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深蒸し茶とはどんなお茶?特徴から誕生の歴史・淹れ方まで総まとめ
2020年09月01日
by 煎茶堂東京編集部
日本茶を選ぶ際、深蒸し茶という言葉を目にしたことがありませんか。煎茶堂東京で扱うお茶の表示でも、産地や農園の名称などとともに「蒸し」という項目があり、「浅蒸し・中蒸し・深蒸し」のいずれかで案内しています。言葉としては知っていても、実際に違いを理解している人は少ないかもしれません。
そこで今回は、深蒸し茶とはどのような特徴を持つ日本茶なのかを徹底解説。おすすめの淹れ方もご紹介していきます。
深蒸し茶とは蒸し時間を長くした煎茶
それではさっそく、深蒸し茶とはどのようなお茶なのか見ていきましょう。深蒸し茶を簡単に言い表すならば、その名の通り「深く蒸したお茶」。要するに蒸し時間を長くした煎茶のことです。
煎茶を製造するにあたっては、最初に摘み採った茶葉を高温で蒸す蒸熱(じょうねつ)と呼ばれる工程が行われます。蒸すことによって茶葉の酸化を止めるとともに、生葉が持つ青臭さを抑えるのです。蒸熱を経て柔らかくなった茶葉を、何段階かに分けて揉みながら乾燥させていくことで、私たちが普段飲んでいる煎茶が完成します。
通常の煎茶は蒸し時間が30〜40秒程度であるのに対し、それよりも長めの1分以上蒸したものが深蒸し煎茶。この後解説していく通り、蒸し時間を長くすることによってさまざまなメリットが生まれるのです。
深蒸し茶は緑が濃くまろやかな味わいのお茶
蒸し時間を長くした深蒸し茶は、浅蒸しの煎茶に比べ、一般的に次のような特徴があるとされています。
・渋味が少なくてまろやか、コクが深い
・水色(すいしょく)は濃い緑色
・香りはあまり強くない
・茶葉が崩れていて細かい
長く蒸すことで茶葉の持つ渋味や新鮮な香りが抑えられる一方、まろやかでコクのあるお茶に仕上がっていきます。また、細胞が壊されることで茶葉が脆くなり、お茶を淹れた際に粉末状の茶葉が浸出。結果として、お茶の色が濁った濃い緑色になるのです。
こちらの茶葉は、深蒸し茶の特徴であるコクの深さを存分に味わうことができます。
ちなみに、深蒸し茶特有の茶葉の脆さは、栄養面で嬉しい効果をもたらすとも言われています。水に溶けにくい一部の栄養成分は、お茶を飲むだけでは十分に摂取できません。その点、深蒸し茶では茶葉自体が粉状になって溶け出すため、水に溶けない栄養成分も摂取できる可能性があるのです。
静岡県牧之原・掛川生まれの深蒸し茶
Photo by KANEJU FARM
ところで、深蒸し茶はどのようにして誕生したのでしょうか。背景には、お茶の一大産地である静岡県・牧之原台地の茶農家が抱えていた、ある悩みがあったと言われています。
今ではお茶どころとして名高い牧之原。しかし、戦後間もない頃までは、牧之原産のお茶の評価は決して高くありませんでした。古くから朝霧の出る山間の川沿いで作られるお茶が良質とされており、比較的温暖な平地である牧之原で作られるお茶は、苦味や渋味が強く一般受けしなかったのです。
これには、日照時間の長さが関係しています。朝霧の出る山間に比べ、牧之原は日照時間が長いため、茶葉が生長しやすい環境です。
一見するとお茶作りに適しているように感じますが、茶葉は日光を浴びるほど分厚く硬くなります。よって、通常の蒸し時間では十分に蒸すことができず、青臭さが残ってしまうのです。さらに、日光を浴びることでカテキンが多く作られるため苦味・渋味が強まります。
カテキンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
高度経済成長が始まりお茶の需要が高まると、牧之原の茶農家は「どうにかして弱みを克服し、多くの人にお茶を飲んでもらいたい」と考えました。そうして行き着いたのが、蒸し時間を長くして苦味・渋味を軽減する深蒸し茶の製法だったと言われているのです。
このため、現在でも静岡県で生産される煎茶は深蒸し茶が中心。特に牧之原や掛川といった地域は、深蒸し茶の主産地として広く知られています。
深蒸し茶をおいしく楽しめる淹れ方とは
最後に、深蒸し茶をおいしく楽しむための淹れ方についてご紹介しましょう。
先ほどお話しした通り、深蒸し茶は茶葉の細かさが特徴。お茶は、茶葉が細かいほど抽出されやすい傾向にあるため、深蒸し煎茶は短めの抽出時間でも十分においしく淹れられます。逆に抽出時間を長くしすぎると、成分が余分に抽出されてしまうことがあるので要注意です。
初めて深蒸し茶を淹れるという方におすすめしたいのが、こちらの基本レシピ。煎茶の淹れ方とありますが、深蒸し茶でも同様においしく淹れることができます。
蒸しに注目すればさらに広がる日本茶の世界
お茶を選ぶにあたって、産地や品種を気にすることはあっても、蒸し度合いまで気にかける人は少ないかもしれません。しかし、今回ご紹介したように、蒸し時間を長くするだけで全く異なる特徴を持った日本茶になるのです。同じ品種でも、深蒸し茶にすることで印象が変わってきます。
これからは、蒸し度合いがどれくらいかという視点を持って茶葉を見てみると、さらに日本茶への理解が深まりますよ。