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作り手のことば「土の表情や形態が自分の内面と重なるところが面白い」陶芸家・秀野真希さんインタビュー
2024年04月19日
by 煎茶堂東京編集部
ご家族で移住した京都府南丹市の山間部で、精力的に制作活動を行う陶芸家の秀野真希さん。2024年8月には、長野県御代田町のSAMNICONにて、家具職人である旦那様とともに個展の開催を予定されています。
今回、煎茶堂東京で秀野さんの作品をお取り扱いするにあたり、秀野さんのお人柄、作品や陶芸に対する想いなどを伺いました。
秀野真希さん、今回はよろしくお願いします。はじめに、簡単なプロフィールを教えていただけますか。
よろしくお願いします。埼玉県出身で多摩美術大学を卒業後、SyuRoというプロダクトブランド兼ショップで働いていました。家具職人である夫と結婚したのち、2018年11月に京都府南丹市の山間部にある古民家へ家族で移住。現在は、そこで制作活動を行っています。
秀野さんが器を作りはじめたきっかけは何だったんですか。
多摩美術大学時代は、もともとアートやインスタレーション作品を作っていました。その反動なのか、卒業後は日常使いのプロダクトに自然と目が行くようになって。
実は、私が幼い頃から母が陶芸をしていたんです。SyuRoで働きながら、身近にあった陶芸の技術を母から本格的に教わりはじめたっていうのがきっかけですね。
作品を作る工程の中で、好きな工程と理由を教えていただけますか。
どんな形にしようか考えるとき、気持ち良くろくろを挽けるとき、あとは窯出しをするときですね。
作品を作るにあたってのインプットは何かありますか。
裏山で過ごすことですかね。ほかには音楽を聴いたり、スケートボーダーの写真集を見たり、異文化や少数民族の文化に触れたりなど、手仕事とはまったく別の庭から影響を受けることが多いです。あとは、子どもが何気なく発した言葉や絵に、ハッとさせられることも多いんですよ。
シンプルな器であっても、そういった日々受ける影響が少なからず取り込まれるからこそ、自分らしさが垣間見える器になっているんだと思います。
器を作る上で一番大事なことは何だと思いますか。
決め切らないことです。
オブジェ制作を主とする中で、器作りは息抜きや集中力を高める効果があると伺いました。合間で行う器作りが制作するオブジェに与える影響や、器作りをしていて良かったと感じることは何かありますか。
オブジェは想像世界から生まれるものであるのに対して、器は現実世界のものという意識で制作しています。
2つの世界を行き来してバランスを取ることが「自分の軸が今どこにあるのか」「これからどこに向かうのか」といった、自分と世界の位置関係を知る役割を果たしているのかなと感じています。
日常でも、自作の器や好きな作家さんの生活道具を使っていて。制作に忙しいときでも、そういったもので食事をすると、とても満たされた気持ちになるんです。
京都府南丹市への移住が作品づくりや秀野さんの心情にもたらした効果、移住によってもたらされた作品の変化などがあれば教えてください。
自然界の営みのすばらしさ、生死が日々繰り返される光景を目の当たりにすることで、対照的な歩みをしている人間の愚かさのようなものが鮮明になってきました。
自然の多い場所での暮らしを通して、自然の摂理や循環に反する人間の愚かさや、結局それに加担してしまっている自分たちに対するやるせなさを感じる機会が増えて。そういったことが、私たちの死生観やモノの捉え方に影響したのでしょうね。
制作活動への影響というと、作品を作り出すエネルギーが、以前よりも自分の内面に向かうようになったと感じます。
作品づくりは自分の思考との対話というような側面もあります。制作の過程で偶然生まれた土の表情や形態が、人間の営みをどこか愚かなものとして捉えている自分の内面と重なることがあり、客観的に見ても面白いと思いますね。
とはいえ、私も一人の人間であり、壮大な営みを紡ぐ自然界と共存していかなくてはなりません。
制作活動は自分の内面と向き合い、表出する営みであるとともに、自然のなかに生きる人間として果たすべき役割を、暮らしの中で実践するための行いとなっているようにも感じます。
家具職人である旦那様とのコラボレーションを通して学んだことや、「コラボレーションだからこそ表現できること」があれば教えてください。
以前はやっていましたが、現在はコラボレーションのプロダクトを積極的には作っていません。それぞれが一人の作り手であり、個々が本当にやりたいことを追求しているからです。
今後挑戦してみたいことはありますか。
ボールを型にして、大きなサイズのボウルを制作中です。まだ1つも成功していないのですが…何とか完成させたいですね。