが、方向性を決めたのはアレックス・カッツ(Alex Katz)でしょうか。彼が若い頃に描いた切り絵の作品を観たとき「この表現で現代の日常を描きたい」という思いを持ったのが、今の作風に繋がっていると思います。

色に関して、デジタルとアナログの差は何か感じていますか?

色の違いはそんなに意識していないですが、描くものの雰囲気、作品が何に使われるのかによって、デジタルとアナログを使い分けているかもしれません。

今回は「お茶」というテーマから、最初は素朴な表現が出せる切り絵がいいかなと思っていました。でも
実際に制作する際に煎茶堂東京さんのお茶を飲ませていただいた時、お茶のスッキリとした濁らない感じを表現したほうがいいと思ったので、最終的にはデジタルの方向で仕上げました。

今回、お茶の包装紙を描いていただきましたが、煎茶堂東京に対してどのようなイメージを抱きましたか?

今まで抱いていたお茶のイメージでは全然なかったです。パッケージや商品の見せ方、包装の細部やビジュアルにもこだわっている印象を受けましたし、実際に飲んでみた味も含めて「今のお茶」だなと感じました。

お茶の包装紙って何だろうと不思議に思いませんでしたか?

最初にお話をいただいたとき、純粋にすごく面白そうだなと思いました。実際に商品を送ってもらったときに包装紙や茶缶の包み方や届け方までしっかりデザインされていたのでとても素敵だなと感じました。

包装紙というとロゴが敷き詰められていたり、どの面から見ても同じだったりというのが一般的ですが、坂内さんに描いていただいた包装紙は全体を開いたとき1枚の絵になる感覚が面白いと感じます。

僕の作品は一枚絵のような作品が多く、一般的なテキスタイルや包装紙などの繰り返しで構成される媒体に合うのか、ご依頼を受けたときは明確なイメージがもてなくて少し不安だったんです。

でも、逆に包装を開いて全体を見たくなる物語みたいな包装紙を作れるんじゃないか、どの面を見ても同じじゃない一枚絵の包装紙があっても面白いんじゃないか、と自分の絵の使われ方に新たな可能性を感じました。

坂内さんの作品は大きな余白が特徴的ですが、構図として意識していることや作り方のポイントはありますか?

大きな余白は割と意識して作っています。
作品づくりの最初のステップとして、色面を上下に分けて風景を何となくイメージすることが多いんです。

全てを削ぎ落とした状態から始めて、あまり要素を入れないような構成をしていく描き方が多いですね。最後は作品を見た人の感覚に委ねたいというのがあるんです。作品を作るときは、あまり説明しすぎないようにしています。

人物を描くときは「こんな感じの人いるな」とか「こういう人はここにいそうだな」とか、想像して描くことが多いですが、そこにいる人物の気持ちや態度はフラットな状態を描いています。感情が出ていないのでもしかしたら静かな印象をうけるかもしれません。

描かれている人物があまりに元気だと見る側に対するメッセージが強くなりがちですけど、坂内さんの作品は人物にしても国にしてもよく分からないからこそ、いろいろなものに当てはまる印象を受けます。

前に作品を見た方から「見る時の状態によって全然違う景色に見える」と言われたことがあって、見ている人の心情や感性に全部任せているというのを感じられたのは嬉しかったです。元気を与えにいくというよりもなくなった時に足す、元気がない状態も肯定するというようなスタイルですかね。

坂内さんはどんな幼少期を過ごされていましたか?

子どもの頃から、絵は好きでした。当時流行ったマンガのキャラクターを毎日描いて友達と見せ合ってましたけど、クラスにとても上手な子がいて。彼はその頃から、力が抜けていてタッチが柔らかかったんですよね。

彼のタッチはすごいなと思っていました。そんな風に、周りからの刺激を受けながら絵を描くのはずっと好きでしたね。

多摩美に入って、周りから刺激を受けたことはありましたか?

今思っても多摩美は振り切れた人ばかりでした(笑)。

作品づくりにのめり込む気持ちやこだわりという点では、非常に大きな影響を受けましたね。完成に近づいても「もう一歩つきつめたい」という姿勢は、今の自分の中で大きなウェイトを占める価値観を学んだような気がします。

今後やってみたい仕事はありますか?

はじめの頃はイラストレーションで食べていくことが想像できなくて、広告や書籍などの仕事には縁がないと思ってたんです。

でも最近はだんだんとやりたかった仕事をいただけるようになって、お店とか地方のイベントとか、小さな単位で一緒に作っていくようなものにも楽しみを感じています。これからもそういった人とのつながりを感じられる仕事を増やせていけたらなと思っています。

だから、今回お話をいただけてとても良かったです。気持ちの上でもタイミング的にもまた新しい挑戦ができる事に感謝しています。

直近の個展や活動などがあれば、ぜひ教えてください。

2022年3月29日(火)から4月10日(日)まで、高円寺のCLOUDSというアートギャラリー兼コーヒーショップで展示をします。

前にVERTEREというクラフトビールのラベルを描かせていただいたことがあるんですけど、その展示に合わせてVERTEREのビールをCLOUDSで飲めたら繋がりが広がって楽しいなと思っています。

最後に、コラージュの良さとは何ですか?

デジタルに比べて質感がすごく出ると思います。重ねることで立体感が出たり、境界線をはっきり表現できたりするんですよね。

切り方でいろいろ変化を出せますし、カッターを使うので自分の手癖以外の表現が出るのも面白いところです。あと、レイヤーを重ねて、自分が見てほしいポイントをコントロールできるのがいいですね。

離れて見ると色がなじんで1枚の絵として見えるんだけど、近づくと細部がはっきり見えて全然違う見え方になるんです。なので、ぜひ実物を見に来てください。


・坂内拓さん 公式サイト
 https://www.bannaitaku.jp/

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