
発酵ぐらしは福を呼ぶ!?発酵研究家・おのみささんの発酵暮らしとお手軽発酵レシピ
2022年02月23日

by 煎茶堂東京編集部
煎茶堂東京が発行している、お茶の定期便「TOKYO TEA JOURNAL」VOL.34では、発酵の奥深さを特集しました。
おいしくて免疫力があがる「発酵食」は、手作りをする人が増えている一方、「大変そう」「失敗しそうで怖い」という人も多いはず。「発酵食づくりはうれしいことがたくさん!」と語る発酵料理研究家のおのみささんに、発酵が身近にある暮らしについてお話を聞いてみました。
教えてくれたのは…おのみさ さん
発酵料理研究家、イラストレーター。2010年に『からだに「いいこと」たくさん 麹のレシピ』(池田書店)を発行し、塩麹ブームの火付け役に。現在は麹だけにとどまらず、さまざまな菌に愛を注ぎつつ、発酵食づくりをはじめとした発酵ライフにまい進中。昨年末、簡単で役立つ発酵レシピが満載の『発酵来福レシピ 90のおいしい料理と暮らしの知恵』(山と渓谷社)を刊行。
菌は“ペット”みたいな存在
私にとって発酵の魅力は何かというと、まず“菌が生きている”と感じられることなのかなと思います。発酵にハマるきっかけとなったのが、自宅で味噌を仕込んでみたこと。
一般的に味噌づくりは1月下旬〜2月の寒い時期に行うものですが、たまたま仕込んだのが真夏だったんです。気温が高すぎて袋がパンパンに膨らんで驚いたのですが、麹の働きだと気づいて、“ああ、呼吸して、生きているんだな”って。それ以来、今に至るまで菌とはペットのような感覚で付き合っています。
しかも菌ががんばってくれるおかげで、風味がよくなって食べてもおいしいし、体にもいい。実際、発酵にハマるまではイラストやデザインの仕事をしつつ、不摂生を絵に描いたような生活でしたが、発酵生活になってからは体調も気持ちも上向きになりました。
今もお酒は大好きですが、炭酸で割ったりんご酢など、二日酔いに効く発酵ドリンクという心強い味方もいます(笑)
菌にいい環境を整えてあげる
発酵食づくりに挑戦したいけど失敗しそうで怖いという人にまずおすすめなのが塩麹ですね。肉や魚、卵、野菜、なんでも漬けるだけで味に深みが出ますから。
でも、「乳酸菌は空気に触れさせなければOK」「麹は塩分が高ければ大丈夫」など、その菌にとってある程度の環境を整えてあげれば、そんなに失敗はしません。
肉や魚は少しハードルが高いかもしれませんが、まずは半端に余った野菜を漬けてみるなど、手軽なところからトライしてみるといいと思います。
発酵は「楽しくて、おいしい」の連鎖い
100円のキャベツを買って、塩漬けにしてザワークラウトにすると、気泡が出てブクブクとしてきます。「菌ががんばってるなあ」と思うと、見ているだけで楽しいし、食べればおいしい。
体にもよくて、友達におすそ分けしても喜ばれる。発酵は私にとって、少しずついいことの連鎖を起こして、人生を「楽しく、おいしく」してくれる、そんな存在なんです。
お手軽発酵レシピ
おのさんが「発酵初心者におすすめ」という2つのレシピをご紹介。 お手軽だけど、しっかり発酵の「楽しくて、おいしい」が味わえます。
ホエー漬け
ヨーグルトのホエー(上澄み液)を使ったお漬物。漬けてすぐは野菜のフレッシュさとさわやかな酸味が感じられますが、一週間前後漬けるとぬかの古漬けのような味わいに。
〈 材料 〉
ホエー…100㎖
塩…小さじ1
野菜…100g
〈 作り方 〉
①漬物容器や、ジッパー付き保存袋などにホエーと塩を入れてよく混ぜる。
②ひと口大に切った野菜を入れて空気をしっかり抜き、冷蔵庫で30分以上漬ければ完成!
※唐辛子やにんにく、ディル、ホールのコリアンダー、花椒、八角、しょうがなど、お好みの香辛料やハーブ、スパイスを加えても◎
簡単みそ
本格的なみそを作るのは大変でも、ジッパー付き保存袋で作れば、簡単で場所も取りません。夏場は2〜3か月、冬場は3〜4か月で食べられるようになります。
〈 材料 〉
水煮大豆(食塩無添加のもの)…250g
麹…100g
塩…50g
大豆の煮汁…大さじ1〜2ぐらい
〈 作り方 〉
①水煮大豆と水200〜300㎖(分量外)を鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして5〜10分茹でる。大豆をザルにあけ(煮汁は捨てない)、丈夫なジッパー付き保存袋に入れてからめん棒などで叩いて潰す(フードプロセッサーでもOK)。
②大きめのボウルに麹と塩を入れ、の温度が60℃以下なのを確認してから同じジッパー付き保存袋に入れ、手で5分ほど揉み込む。
③でとっておいた煮汁を加え(充分に柔らかいようなら入れなくてもよい)、さらに5分ぐらい手で揉む。
④めん棒などを使って空気が入らないように平らにならし、冷暗所に保存する。
詳しくは『発酵来福レシピ 90のおいしい料理と暮らしの知恵』(山と渓谷社)をご覧ください。
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