植物も人間と同じ?10年以上寄り添える盆栽の基本の育て方とお手入れ方法
2020年09月11日
とっつきにくい印象を持たれやすい盆栽ですが、現代のスタイルに置き換えられた小さな盆栽も数多く存在します。小さい器から控えめに伸びる枝と葉や実や花は、繊細なものから小さくとも迫力を感じるものまで多種多様。せっかく自宅にお迎えするなら、長い間寄り添いたいものです。その佇まいの美しさを保つために大切なのは、正しい育て方と手入れ方法を知り実践すること。
今回は、初心者にもわかりやすい育て方やお手入れの仕方を、山形で植物の品種を種から育て、器も自社で制作する「石木花」の後藤卓也さんに伺いました。
教えてくれたのは…石木花・後藤卓也さん
盆栽という日本の自然文化、伝統文化を新しい視点でとらえなおし、受け継いでいくことを目指している。
石木花公式HP:https://www.sekibokka.jp/
基本の育て方&メンテナンス
盆栽のお手入れと聞くと難しそうに感じるけれど、和物はそもそも日本の風土に合った植物なので、特別なことはしなくても大丈夫。お手入れを続けていれば、何十年と持ってくれることもあります。
日々のお手入れについて
小さい鉢は水やりの際にムラが出やすいので、鉢全体を水に浸けます。気泡が出なくなればOK。夏は1日に1回、冬は2〜3日に1回が基本。水をあげるときは、ハンドクリームがついていたり容器に洗剤が残っていたりすると植物や苔の致命傷になってしまうので注意します。また、水道水のカルキで苔が変色することがあるので、汲み置きしてカルキ抜きをするのがおすすめ。
置き場所は基本的に日当たりがよく、風通しの良いところを好みます。窓辺や明るい室内で柔らかな風に当てましょう。日の当たらない室内に置く場合は、週に2〜3度の日光浴を。エアコンなどの風に直接当たると乾燥しやすくなるので注意。植物も人と同じ感覚を持っています。「外の空気が吸いたいな」「日の光を浴びたいな」と感じているかもしれないな、と思ったら、動かしてあげるといいでしょう。肥料は種類によって欲しがる量が変わるため、購入時に聞いてみるのがおすすめです。
剪定
伸びてきた枝は、そのままにして大きく育てるのもOKですが、お好みで剪定して、形を楽しむこともできます。他の枝と交差しているなど、樹の形を乱す「忌み枝」を切ったり、新芽を摘んで枝を増やす「芽摘み」や、葉を密にするための「葉刈り」をします。
植え替え
大きく育てたい場合には、サイズに合わせて大きな鉢へと植え替えをします。植え替えをしない場合は、3年に一度は根切りをするのがおすすめです。
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https://cdn.shopify.com/s/files/1/0119/8250/3994/files/IMG_4802_1080650_medium.jpg?v=1598950258 | 2.新しい鉢にどう植栽するか、鉢映りを確認しながら姿勢を決める。 |
https://cdn.shopify.com/s/files/1/0119/8250/3994/files/IMG_4806_1080650_a1ee2bb6-4044-4db7-b534-e7cc3d7fda53_medium.jpg?v=1598950276 | 3.鉢底に水抜きネットを敷き、土を盛って株を入れてすき間に土を詰める。 |
https://cdn.shopify.com/s/files/1/0119/8250/3994/files/IMG_4824_1080650_medium.jpg?v=1598950291 | 4.たっぷりと水を浸したら半日陰の涼しい場所に1週間置き、苔を植栽する。 |
苔の張り替え
枝葉と同じように、苔も成長して伸びていきます。こんもりと成長しすぎたり、また逆に傷んでしまった場合には、張り替えをしてみましょう。張り替え用の苔を割って木の幹をはさむように張り付け、縁の部分をきれいに収めるようにすれば完成です。
毎日お世話をしていると、すぐに愛着が芽生えていくのがわかります。石木花の後藤さんいわく、「日々植物たちと会話していると、どうして欲しいかわかってくる」のだとか。同じ領域にたどり着くまではかなり年月と経験と知識が必要ですが、目の前の盆栽と通じ合っていくように育てていけたらいいですね。