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見る者、使う者の心を落ち着かせる。村田匠也さんの青白磁

2023年06月22日

by 煎茶堂東京編集部

自然豊かな京都府山科の工房で制作を行う村田匠也(むらた・たくや)さん。伝統の京焼を幼い頃から側で見ていた村田さんが解釈する茶の道具は、静かで瑞々しい。お茶の色を美しく見せる青白磁の肌の色や、使い手の所作を美しくする形にも注目していただきたいと思います。

今回は、そんな村田匠也さんの作品「ゆらぎ茶杯 低」「ゆらぎ茶杯 高」「ビール杯」「青白磁葉形片口」の魅力や、おすすめの使い方をご提案します。

煎茶のための杯。「ゆらぎ茶杯 低」

元々、ご家族が煎茶道具を中心とした器を制作し、その様子を側でずっと見ていたという村田さん。今回私たちがお取り扱いするのは、杯3種、片口1種の茶道具です。

「ゆらぎ茶杯 低」は、背が低く口が広く開いた煎茶におすすめの茶杯。村田さんの青白磁は、まるで紙のように薄く、緑色をした緑茶の水色が見事に映える色合い。

外側はマットな質感で、内側は透明釉がかけられているので、お茶の色が沁みにくく、普段使いにも向いています。

後ほどご紹介する、「青白磁葉形片口」と合わせて使いたい。凛とした佇まいは、お客さまを招いてのお茶の時間に使っても喜ばれそうです。

香りも味わいの一つ。「ゆらぎ茶杯 高」

2つめの「ゆらぎ茶杯 高」は、先ほどの「ゆらぎ茶杯 低」と打って変わって、筒のようなシルエット。煎茶にももちろんおすすめですが、烏龍茶など香りを味わうお茶を淹れると、飲んだ後に杯の中に溜まる香りも含めて味わっていただけます。

飲み口が薄く、涼しげな印象のある村田さんの茶杯には、ガラスの茶器も合います。お茶を用意するときの道具の合わせ方も含めて、幅が広がりそうです。

手触りのよい「ビール杯」

脚付きの「ビール杯」は、その表面の質感の手触りを含めて楽しめる杯です。滑らかに整えられたマットな表面は、触るとひんやりととっても気持ちがいい。

名前の通り、ビールがより美味しく感じられるのは間違いないです。飲む少し前に、冷蔵庫で5分ほど冷やしても良さそう。

飲み口が3枚の花弁の形をしていて、有機的なアクセントがなんともセンスの良い一品。花弁のカーブが唇によくフィットして、ストレス無く飲み物の味をクリアに感じることができます。贈りものにも喜ばれそうですね。

ビールはもちろん、夏は水出しのお茶をたっぷりと使って、この「ビール杯」で味わうのも趣があります。

使う者の所作を美しく見せる「青白磁葉形片口」

こちらも、「ビール杯」同様、口が有機的な形をした「青白磁葉形片口」。自然界から制作の影響を受けると言う村田さん。

「作っている時に、いつかの見た山並みや海辺、森の中の植物の断片が思い出され、それを形に取り込むことをしています。」

そう話すように、無機質で冷たい磁器の中に植物のシルエットがスパイスとして取り入れられ、そんな自然物の要素が瑞々しくも、厳かに感じられます。

また、細く小さい注ぎ口からは、ごく少量ずつ液体が注がれます。それによって、こちらの動作は自ずとゆっくりと丁寧になります。勢いよく注がれないために、所作が自然と美しくなるのです。

繊細な茶器はどうしても敬遠されがちです。ですが、そうした茶器には見る者の心を癒す何かがあり、使う者の内面を静かに落ち着かせてくれる何かがある。

村田さんの器には、そんな不思議な力があり、それが人々を魅了するのだと思います。

販売開始:2023年6月28日(水)8時

フードスタイリスト・鈴木愛

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